ある家の健康診断 | 楽しんで木・自然素材・土壁の家づくりをするために

ある家の健康診断

こんにちは、水谷です。
前回のブログの「友人からのメール」の答えがわかりました。
ニュージランドで大きな地震が起きてしまったことなのですね。
とてつもなく大きな被害が出ていますが、地震ってどこに住んでいても本当に避けようのないもので、改めてその怖さを感じています。

ある住まいで「耐震」についての調査を丁度していますが、今回は調査のレポートです。

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ほんらい家の図面があればそれをもとに調査をするのですが、今回は図面がなかったので、まずは間取りや窓の位置などを確認しながら採寸しました。
一通り図面を描いた後、床下や小屋裏に入って構造部などを点検します。

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これは床下に入って撮影した写真ですが、床下換気孔の上で土台が継がれてあるのがわかるでしょうか?
わからなければ、写真を大きくして見てくださいね。

「土台」とは建物を支えるものであるので、当然、かなりの荷重が掛かります。
そのため、強度がおとる開口部(換気孔)の上に木のつなぎめが乗ると、土台がたわんで、建物が沈む恐れがあります。
木を継ぐのであれば、開口部ではなく、きちんと基礎の上に乗せたほうが安全です。

青く写っているのは、「断熱材」で、ホースみたいなものは「ガス管」なのですが、ガス管が邪魔をして断熱材と土台の間に隙間ができてしまっています。別の個所でも、断熱材に隙間が多く見られました。

お客さんは、「部屋がとても寒い」と感じておられますが、以前お話した換気孔から入ってきた外部の冷気が、このような断熱材の隙間から家の中に入ってしまって床や壁が冷やされてしまうためです。

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これは、小屋裏に入った時の写真です。今は冬なので涼しかったのですが、夏場だと暑くてたいへんです。

小屋裏に入ると、柱や梁、筋交といった構造骨組みの現状が把握できるんです。
部屋の中からは柱や梁や筋交といった構造骨組みなどを確認できない場合が多いので、小屋裏に入ってしっかり確認します。

写真でもわかると思うのですが、補強金物の錆びが少し気になりますね。

この家は、築40年くらいですが、土台が腐ったり、シロアリの食害もなかったですし、当時の仕様にしては、基礎や柱などの構造部の劣化は少なかったと思います。

けれど、この当時の住まいは、基礎に鉄筋が入っていないため、鉄筋を入れて補強したほうがいいですね。

形状が、縦長で、短辺方向に窓が多く壁が少ないために、建物のバランスがちょっと良くないように思いますが、お客さんが「風が吹くと揺れる」と感じておられるのも、このためかもしれません。


引き続き、今回の調査を基に図面を作成して強度を計算し、具体的な検証をしていきます。

またブログで進行状況をお伝えしますね。