いずれの夜のワタシが願ったものか
ムスコが本を買ってきてくれた。
地球の歩き方エジプト編と共に
ハードカバーの本を一冊。
三省堂書店のカバーをめくると
“猫を抱いて象と泳ぐ”
小川洋子さんの書かれた本だった。
なぜその本を
何をキッカケにムスコに請うたのか
それはあまり覚えは無いが
きっと
いずれの夜のワタシの中の
どこかからの願いだったのだろう。
読み始めると
ワタシと主人公には共通点があった。
彼の唇は皮膚の移植から脛毛が生えていた。
ワタシの右足首からは移植による陰毛が生えている。
小学5年生の頃
母方のおばあちゃんから一冊の本を買ってもらった。
“薫は少女”
この大切な本の
読み始まりから終わるまでの
そして終わった後も続くものと
今、横に読み終えたこの本とが
共に流れ、寄り添った時間の
心の流れが似ていた。
“猫を抱いて象と泳ぐ”
きっと熱く願った
いずれの夜の酔っ払いの自分に感謝だ。