先日発表された第2日本テレビの単月黒字化 のニュース。


国内外で見てもインターネット動画ビジネスで大成功を収めている企業はない(ユーザーから支持されているYouTube、ニコニコ動画ですらビジネスと見た場合、決して成功しているとは言えない)。



今回の第2日本テレビの単月黒字化を大きく支えたのが、広告主のニーズにあった映像コンテンツの制作。もちろん、動画配信技術/広告掲載の部分でCDNをはじめとするテクノロジーを取り入れることでコスト管理をしっかりできたのだと思いますが、コンテンツを制作するノウハウを活かせたことが成功の秘訣なのではないでしょうか(大成功と言うべきかは疑問ですが)。





さて、国内最大規模の動画サービス ニコニコ動画について、先日発表されたドワンゴ社の決算 を見て見ると。


有料サービスによる売上、広告売上も伸びているにもかかわらず、利用ユーザーの増加による設備投資、インフラコストの増加により黒字化ならず。

男道 - 長瀬慶重のアメブロ


User Generatedの動画共有サービスのマネタイズの難しさを感じる内容。




海外に目を向けて見ると。代表的な話として、YouTubeとHuluの話。


メディア・パブ - YouTubeキラーの“Hulu”,放送からオンラインTVの流れを加速化

http://zen.seesaa.net/article/108857395.html

Nielsenの2008年9月データによると、ビデオストリーム総計/ユニークユーザー数は,Huluの1億4226万ストリーム/632万人に対し,YouTubeは何と53億5439万ストリーム/8188万人である。あまりにも差がありすぎる。勝負にならない・・・。


ところがどっこいである。いくら桁違いの人気があっても,商売がうまくいっているとは限らない。LiveRailのレポートは,YouTubeの今年の広告売上を2億ドルと予測している。このうち米国市場は半分と見て,米国の広告売上は約1億ドルとしている。米国限定で始まったHuluの広告売上を9000万ドルと推定している。つまり,米市場ではHuluはYouTubeと肩を並べたことになるのだ。


なぜこうなるのか。Huluは合法的な動画コンテンツだけを提供しているのに対し,YouTubeは(User Generated Video)も含んだ動画投稿サイトで,非合法のコンテンツも混じったりしている。安心できる広告媒体としては,Huluになびく広告主が増えているのも当然かも。Huluは在庫が少ないこともあるが,広告枠はほぼ100%の完売という。一方,YouTubeは広告枠の3%しか売れていなくて,ほとんどが売れ残っている。


Hulu to Match YouTube’s Revenue: Ten Observations For The Future of Media

http://publishing2.com/2008/11/18/hulu-to-match-youtube%E2%80%99s-revenue-ten-observations-for-the-future-of-media/


An analyst at Screen Digest estimates that in “2008 YouTube will generate about $100m in the US, compared to about $70m at Hulu. Next year both sites will generate about $180m in the US.” That’s very significant because YouTube had 83m unique viewers in the US in September, while Hulu only had 6m.

2008年の売上 YouTube 年間100億円、Hulu 年間70億円。

2009年の売上、共に 年間180億円。


2008年9月時点のUnique Viewers YouTube 83億回、Hulu 6億回。


この数字から見てもHuluが持つ「本質的な動画広告の価値」を読み取ることができますね。



アメリカのネット広告市場の予測の中で、リッチメディアの成長が著しいと。


男道 - 長瀬慶重のアメブロ


男道 - 長瀬慶重のアメブロ


 <引用>

  eMarketer社、今後5年で最も成長率が高いネット広告は「リッチメディア/動画広告」と予測
  http://hiroya.typepad.jp/blog/2008/05/emarketer-3ac6.html




日本とアメリカとのタイムラグがより小さくなっていく中で、決して無視できないトレンド。


特に、この動画広告について言えば、国内外の成功パターンを見る限り、信頼性のある動画コンテンツに広告価値があるということ。当たり前ですが。ただ、インターネットに自由にコンテンツを投稿できることが当たり前になっている世の中で、コンテンツの信頼性を確保するのは、非常に難易度の高い。


ここに一つヒントがあるような気がします。




個人的な見解として、この動画ビジネスで成功を収める可能性の高い企業というのは、信頼性のある優良なコンテンツを持っている企業ではないかと考えています。

自分たちが優良な動画コンテンツを持たず、動画コンテンツを仕入れプラットフォームとして配信するモデルは正直厳しい。



世の中には、まだまだ優良なコンテンツは山ほどある。第2日本テレビのように自らが優良なコンテンツを制作する能力を持つ企業も多く存在すると思います。




動画広告の配信マネジメントも非常に簡単に実現できる世の中になり、HD動画など高画質の動画を見るための環境も整備されています。





非常に楽しみなドメインです。