【マフィア企画】記憶は劣化する、それが厭でそれはずっと、【文章】 | あたしの海にさよならを

あたしの海にさよならを

あなたはあたしのすべてだったの。 だからさようなら。 さよなら、あたしの海。



「隊長命令により、今を持って部隊を解散する」

一瞬頭が回らなくて、ああ僕はいなくなってしまうんだなあと、理解するのに珍しく数秒を要した。



  ――それはきっと、刻まれた蛇の残骸


はきはきとした低音で放たれたその命令を聞いた瞬間に呆然としてしまい、うっかり携帯を落としそうになる。ただひとつの拠り所が崩れた、それは執念という歪んだ感情を頼りに生きているデジレにとって、最悪のシナリオでもあった。熱を帯びた頭を精一杯廻し、「了解」と応えるも、実際は認めたくなくて必死に否定をしようとする。だが結局行き着くのはやはり、解散してしまった、その事実のみだ。結局は群れを好む野蛮な犬も同然であった自分に溜息が出る。蛇でいる必要も無くなり、少しは【副業】の時間を割く事もできよう。そう頭を戻し、最悪な事実を思い出す。ケルベロス本部に残っている「自分がRe dei Caniと接触のある事が一目で分かってしまう証拠」の存在だ。もしあれをジキルやベネディクトといった完全戦闘要員に見られてしまっては自分は確実に消されてしまうだろう、否、「他の副業で関係していた奴らにそれがバレても同じ事だ」。あそこには自分の指紋もべたべたと残っている。いくら手袋をしようが流石にそれら全てを隠す事は難しく、それをせずともいずれ爆破する時が来るだろうと高をくくって放置していたのだ。故にベネディクトの「本部に立ち入るな」という指示に苛立ちが隠せない。何も考えていなかった自分に悪態をひとつ。かつりと歩みを進める、考えるために、立ち止まってはならない。考えろ。考えろ。アソシエーテ共に破壊させるか。だが証拠を見られてしまっては自分がRC本部に居られなくなってしまう。それはあの馬鹿――ダヴィドの頼みが聞けなくなってしまう事と同意だった。RC幹部、否、元幹部の頼みは聞いておくに越した事は無いのだが、いかんせん彼の頼みは自分が確実に本部に居て成り立つ事であり、決して先日までのように別所でできるような事ではない。馬鹿二人に挟まれて非常に迷惑だ、ひとこと悪態とともに漏らす。空は吐き気がする程に橙色に染まって、デジレの大嫌いなものを彷彿とさせた。ビルも街灯も、自分自身でさえその色に染まっていくのがどうしても腹立たしくて、音も無くするりと、何かから逃げるように垂れ幕の影に隠れた。


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一度自分の住んでいた建物――と言っても殆ど物置としてしか使用していなかったが――がごうごうと燃える様を確認してから、のんびりとケルベロス本部がある場所の付近に足を運ぶ。あそこにはたくさんのモノがあった。ああそう言えばあの書類も本部に置きっぱなしか、あの薬剤高かったのに、ジキルの食っていたピザの箱はゴミ箱に突っ込みっ放しではなかったか、虫湧くのはちょっとなあ、思い出す事はたくさんあった。一度見たものは絶対に忘れない瞬間記憶能力は、こんなところにまで発揮されるとは。脚色もなくただそのときに存在していた事実の集合体が、脳裏に浮かんで離れない。あそこでは多くの事が混在し過ぎた。自分の頭では処理し切れない、ひとの言う「感情」がそこにはあって、それから遠ざかることはまるで自分を機械と認識するようで。「ウロボロス」はふと眼鏡を外し目頭を押さえた。後頭部がぼうっと熱を帯び麻痺する。もう戻る事はないであろうそれをもういちど瞼の裏に焼き付け、かつかつと高級靴の踵を鳴らして空港へと歩みを進めていく。手荷物は最低限必要なものと、大事な写真二枚のみ。一枚はケルベロス隊員全員で馬鹿なノリで取った、どうしようもなく間抜けな集合写真。もう一枚に映るのは、唯一家族3人で撮れた貴重な写真、病院のベッドで娘を抱える母親と、「ダニエル」として存在した自分が映った、たったひとつだけの写真。そのふたつの思い出さえあればこれからの責め苦にも耐えられよう。己を束縛していたチェーンからするりと抜け出し、ウロボロスは完全にデジレへと変貌した。

