とき:H27年1月16日(金)・17日(土)・18日(日)
ところ:富士高原研修所
“滝行と棺桶”
今回で5回目になる。10回は参加することを決心しとる。昨年は「チャレンジコース」の「愛和のみそぎ」に参加する予定が、滝行をするための誓約書と愚妻の同意書の原本を忘れたおかげで、やりたかったみそぎが出来んかった。今年は忘れんようにカバンの中にあらかじめ入れておく。
金曜日は会社を休ませてもらい、研修へと出発をする。朝はみそぎの練習で、10日間風呂場で洗面器に水を入れて頭から10回かぶった。初めての体験じゃがだんだん身が引き締まり、身体から湯気が出るくらい火照ってくる。少し気持ちが良い。「行ってくるでぇー」「いってらっしゃい」
車で家を出発し、会社に車を置いてJR緑井駅にむかう。ちょうどはかったように電車が来て待たずに済む。広島駅に着くとまだ誰も到着をしとらんかった。トイレを済ませてのぞみ120号の予約車両へとむかう。N島さんが一人ベンチで待っとった。AM8時の出発で、乗ってみると別のドアからみんな乗ってきた。合計11名のメンバーでむかうことになる。途中福山駅でも乗る人がおった。新大阪駅で乗り換えじゃ。お腹が少し減ったけぇ、柿の葉寿し弁当とお茶を買って食べる。ついでに日本経済新聞を買って読む。いつのまにか寝入ってしまう。
三島駅にAM11:55に到着をする。初めての参加が7名おって、昼食は名物のうなぎを食おうということになる。南口から出て探す。さすがK山氏は素早く行動してネットで探し先回りをして席を取ってくれる。みんなガッツリとうなぎを食す。「あ~美味かった」。H原氏はバスの運転手を待たせとるけぇ、携帯でごめんなさいと謝っとった。急ぎ北口の出口へとむかい、バスの運転手に礼をしてバスに乗り込み事なきを得る。
研修所へ着くとすぐにチャレンジコースの受付を済ませる。血圧を測るが、おかしい。いつもは上が120下が70ぐらいじゃが、緊張しとるんか147-85である。挑戦できるのは上が140以下、下が90以下でなければいけん。「どうしてなんじゃろう」「もう一回測ってください」「ハイ」。やはり下はいいんじゃが上がいけん。どうにかならんかと懇願する。「なんとかしましょう」「あぁ~よかった」「ただし、実習前に計測して無理と判断したら止めてください」「はい、わかりました」。ホッとする。
部屋へ荷物を置いて、開講式に出席をする。我が10班はワシを入れて7名じゃ。千葉県、新潟県、福島県、石川県、長野県、東京都、そしてワシが広島県である。オリエンテーションがあり、リーダーとサブリーダーを決める時間がある。昨年はK尾さんの「リーダーをやりなさい」との一声で「ハイ」と返事してしまう。今年は絶対自分の意思でリーダーになろうとすぐ手をあげる。もう一人おられたが押し切る。K尾氏と同じことをH原氏に言ってみる。彼もリーダーになっとった。あとで言ってくれたおかげですごく勉強になったと感謝される。
夕食となり、リーダーとしての役割を確実にこなそうとするが、なかなかバラバラで統一感がない。トイレに行って帰って来んかったり、夕食時はマナーを守らんかったりで大変じゃ。じっと我慢して、自らがやろうとメンバー一人一人が意識するまで積極的に待つことにする。「リーダーが強いリーダーシップをとれ」と言われる人もおったが、「やれ」と言われて動くメンバーでなく、自らの自発意志を奮起させるアプローチを工夫しリードした。
チャレンジコースの「愛和のみそぎ」の実習が始まる。ワシが家でやったように、洗面器に水を入れて目や口や耳を洗い、左肩右肩と水を流し、左・右と足も洗い、外から内へと水で洗い清める。4杯ほど頭からかぶる。
一日が終わる。2日の朝はAM4時5分起床。チームの起きるのを待つ。2日目も終わり、ご来光を拝む。
3日目がやってくる。3日の朝はAM4時起床。同じようにチームの起きるのを待つ。やっと一人一人が気付き積極的に実践するようになってくる。
3日目の最初の講座は「いのちの遡源」じゃ。初めての体験をさせてもらう。それはどういうことかというと、棺桶の中へ1分間入るということである。
みんなが協力して中へと入る。死んだ時に入るところを生きとる時に入れることはまずない。フタを閉められて暗くなる。「あー、死んだ時はこんなんじゃ」と思うが、実感はわかん。さて、死んだ時、この棺のまわりに誰が来て、どんな話をするんじゃろう、と思う。こんな体験はまず一生に一度しかない。それは死んだ時じゃ。やり残すことがないよう生きとる時に精一杯人の役にたちたいと、痛切に思ったシバカツであった。「死ぬ前に何を食べようかな」「なんのこっちゃ」
滝行の時間になる。更衣室で裸になり、ふんどしだけが肌についとる。ワシの親父は死ぬまでふんどしじゃったのを思い出す。順番を決めるのに、ワシは一番最後にしようと決める。早く終わる方が良いか、それとも最後が良いんかわからん。
準備体操をして、まず女性のAグループが先に入る。次はBグループが入る。滝の前で座り、滝にむかって礼をする。Bが終わり、Cグループの番じゃ。滝の前で礼をして、目を洗い口をすすぎ耳や左肩右肩と外から中心へと冷水をかぶる。背中、頭と…。一人一人が滝の中へと入っていく。自分が一番大切にしたい人を思い浮かべて手を合わせる。震える人がおる。泣いとる人がおる。大声をあげる人がおる。般若心経を唱える人がおる。名前を呼ぶ人がおる。気持ち良いと言う人がおる。………。
ワシの番がくる。もう全体が冷水の中で麻痺しとる。滝の前で拝み滝の中へと入る。右肩に流し左肩に流し、頭からかぶる。前をむいて天を仰ぐ。太陽の輝きが眩しい。いろんな人の顔を思い出す。あ~、感謝である。両手を広げて心に水を受け入れる。寒くない。気持ちが良い。滝の水と一体となったようじゃ。「はい、よろしい」と声が聞こえる。ハッと我に返る。滝に礼をしてタオルで身体を拭く。更衣室に行き服を着だすと、やっと我に返り震えがきだす。寒くなってくる。手が青ざめとる。
すぐに風呂場へとむかう。すぐ入浴せずに水で身体を調整したほうが良いと教えてくれる。まことすぐ入浴すれば、手や足の脂がジンジンして感覚がなくなる。ゆっくりと慣らしていき風呂へと入浴する。癒される。やってよかったと、みんなそういう話で盛り上がる。
研修が終わり、メンバーと別れることになる。いつもの場所で写真を撮る。みんな晴れやかである。「また来年も来ようね」「はい」。素晴らしい3日間じゃった。
富士山が晴天の中に現れる。
「素晴らしい」「我人生最高」「滝行、棺桶最高」
おあとがええようで…。