“キッチン” | 野生児トゥクトゥクと小花の日記

野生児トゥクトゥクと小花の日記

昨日もいろいろあったなを重ねていまの自分になりました。
ときどき振り返ると楽しいので残してみようとおもいました。

昨日、今日と仕事が休みで

ひまなこともあるのだろうが

秋がきた事もあるのだろうが

昨晩からだ。

なにやらこころがちょろちょろと動き始めた。


昨日の近所のお祭りで吉本ばななの“キッチン”を買い

読んだことから始まったのか。


ワタシが新聞配達をしていた二十年前

その本は発行された。


あまり読みたくない本の一冊だった。


第一印象が悪いほど

その後の付き合いが深くなるワタシだ。

それをあらためて気付かされた。


二十年避けてきた“キッチン”を昨日読んだ。


今まで避けてきて、昨日読んでよかった。


いきなりじゃなくて

発行された二十年後の今でよかった。



その後久々に瞑想をした。


思った。


ワタシは一日に一時間も

まぶたをおろしていないのかもしれない。

こどもの頃から目を開けて寝ている。


それは手術の際の全身麻酔でも効かないらしく

医者が目が合っては気分が良くないと

ワタシの顔をガーゼで覆うのはこれまた縁起でもなく 

まぶたを医療用テープで止めたくらいだ。


その後全身麻酔から次第に覚めていった意識はまず

“ワタシの意識は覚めました”

と誰かに伝えるにはワタシの体のどこかを動かさねばと考えた。

体の部品の中で一番先に動かせる器官は何処だろうと

細胞にはたらきかけると

“まぶた”だった。


しかしそのまぶたはまだテープでしっかりと貼られていて

動かない。

まぶたの上とほおをテープで押さえられたワタシは

もう絶望的だった。

なみだが浮かぶがこぼれない。

それは苦しすぎた。

あんなに長い事まぶたを閉じた事は無い。


その後ナースに気付いていただき

はがされた。

“ごめんなさいね、全身麻酔でもまぶたが閉じなくて

先生がやりにくいと言うもんだから・・・”



入院中の真昼間

ナースさんからの平手打ちを受け

昼寝から目を覚ました事もある。

(意識が無いと同室の方からの親切なナースコールによる)


その後は

“申し送りで聞いたわよ、早く昼寝して!”

ナースが部屋に何度も訪れた。


学校の授業中は役にたちましたが。



瞑想しながら、ゆっくりと呼吸しながら

眠気が襲ってくるとだんだんとまぶたがあがる。


意識がもどる瞬間にまぶたを開けようとしなくても

すでにまぶたは開いている。


その閉じないまぶたが見せたのか

ながく開いたままのひとみが見せたのか

もう早くの小さな頃から小学生、中学生と続いた憔悴感は。

だいぶ生きたように思っていた。



そしてますます早く色々を

失くしていく今の自分か。


“キッチン”を今読んで良かった。

ゆっくりとどこか中の色々を失くしていく今の自分の

ペースに合っていた。


ワタシのまぶたはなかなか閉じないが

それは何か特別な事のようで

楽しい。

誰にも閉ざされないように。

だれのまぶたも閉ざさぬよう。