「…もしも」

本人は無自覚なのだろうが、

「もしも彼等とまた馬鹿みたいに笑えるのであれば」

未練たらしく首輪は繋いだままであった。


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Re dei Cani本部「だった」場所に到着するや否や、デジレは携帯端末を取り出し何かを入力し始めた。ハットの下から覗く険しい顔が、イタリア語の酷い悪態を並べ始める。ふと手を止め、周囲に人が居ないのを確認する。入力を終えたのだろうか、端末の画面は周辺の監視映像を一気に30窓近くで展開していた。そして欲しい映像を取り出し、解像度をぐ、と上げる。処理に少し時間を要したが、確実にそれは映っていた。

「やっぱあの馬鹿じゃねェかよォ…」

ハイドの格好をしたジキルを確認し、監視映像に加工を施して差し替える。友人として自分にできることはこの程度しかない事は自分が一番解っていた。はあ、と溜息を吐く。言葉ではあの馬鹿、クソ餓鬼等と並べるが、ジキルの安否が心配でならなかったのだ。だがよく考えたらあの餓鬼のことである、甘え上手でもあるのだからその辺の女でもひっかけて適当に生活しているのではないか。気休めに適当に考えてみたはいいがあり得そうで困る。目撃者の抹消等という頭はアレにあるだろうか。そんなどうでもいい事を考えつつ、端末を鞄に仕舞い、その元本部をあとにする。後の彼等の行動を調べるのは、自室に愛機をセットしてからだ。

「スパイ養成一家、ドゥシャンの申し子を舐めんじゃねェぞ?」

獰猛な笑みを浮かべ、くつくつと笑いながらその場をあとにする様は、犬そのものであった。


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フランスの一家、ドゥシャンの一族にはスパイがやたら多かった。某国密偵、CIA、少し有名になった美男子スパイも実はドゥシャンの御家の人間だという位に、この家は訓練を積んだものを作ってはあらゆる国に売っていた。基本は養子、または誘拐というケースが多いのだが、デジレは珍しくドゥシャンの血が混ざった子であった。デジレは日本人の父とフランス系アメリカ人の母との子で、どうやら母方にドゥシャンの血が入っていたらしい。そのおかげで3歳の時に御家で教育を受ける事になっても、デジレは特に優遇されていた。一般的な食事も与えられ、酷い罰もなく、ただひたすらにエリートとして育て上げられた。瞬間記憶能力と卓越した判断力を武器に、あらゆる知識を吸い上げて、デジレは優秀な「商品」に育った。そして彼が12の時に、引き取った未熟児を苦労しながらも5つまで育て上げ、ドゥシャン一門殲滅事件が勃発。5つの幼子を信用のある男のもとに預け、自分は17の時にアメリカに帰還。義理の父母のもとで「良い子」を演じ続けた。当時から少しの副業をやっていて収入はあり、金に困窮することは一切なかった。

「…あー…あの時が一番きつかったなァ…」

自分で放ったひとことから、ふと過去のことを思い出す。あの屑のような一家には二度と帰りたくなかった。なのにあの家に執着していたのもまた事実。それを認めたくないのに、インノチェンティと聞くとどうしても怒りが隠せない。なんだかんだで自分が一番多くの人間に愛されていた時期ではないだろうか。そんな事を思いつつ、RCフランス支部の最上階の一室の前に立つ。扉がやたらでかい。苛立たしい。大きく息をひとつ。ポケットに手を入れKOOLブーストを取り出しボールを潰して、煙草に火をつけた。ふう、と紫煙を吐き出し高級スーツのスラックスのポケットに両手を突っ込む。そしてその腹が立つ程に豪奢な戸を怒りの儘蹴って開ける。

