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LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
1963年フランス映画 カラー 91分
監督 ジャック・ドゥミー
出演 カトリーヌ・ドヌーブ ニーノ・カステルヌオーヴォ マルク・ミシェル アンヌ・ヴェルノン エレン・ファルナー
1957年11月、17歳の傘屋の娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、20歳の自動車工ギイ
(ニーノ・カステルヌオーヴォ)と愛しあっていた。結婚したいと望むジュヌヴィエーヴだったが、母親(アンヌ・ヴェルノン)は、「その若さで結婚なんて!」と取り合わない。母は、税金の取り立てに悩み、ジュヌヴィエーヴと訪れた宝石店で、宝石商のローラン・カサール(マルク・ミシェル)と出会う。一方、ギイには召集令状が届く。時は、アルジェリア戦争の最中。2年間兵役に就くのだった。別れを悲しむジュヌヴィエーヴとギイは……。
若きカトリーヌ・ドヌーヴと、ジャック・ドゥミー監督、ミシェル・ルグランの音楽で組んだ永遠の名作です。
この作品は、オープニングから秀逸です。上空からのカメラが、赤、青、ピンク、白、黄色、黒などなど、雨のシェルブールの石畳の上を色とりどりの傘が横切っていくシーンを映し出します。時々、傘を差さない水兵が通っていき、シェルブールが軍港であることを知らせます。
鮮やかな色は、この作品の、いや、ドヌーヴとドゥミーの映画では、いつも大きな役割を持っているようです。ジュヌヴィエーヴの母が営む店の中には、色とりどりの傘が飾ってあります。また、ジュヌヴィエーヴの家の中は、壁紙がとてもカラフル。そこに花も飾られ、さらに美しい色彩を添えます。ジュヌヴィエーヴの部屋は、青い薔薇の壁紙で、とても可愛い部屋なのです。青い服を着ることが多いことからも、ジュヌヴィエーヴは、青が好きなのでしょう。
そんなごく普通の生活をしていたジュヌヴィエーヴとギイは、戦争に引き裂かれます。ギイは、2年間の兵役に就くことになり、シェルブールを出発します。駅で、彼を見送る時にふたりが歌うのが、あの有名なテーマ曲。「モナム~ジュテーム、ジュテーム、ジュテーム~」。映画史に残る名シーンでしょう。
この映画は、ミュージカルに分類しましたが、セリフも全部歌になっています。この時代、革新的な映画として作られたのではないでしょうか。嬉しい時も、悲しい時も、すべて歌、歌、歌。この流れについていける人と、ついていけない人とで、大きく評価の分かれる映画でしょう。
とにかく、カトリーヌ・ドヌーヴが美しいです。同じ女性としても、見とれてしまう美しさ。特に、ギイと会う時や、駅のシーンで着ているトレンチコートが格好良いです。うら若き、女性らしい女性であるドヌーブが、かちっとしたトレンチコートを着こなしている。トレンチコートといえば、浮かぶ映画のひとつです。
ギイの、親戚なのでしょうか?ギイの育ての親である伯母の介護をしていたマドレーヌも、ドヌーヴに比べれば地味ですが、とても清楚な美しさです。美しい人が沢山出てくる映画。美しいものが沢山出てくる映画。美しい音楽が沢山聴ける映画。そして、哀しい映画です。
ラストシーンでは、涙を堪えるのが難しい。美しく、哀しく、とても心を揺さぶる映画です。
トレイラーです。