サントリーの広告@成人の日 | Bar Lingua Franca~狛江のバーテンダーのblog~

サントリーの広告@成人の日

成人の日の朝刊のサントリーの広告。

毎年楽しみにしている物のひとつです。


以前までは山口 瞳さんによるものでしたが、没後、伊集院 静さんが書いています。



『二十歳の青空。』


二十歳、新成人おめでとう。

二十歳とは何だろう?

二十歳は青空に似ている。青く澄んでどこまでも飛

翔できる可能性を持った空だ。誰にも空はあるが、

二十歳の空は君だけのものだ。空のキャンバスにど

んな絵を描くかは君しだいだ。

空を見上げてみたまえ。同じ空の下で、今日も戦場で

若者が死に、テロは続いている。いじめで後輩が

生命を断っている。すぐそばで悲惨な事件がくり返

される。金で何でも手に入ると信じている輩がいる。

おかしいと思わないか。哀しみと歩くために私たち

は生まれてきたのではないはずだ。どうして人をい

じめたり、平気で人を苦しめたりする者がいるのか。そ

れはボクたちの身体の中に何ものにもかえられない

素晴らしいものがあるのを忘れているからだ。子供

の時に読んだ本、聞いた詩、口ずさんだ音楽でやさ

しい気持ちになり、生きていることが素晴らしいと信

じられた時間が詰まっているんだ。その気持ちを捨

ててはいけない。人間が生きる姿勢はそこから生ま

れるんだから。

二十歳の空はどこにでも飛んでいける。信じるも

のにむかって飛び出そう。空は快晴だけじゃない。

こころまで濡らす雨の日も、うつむき歩く風の日も、

雪の日だってある。実はそのつらく苦しい日々が君

を強くするんだ。苦境から逃げるな。自分とむき合

え。強い精神を培え。そこに人間の真価はある。

今日から酒が飲める年齢だ。苦い酒を覚えろ。酒の

マナーは品性だ。でも一人じゃないぞ。

空には星もあるのだから。


伊集院 静



新成人おめでとう。山崎で乾杯。

サントリーシングルモルトウイスキー 山崎12年


~2007年1月8日(月) 読売新聞朝刊より~