「Bonjour! Comment ça va?(やあ!調子はいかがかな?)」

野蛮としか言えない行動とは裏腹にフランス語で鬱陶しい程形式的な挨拶を吐き出す。と、両脇から鈍い金属音。かちり、とハンマーを降ろす音。当然だ、突如の不躾な侵入者を、この二人が赦す訳が無い。隻眼の執事服と、体格の良い美男子がぎろりとデジレを睨む。デジレはそれ等に目もくれず、真っ直ぐに、正面の老獪を睨んでいた。それはそれは、「ウロボロス」では到底あり得なかった、優しい笑顔とともに。老獪はぱんぱん、と手を打ち鳴らす。それを合図に左右の男が銃を仕舞う。

「よォく訓練された狗じゃねェかァ!良い子だ、Bambino!」

訛りの強いイタリア語で両サイドに控える二人に言いかける。合図はあってもデジレがアンダーボスと知らない彼等には不審な人物である事には変わりない。まだ警戒はしているのだろう、鋭い視線を背に感じながら、傍にあった椅子を引っ張り、紳士風の老人の豪奢な机の前に偉そうに座った。まるで高級靴の裏面を見せつけるように、その高級そうな机の上に両足をどかりと乗せる。少し静かになったところで、老人が口を開いた。

「いい狗だろう?彼等は特に私のお気に入りだ。 …さて、アンディ、紅茶を。ああ、君は珈琲の方がお好みだったかな?」

少し躊躇したのだろうか、少々の間を置いて、アンディは礼をして退室した。ドアが閉まる直前に「ああ、あと灰皿頼むぜー!」と軽く言い放つが、アンディの耳に届いていたのかは定かではない。部屋に残されたのは口を固く結んでいる美男子――名をロキシスと言う――と、ニヤニヤと反吐の出る笑みを浮かべた細長い男、そしてやさしく微笑む老紳士の3名である。異様な図であった。ほどなくしてアンディ――隻眼の執事、主に幹部やボスに仕える執事達の総括である――が、豪奢な飾りのティーポットとティーカップを二組、そして硝子の灰皿を、優雅な仕草で運んで来る。老人が紅茶と珈琲の銘柄を訊ねるも、デジレには全く興味の無いものなので脳から完全に排除した。

「…で?不足の駒ァ、どうすンだよ。」

珈琲を一気に飲み干し、煙草を銜えてから、デジレが老紳士――RC二代目ボス:サウル=B=インノチェンティに問う。あまりにその言い方に品がなかったからか、アンディが少し眉間に皺を寄せる。怒んなよォと手をひらひらと振りながら肩を揺らして笑った。

「そこに困っていてね。私は面白いから構いはしないのだが…手持ちの駒では、現状を保つのも精一杯だろう、ね。困ったものだね。君はどう思う、デジレ?」

サウルはその腹立たしい程にやさしい笑顔を崩さぬまま、さらりと外道を言ってのけた。それを見てデジレは眉尻を動かし、煙草のフィルタを少し噛む。ああこの男の怒りは解り易いと言わんばかりに、サウルは少しだけ口角を上げた。その様でさえ、腹立たしい事この上ない。だからこいつの顔は見たくなかったのだ。ふう、と紫煙をあえてサウルの顔に吹き付ける。

「私に意見を求めンなよォ。そーいうのは大体貴様の仕事だろォが」

かちり。恐らく度重なる非礼にどこぞの誰かが痺れを切らしたのだろう。拳銃を握る音が、静かな室内に響く。それを聞いてデジレは馬鹿にするように大きく笑った。

「おォいサウル老!よォく躾されたワンコじゃなかったのかよォ?これは客人に失礼の極みってモンじゃねェのかァ?なァ?」

挑発的な態度。これがデジレ、否、「オルトロス」である。Re dei Cani内では全くと言う方が近い程に見かける事が無い「存在しない筈のRC構成員」、それがオルトロスと呼ばれる存在であった。デジレはそのポジションに約20年間就いていたのだ。ボスと一部の幹部以外知られる事の無かった存在なのだ、彼等が知る筈も無い。それを見やり、サウルは上品に大きく笑った、先程のデジレのように。

