久々の更新となりますが、破壊的イノベーターの件にかんしては前回で終わっております。これから先はまた別のことを行っていくのですが、予告しているのは組織にかんすること、入門的にグレイナーの成長の5段階を用いて組織の話を行うこと、そして私のオリジナル理論である「無意識の破壊と蘇生」を用いての舞台の運営方法などは予告しておりますが、諸事情により順番を入れ替え、戦略論的な議論を優先させております。そしてこ前回からは戦略論の域をこえて戦術、いわゆる具体的な方法論を示しており、これをまだ回数は決まってませんが、当分はこの戦術の話で進めていきます。
ところでこの東京飛ばしですが、これの意味は簡単で、「東京を外して行動すること」です。この件にかんしては前回に補足的に書こうか大変悩んだのですが、話がややこしくなると意味がないと思い、今回にこの話を持ってくることにしました。前回の記事を読んでいない、ないし内容を忘れた人は是非ともこの機会に読み返していただきたいのですが、私はこう書きました。「これを全国のライブハウスで行っていくことによりアイドルへの視線は変わり、やがてアイドルコーナーにしか置かれないアイドルのCDはロックのコーナーに
置かれるようになり、配信では様々なジャンルのカテゴリーから検索ができるようになり、やがては日本のポピュラー音楽にとってなくてはならない存在となる
のではなかろうか、という仮説を持っております。」この中でもとりわけてご注目いただきたいのが、「全国のライブハウスに行く」という部分です。この書き方だと当然のごとく「東京」も含まれるのですが、この東京を飛ばして46道府県で勝負しましょうとというのが今回の趣旨です。
まず、東京というところは日本全国からいろんな人やモノが流れてきており、その意味で刺激的であり、いろいろと勉強になることも多く、地方出身者にとっては一年だけでも東京に暮らすだけで自分を見つめなおすいいきっかけとなる地域ですが、ポピュラー音楽の業界に関していえば、音楽の流通経路と形態がかなりの変化を見せており、その結果、音楽は聞くものであるのは変わりまりませんが、「見るもの、見せるもの」へと急激な変化を見せておりまして、本業界に関していえば、別に東京でなくても機能するようになってきております。原因はインターネットですけど、インターネットの普及によってより実物を見たいとする消費者と、CDが売れずに困ったアーティストはライブによって収入を確保するという、主たる収入源の柱の変更が行われており、その意味で現在ではものすごく目に見える状態で需給関係が一致しております。ゆえに一流のミュージシャンになりたいのであれば積極的にライブを行うしかないのですが、そうすると皆様方、「東京」のとはどのような存在となるのでしょうか。
ミュージシャンをめざし東京へ・・・は今は昔です。日本のポピュラー音楽業界は成り行きは大きな違いがありますが、インターネットの出現によりかなり欧米諸国に似てきました。ようするに、先に地方を回って最後に中央です。どうしてこうなるかというと、インターネットの発達と普及によりミュージシャン情報と音源を即座に入手できるようになりました。これにより聞いてもらえるチャンスは増えるものの、形としてのCDは売れなくなりました。収入源の確保のためライブを増やそうとするのですが、東京のライブだけでCDでの売り上げの機会損失分(もし売れていたら大きな収入となっていた売上金)を補うことができればいいですが、そうはいきません。常にファンが東京まで見にきてくれればいいのですが、そんな都合のいいようにいきません。となると、自分たちがファンの近くまで寄っていかねばなりません。単純な話です。私たちのファンでもそうですけど、私たちのことは大好きで、該当する地方へ出向いた時は必ずライブに来てくれる人は多いです。しかしながら、いくら好きでも費用と時間と私たちのライブを天秤にかけた時、ほとんどの場合は費用と時間がまさります。遠距離恋愛が成就しずらいのも経済学的に見るとこれと同じ原理が働いているからです。
もう一つの理由として、前述しておりますが、ミュージシャンの情報を知ることがものすごく速くなりました。それも地方を選びません。もし該当するミュージシャンの予備知識がなくともネットで調べると文字情報、静止画、動画、全ての情報が瞬時に手に入ります。しかし、知ったからといって東京までライブにきてくれるかというとそれは甘い話で、費用と時間をかけてまで東京まで出てくる人はごく少数です。これが東京に出てきても売れない最大の要因です。人が多いから埋もれるとかいう問題ではなく、情報社会の現在において、その情報社会という環境をうまく使いこなせるか否かであります。これまでのライブの役割は「知ってもらうため」でありましたが、現在では「知った人を見にいく」という状況となっており、このことに気づかないといつまでも東京というトラップにかけられたままの状況となります。
これらのことにより、まずは地方でのライブを優先し、そこで人気が出てくれば東京でライブを行いマスコミに対して止めを刺してやればいいことであり、逆に地方で人気が出ないにもかかわらずいきなり東京へ行っても大黒柱がない家に住むようなもので、即座につぶれてしまいます。これが東京飛ばしのすすめです。LinQはもともと地方のアイドルだからといって天下をとるために東京へいきなり進出するのではなく、まずは東京以外の46道府県を攻めていってもらいたいです。そうすれば地方の特性もよくわかり、最後に東京へ進出する際は無敵のライブを繰り広げることが可能となっていると思われます。
一つお断りしておきますが、東京へ進出することがいけないと言っているわけではなく、その順序が大切だと私は経済学的に主張しておりますので、この点を是非ともご理解ください。次回からは東京飛ばしの実践編をやっていこうと思います。ご高覧、ありがとうございました。