サイエンスカフェにいがたに参加してきました。

『バッハって、どうして「音楽の父」なのシリーズ』その5 「J.S.バッハの死」


ゲストは、林 豊彦さん(新潟大学 教授 大学院自然科学研究科/工学部福祉人間工学科,新潟市障がい者ITサポートセンター長) です。ご専門の研究とは別に、チェンバロやパイプオルガン、古楽に大変造詣が深く、これまでにも、サイエンスカフェにいがたでパイプオルガンやチェンバロに関してお話をいただいています。


『バッハって、どうして「音楽の父」なのシリーズ』は、2011年から毎年12月のサイエンスカフェにいがたのテーマで、今回が第5回で最終回。会場のジュンク堂書店新潟店地下1階のCafe Spaceには可憐なチェンバロが運ばれ、興味深いお話と素敵な演奏を楽しみました。



 --シリーズ最初から参加しましたので、第1回から簡単にご紹介します--


バッハ(ヨハン・セバスティアン・バッハ/Johann Sebastian Bach/ J.S.バッハが、「音楽の父」と称されるのは、どうしてなのでしょう? シリーズ第1回(第54回サイエンスカフェにいがた 2011.12.10)では、その生い立ちから音楽家として大成し、弟子たちに敬慕され、家族も大切にしたバッハの生涯を辿りました。


第2回(第62回サイエンスカフェにいがた 2012.12.8)「宮廷音楽家としてのJ.S.バッハ」は、ヴァイマル宮廷の楽師・従僕から教会オルガニストになり、優れた才能を発揮し、異例の高給でケーテン宮廷楽長になるという、向学心旺盛で創作意欲あふれるバッハに、現代にも通じるキャリア形成のあり方を見ました。


第3回(第73回サイエンスカフェにいがた 2013.12.7)「教会音楽家としてのバッハ ライプツィヒ時代」は、ライプツィヒ聖トーマス教会カントル(合唱長)兼ライプツィヒ音楽監督のバッハの活動について。バッハの作曲法にふれ、優れた才能と能力の限りを尽くして多くの素晴らしい曲を残した音楽家バッハに迫りました。


第4回(第83回サイエンスカフェにいがた 2014.12.20)「晩年のJ.S.バッハ」は、バッハ芸術の集大成に向かった44歳からのバッハ。作曲の中に数学的構成の曲作りがあったという高度な作曲技法の解説を通じて、バッハの魅力を再認識しました。

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そして、第5回の今回は、シリーズこれまでのお話を振り返った後、


カンタータBWV232より 第6曲“Mein Freund ist mein”わが思ひ人はわがものなり

の解説と演奏で、会場はぐっと華やぎました。


ソプラノ田辺千枝子さん、バリトン林豊彦さん、チェンバロ飯田万里子さん


麗しい歌声とチェンバロの典雅な響きに、うっとり。。


素晴らしい旋律には、バッハの巧みな技が秘められているのですよ。

聴き方や歌詞の意味がわかると、より楽しめます。



もうひとつ素敵な演奏がありました。

オルガンのためのトリオソナタ 第3番ニ短調BWV527

テナーリコーダー林豊彦さん、チェンバロ飯田万里子さん


林さんはお話だけでなく、歌もリコーダーも、と多才な方でいらっしゃいます。


そして、バッハ最後の創作、ミサ曲ロ短調のお話は、自筆譜に見られるバッハ筆跡のふるえが痛々しく、引き込まれます。


眼を患っていたバッハが受けた白内障の手術は失敗。この手術「カウチング法」って、怖い!ヘンデルも同じ眼科医から手術を受けて失敗したなんて、あんまりですよ……。視力を失っても、口述筆記で創作活動を続けたのは、バッハらしいですね。


1750年7月28日 バッハ死去 66歳。


生前、音楽家として成功したバッハでも、死後50年後、墓所がわからなかったとは驚きです。棺の発見は1894年。聖ヨハニス教会の拡張工事中だったとは。頭蓋骨からバッハの骨と鑑定されるのに彫刻家や解剖学者が関わり、その後、複顔にコンピュータ技術が応用されたのは、墓所の発見から114年後の2008年。肖像画とは違う、本来のバッハの顎のお話も印象的でした。


現在、バッハの石棺は、かつてバッハがオルガンを演奏していたライプツィヒ聖トーマス教会にあります。



5回にわたるバッハのお話は、非常に充実していました。


「バッハ=音楽の父」の途中式は、毎回、丁寧な解説と優美な演奏で彩られました。

音楽の父と称される由来を探るという探求心や作曲技法に注目する科学的思考を持つのは、楽しいものです。


林さん、バッハシリーズに ご出演の皆さま、ありがとうございました。



飯田万里子さん愛用のチェンバロは、蓋を開けると響板に美しい花が描かれています。


■サイエンスカフェにいがた http://www.ecosci.jp/n-cafe/



■12月15日(火)19:00 新潟市江南区文化会館音楽演劇ホールで古楽の演奏会があるそうです。

出演 白澤亨(リュート、リコーダー、歌)飯田万里子(チェンバロ)

大作綾(リコーダー、歌)笠原恒則(チェンバロ)


素敵なメンバーです!


【追記】サイエンスカフェにいがたのバッハシリーズは、「J.S.バッハの死」で終了と思った皆さまへ

なんと、続編、J.S.バッハの死後について、開催されます。

2018年12月22日(土)15:30~

ジュンク堂書店新潟店 地下1Fカフェスペース


詳細はサイエンスカフェにいがたHPをご覧ください。