「いやこれは済まない、どうやら彼等は君を他人扱いしているらしい。いつもならばこうはならないのだがね。」
「態度はほぼダビデと同じだろォが。何で私だけこうも非難されるんだァ?」
「ははは!君が彼をダビデと呼ぶのは珍しい。弟なのだ、【ダヴィド】で構いはしないだろう?」

ぴくり、と、サウル以外の3人の眉が動く。

「……まァなァ。…あァ。そういやァ噂の【ドゥシャンの娘】はどこだよ?アレのソルジャーの管理頼まれてンだ。」

ダヴィド=ドゥシャン。それが今の「ダビデ=O=インノチェンティ」の幼名であった。あまりにも中性的な顔立ちであったことから、彼の幼い姿を知る者からは【ドゥシャンの娘】と呼ばれていた。そして、デジレが5年間手塩にかけて育て上げた子供が、ダヴィドであった。だからダビデだけはデジレの存在を知っていたし、デジレに対してのみ敬語を使うのである。そしてそれの話題を出すと、決まってサウルはにやりと気味の悪い笑みを浮かべるのだ。己のお気に入りが今頃どう苦労しているかを想像するだけで楽しいらしい。

「おや、ご存知なかったかな?今ルーマニアで眠りに就いている筈だが。」
「ハッ!眠り姫気取りかよォ。何だァ?王子様のキスでもねェと起きませんってかァ?」
「おや、では起こしに行って差し上げたらどうかな?」
「冗談よせよォ。私ャァそんな趣味持ち合わせちゃァいねェってんだ。」

くつくつと二人して笑う。延々と続く中身の無い会談風景を見、アンディとロキシスはこの喧しい井戸端会議を聞く事を放棄した。

「…さて、いい加減本題だ。ここの一室を使わせて頂きたいんだけどよォ。どっか防音設備が完璧で、電波の通る、ウォータークロゼットとバスルームが存在した空調完備の快適な広い部屋はねェかな?」

何時間も続いたどうでもいい会話が、そのひとことでやっと終わった。


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借りられる場所に案内されて数十分、防音の完全性と盗聴器・盗撮カメラが無い事を確認し、デジレは真っ先に愛機の組み立てに入った。一般人からしたら、今何をしているのか、その部品は何の機能を果たすか等、全く意味の分からない作業を初めて数時間。漸くデジレのテリトリーが出来上がった。今度はケルベロス本部の時のようなヘマをしないよう、部屋の各点に操作式の爆弾を仕込んで。

「こんなところ、かなぁー…?」

ふと零した言葉がアメリカ英語であった事に驚いて、つい口を押さえる。そして自己嫌悪。ポーズがあまりにも女々し過ぎる。阿呆らしく感じて長い髪を掻き上げる。ふと思い立ち、自分の白髪を眺める。少し長く伸ばし過ぎただろうか。それに白髪は若干目立つ。そういえば、或る日の事を思い出す。あまりにも個性の強過ぎるケルベロスで、できるだけ自分が自分と解り易いようにと伸ばしたのだったか。伸ばし放題だったためか、毛先もばらばらである。切りそろえていた頃が懐かしい。くすり、と一笑する、それはケルベロスにいた自分の「特徴」であった、眉尻を下げて卑屈っぽい印象の残る笑顔であった。

「ウロボロス、は、殺して了った方が良い、かぁー」

その笑顔の儘、ゆっくりと呟く。そして、徐に鞄から小振りのナイフを取り出す。何の為と所持していたわけではないが、こんなかたちでお世話になるとは思わなかった。首筋にナイフを添わせ、思い切り、ばつりと、









