新聞掲載 日経新聞2016/07/27 | シングルママパパのサポート NPOリトルワンズ イベントブログ

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日本経済新聞2016/07/27に掲載されました。
代表小山が、
シングルママの
移住と空き家対策の事例とコメントを載せています。

 ひとり親一歩踏み出す(下)地方移住という選択
仕事と家、自治体支援


 

    2016/7/26付
    日本経済新聞 夕刊


    ひとり親家庭の皆さん、どうぞ我が町に――。子育て中のひとり親世帯に向けて移住を呼びかける自治体が増えている。人口減で介護などの人材不足に直面し、 住居や経済面で支援し就労を促している。ひとり親は収入に加え住まいの確保に苦労することが多いだけに、安定して子育てできる利点がある。介護以外でも受 け皿となる職域を広げる動きが出始めている。


北海道・旭川駅から車で約40分の幌加内町。ソバの収穫量日本一で知られ、緑のソバ畑が広がる。6月、道内の中核都市から一人のシングルマザーが移り住んできた。7月から町内の特別養護老人ホーム「テルケア」で介護助手として働くBさん(43)だ。

  Bさんが利用したのは同町が昨年10月に始めたひとり親向けの移住支援制度。中学生以下の子どもと同居する60歳未満の町外在住者が対象だ。介護サービス 事業所で働くことを条件に、月額17万円の給与を保証し、月3万円の養育補助や20万円の支度金を出す。一定期間定住すれば奨励金もある。

 もともと介護の仕事に就いており、長男(3)が小学校に入学する前に心機一転、転居することにした。東京も候補地だったが「家を決めるまで何度も通うことになる」と、手続きの大変さを心配。幌加内町では、町営住宅を紹介され、すぐに入居できた。

  同町では町立保育所の保育料と、子どもが中学生までの医療費は無償。「一人で子どもを育てるにはお金をためないといけない」というBさんには魅力的な制度 だ。移住後は子どもと遊ぶ時間がしっかりとれ、長男は自宅にある畑を耕し「前よりたくましくなった」。今の暮らしを楽しんでいる。


◇   ◇

 幌加内町が移住制度を取り入れたのは「人口が減り、子どもがいないと地域は活気に欠ける。移住支援で人を呼び込みたい」(中河滋登・保健福祉課長)ためだ。

  参考にしたのが、同制度を全国に先駆け昨年5月に実施した島根県浜田市。引っ越し費用の一時金30万円や月3万円の養育費を支給。現在6世帯が居住する。 説明会ではデメリットも隠さず話す。「コンビニが多くあるわけではないこと、スーパーは午後7時で閉まることも最初から説明する」と浜田市の宇津光政策企 画課長は言う。

 制度開始から2年目。課題も見えてきた。説明会までは足を運ぶものの、最終的に制度利用を見送る例もある。「いかに浜田で明るい未来を描いてもらえるか」。長期に地域にとどまってもらうためには、安定的に暮らせる環境整備が欠かせない。


◇   ◇

 ひとり親対象の移住制度は各地で増えている。三重県鳥羽市、大分県国東市などだ。介護就労を条件としたり、福祉分野の資格取得を支援する例もある。Bさんもホームヘルパーの資格を保有していた。だが、ひとり親が必ずしも介護就労を希望するとは限らない。

  「浜田モデル」を参考に今年度から移住支援制度を始めた長野県は、製造業や小売業も就労条件に追加。こども・家庭課の中村竜生企画幹は「介護には向き不向 きがあるから、長く仕事をしてもらうために業種を広く考えた」と話す。23日に東京・銀座で開いた説明会には22人が参加。「キャリアを生かしたい」と、 介護以外の仕事を問い合わせる人もいた。

 移住制度は、人口減に悩む自治体と、職と住まい、子育てを安定させたいひとり親の双方に利点がある制度だがマッチングは容易ではない。

  シングルマザー支援のNPO法人リトルワンズ(東京・杉並)の小山訓久代表理事は「自治体による移住支援のパンフレットが観光情報になっていることも多 く、情報提供が十分ではない例も少なくない」と指摘する。仕事や住居に加え、学校や病院などにも目を向け「親と子ども双方の人生に長く関わることという意 識を持って環境整備していくことが重要」と話す。