ひとり日和 | リラ冷えの朝に旅立つ君へ♪

ひとり日和

ひとり日和読了。。青山七恵著。舞台は東京、京王線線路脇の平屋の一戸建て。
20歳のフリーター知寿と71歳の女性吟子さんとの一年を通しての共同生活を描いた物語。

主人公知寿は、恐らくどこにでも存在するような等身大の現代少女。勉強はしたくないから大学には行かない。仕事にも、やり甲斐は見つけられず、ただ漠然とただなんとなく毎日を過ごす無気力な少女。
ストーリーは淡々と進む。 知寿は自分の価値観、人生観、恋愛観を随所で吟子さんに投げかける。
吟子さんは時にやさしく、時に可笑しく彼女に答える、これが絶妙。

波風たたない作品なので、短時間で一気に読めてしまうが、むしろゆっくり読みたい作品である。
二人の独特の語り口や見解。 これがこの作品を飽きさせる事なく面白く読ませている事由。
文章がうまいし視点もおもしろい。
20歳の女性の淡々とした日常を、芥川賞を獲るほどの純文学にと変貌させた手法に脱帽。
著者の青山七恵さんは旅行代理店勤務の24歳の女性。。今後も注目して行こうと思う。