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「髪も、染めた方がいいかなぁー?」

ゆっくりと、頭を上げたそれは、エメラルドの瞳をぎらつかせ、にやりと笑む。その蛇の残滓は、窓の外に、風と共に散らばってなくなってしまった。


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サウルの話の内容を思い出す。そういえば、ダビデに連絡は行っていないのだろうか。かたかた、と、愛機のキーボードを打ち鳴らす。モニタにはいくつかの病院の個室が映っていた。病院は彼の行動パターンと、RCの息のかかっている病院ということで大体は絞れていた。そのうちのひとつに、緩くパーマのかかった長髪を見つけ、拡大画像を出す。それは紛う事なき、ダビデであった。ダビデは起きている様子であるが、呑気にへらへらと女と笑っているようである。恐らくこの様子だとRC本部爆撃事件や自分の置かれた立場を理解していないようだ。我が弟ながら情けないよと、心で思っただけであった筈が、

「何してんだよあのxxxxx…」

酷い罵言を呟いていた、勿論デジレ本人に自覚は無い。仕方が無いと携帯を取り出して、彼の横に座っている女性ソルジャーの携帯に電話をかける。あの馬鹿の事だから自分の携帯を持ち歩いてはいまい。仮に持っていても電源は落としているだろう。アレはそういう最新鋭の機器というものの扱いが苦手なのだ。何が苦手かといえば、一番はそれ等の発する音だろう。耳が良過ぎるダビデにはそういったものの出す電子音や人にはあまり聞こえない高周波の音も聞こえてしまうらしい。流石ドゥシャンの御家の中でも1、2を争う「異端児」である。そして携帯の持ち主よりも早く、ダビデが反応した。それに続いて隣の女性が反応、携帯を見、訝しげな顔をする。一応出てくれるようではあるらしい。彼女の母国語、英語でまったりと話しかけた。

「失礼ー、不躾で申し訳ないのですがぁ、横のダビデってクソ餓鬼に変わってくれませんー?」

あ、あと電話を変わった後に貴女は部屋からご退室願いたいんですー、と付け加える。彼女とひとことふたことやりとりを交わしてから数秒、彼女は渋々と携帯をダビデに渡してくれた。それを確認してダビデへの伝令を述べる。途中罵声が飛んで来たが適当にいなした。そして「了解」という一言を貰って電話を切る。ダビデはかなり落ち込んでいる様子であるが、今のデジレになにができるというわけでもない。自分にできるのは、彼のソルジャーを一時預かるだけだ。いつかは帰さねばならない、その為にも自分はここでどっしりと構えねばなるまい。ただ顔を出すと危険なのでこのテリトリーに引き蘢ったままとはなるが。自分はデルシオネに顔を見られているのだ。ここで遭ってしまうのだけは避けたい。そのため空調風呂トイレ完備と、1つの階全体をまるまる借りてまで防備しているのだ。勿論ロックにもセキュリティにも抜かりは無い。

「………さて、これで一旦は休憩できるかな。」

とても、疲れた。移動も尚更、諸々の処理と伝達に相当の時間を要したのだ。だがまだここで行動を終える訳にはいかなかった。

「…【むこう】の皆にも連絡とらないとねぇー」

なによりも友人達の安否が心配であった。取り敢えずジキル以外の全員に連絡を回してみることにした。連絡先が解らない人はある程度の行動パターンから位置を推測、それと思しき映像から顔認証にかけて真偽を判断して所持端末へと連絡、生存の確認を行った。が、

「なんで…出ない、かなぁー…?」

苛立ちを含んだ間延びする声で呟く。ベネディクトが数日前から失踪しているのだ。恐らくそれと思しき映像は空港で発見しているが、それ以降の映像が全く見つからないのだ。なによりも「ウロボロス」にとって、ベネディクトの外出自体が想定外であった事もあってか、今回ばかりは行動が一切読めない。仕方ないので空港の監視映像から周辺建造物の映像、少し離れた所の映像もまとめて眺める。ひとつ見つけてはそこから半経数キロ範囲の監視映像をハック、ひとつ見つけては、を、すっと繰り返した。だがそんな無茶がずっと続く筈も無く、それの体力は限界に近づいていた。

