とある知人の話です。
非常な高ストレスの職場で働いているらしく、眠れない日が続き、薬をもらうことになりました。
ストレスの原因は、職場の他の人がさっぱり働かないことや、人格攻撃的なものに起因するみたいです。本人がもともとナイーブなところもあり、状況が良くなる気配はありません。
普段は彼にあまり興味のない上司、一応彼のことを少しは気にかけてはいたようなんですが、たまたま何かの流れで
「眠れているか」
という話になり、正直に状況を伝えたところ、
「性格だからしょうがないのかもな」
と。

ああ。
お、惜しい。

というのも、一応でも心配してはいるのでそこまでは評価できるんですが、問題意識がないので「しょうがない」で止まってしまうわけです。
会社で働く、という形がスタンダードなのは、その方が効率が良いとか理由はいろいろあると思うんですけど、様々なタイプの人間の個性の「いいとこどり」ができるのも大きなポイントだと思うんですよ。
もちろん、実力があれば独立してやっていった方が良い場合もありますが、独立してやっていけるほどの実力者は世の中にそうそういるわけではないですね。

話は戻りますが、「性格だからしょうがない」という見方。
まず、性格※って方向性と強度の問題であって、良し悪しではないというのが自分のスタンスです。で、性格は滅多なことでは変わらないと。
そういう意味ではしょうがないといえばしょうがないんですけど、その「しょうがない」をなかったことにする(&↑の「いいとこどり」をする)ための会社なわけでして。
性格に対するマイナス評価は、単に組織としての人事戦略の失敗を意味しています。例えばリーダー向きでない人をリーダーにして、リーダーにしたのにリーダーに向いた性格にならないと嘆いても、それは女子トイレに行かせたのに女性にならないと嘆くのと同じです。
誰を軸にどこまで考えるか、というバランスの問題もあるんですが、いずれにせよ、人ひとりを犠牲にして他の人らはハッピーな職場、というのはダメですね。

自分がその上司殿の立場だったら、ですが。
当たり前ですけど、仕事をしていない連中に罰を下します。え? 誰が仕事していないかわからない、なんて論外ですよ。
それから、注意深くヒアリングして、仕事の割り振りに口を出す。仕事の質は能力に合わせるとして、ひとつの職場の中での仕事の量でいえば、可能な限り平準であるべきです。
能力のある人に仕事が集まってしまう現象は全国各地で観測できると思いますが、その人でなくてもできる仕事は他の人に割り振れば良い。それはマネジャーの仕事です。
一見つまらない仕事でも、能力のある人に何から何まで集中してしまうと、他の人の「居場所」及び「成長の機会」を奪ってしまうことになります。それは雑用なんかも含みます。雑用もできない人は知りませんが。
報酬や評価は成果や言動によって決めればよろしい。

メンバーのコンディションに目を配る、というのはマネジャーの最低限の仕事のひとつだと思っています。そういう意味で、惜しい。ストレッサーもある程度わかっているからなおさらです。
もっとも、その上司殿が組織の中でどの程度の影響力があるのかわかりません。もしかしたら彼もまた、居場所と機会を奪われた人なのかもしれないですし…ね。


とかなんとかコ難しいことを言う前に。
部下がかわいいと思ったり心配だったり、そういうのないのかなあと思う猛暑日の夜。


※性格について自分が思うエントリ。
http://ameblo.jp/linksgyogan/entry-10417963247.html
http://ameblo.jp/linksgyogan/entry-10443653459.html