「ああくそ、こっちじゃねェ…Cazzo!また消えた!あァ?次はどれだ…?……Damned!」

決して無茶だけはしないでほしいと、そんな願いを持ちつつ、ひたすらに監視映像を眺めた。勿論傍らではRCの仕事やその他の仕事を続けながら、である。身体の疲労は感じるが死への危機感や行動の停止などというものは元より備わっていなかったそれには、一度集中してしまった事項を最優先してしまうため、非常にどうでもいいものでしかなかった。寧ろ疲労感などというものは枷でしかなかった、と言う方が正しいだろう。ひたすらに頭をフル回転させ、ベネディクトだけではなく元ケルベロス隊員全員の行動を読む事にムキになっていた。意識は朦朧、もう普通に喋る事も儘ならなくなり、字でさえまともに書けなくなった頃に漸く、

「…ん、じゅぅーぶん、データは、とれたかなぁ…?」

そうしてその無謀な行為は、がたん、と、どさりいう音とともに、彼の気絶という結末で一旦幕を閉じた。





  ――それはきっと、刻まれた蛇の残された骸



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ながかった!!!!!!!!!すまん!!!!!!!!^q^^q^^q^^q^^q^
でもつめこむもんつめこんだら!こうなった!!!!すまん!!!!!
実はもっと伸びる予定だったけどカットカットした!!!入浴シーンとかいらんだろ!?ってことで!!!←←←←←←←←←←




※ほそくがないとあなたなにもできないのねすみません※

デジレさん、まあめんどいんでうろって言いますけど、うろはこれより黒髪ぱっつんになるます!wwww断髪式ってロマンだよね!!!!←

うろは気絶してます。まあ頭に酸素と血がまわりだしたらすぐ起きるかもですが。多分爆撃事件から1週間経ったくらいかな…?

サウルとのお話は別にどうでもいいとか内容がないわけではなくて、どうでもいい会話の中にヒントが隠れていて、それを読み解くゲエムってだけですwつまりは口頭の暗号ですwwwわかんねえよって話ですねwwwwwwww←
そこから色々今のRCの状態とかを聞いて、自分のやる事をある程度お話ししたっていうかんじですw

あ、あとダビデはサウルの弟分であって、実の弟ではないです。ダビデにはドゥシャンの血は入ってません。外部の子です。当時のドゥシャン当主の愛人の連れ子(といってもまだうまれたてほやほやで連れてこられた)です。ちなみにドゥシャンの一門はもうこのふたりしか存在していません。

ダビデへのお電話ですけど、それは後日まったり文章にしまーす^q^←

暫くは誰とも会う事も無く、ソルジャーさんやアソシエーテが来てもドア越しに電子音で指示を出したりドアの前に書類を置いたりしてます。完全ひきこもるんやってます。
なにがあってもそこの階から出ない!お部屋からもトイレとお風呂以外出ない!!!食事のときはドア開けてこっそり受け取る!!!←←←←
でも隙があればちょこっと外出したりもするよ!流石に缶詰すぎるのは頭が回らない!←

そしてCSの皆には生存確認の電話とかを鬱陶しいくらいにかけまくります!!!隊長以外!だって隊長に電話かけたらブチ切れられそうなんだもn←←←←←
たまにパシリ電話とかかけるけどシカトしてね☆←←←←←←←←←←←←←←




なんか…びっくりするほどうろがヤンデレでしたね。親もびっくりだ。アルェー??^q^
そしておおよそ7800字、なんだそうです、この残念文^q^どういうことなの…長過ぎ乙…^q^


すみませんでしたああああああああ!!!!
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