いよいよ開催が今週末に迫った『東京野球ブックフェア』での販売スタートを目指し、密かに開発を進めていた当スタジアムの新商品が、ギリギリのこのタイミングになってようやく完成の日の目を見たので、ここに告知させて頂く。
話が長くなるのを承知で、始めに今回の新商品誕生の経緯に少々触れておきたいと思う。
事の発端は、昨シーズンの「桃色行脚」のお供として常に携帯していた一冊のノート。
屋根裏部屋みたいな名前の某大手生活雑貨チェーンから、膨大なジャンルのものがリリースされている「趣味の手帳」シリーズの、「野球観戦」というやつである。
その名の通り、観戦した野球の試合の、スタメンやスコアなどの情報などを1試合につき見開き2ページで書きつけてゆくノートで、1試合丸々スコアをつけながら観戦するほどのガチではないが、観戦日記や備忘録的に情報を残しておきたい(でもスマホではそれをしたくない)というような層に好意的に受け入れられたようで、同じものを持っている知り合いも多く、球場でも割とよく見かけたりした。
野球観戦に特化したノートというだけあって、なるほど確かにただの大学ノートなどに書きつける事を考えたら、すこぶる機能的で便利であり、決して少なくない野球ファンが同じものを選んだのも頷ける。
頷けはするのだが、昨シーズンの約70試合の観戦に常に携帯して使ってみた中で、「こういう欄が欲しい…」「これいらんな…」という不満、というか「もうちょっと痒い所に手を…」という点も様々生まれてきた。
そんな話を、同じノートを愛用している当スタジアムの常連様にある日何の気なしにしてみたところ、全く同じ思いを抱いている事が判明。我が意を得たりとばかりに「ならば我らの手で我らが欲しいノートを作ろう!!」と、酒の勢いも借りて大いに盛り上がったのが多分半年以上前の事。
酒席につきものの話だが、その場で盛り上がったはいいものの、それから数か月は店晒し状態となっていた「我らのノート」構想。
今回『東京野球ブックフェア』二度目の出店に臨むにあたり、何か新商品をと無い知恵を絞った際にふと思い出し、「手帳も広義のブックだろう」という解釈からイベント趣旨へ合致すると判断、そしてその手のもののニーズが一番高まるであろう開幕直前というタイミングの良さもあり、商品化を決定した次第なのである。
前置きがクソ長くなったが、そういう経緯から誕生した新商品がこちら。
その名もずばり、『野球観戦手帳』である。
背表紙側はこう。
多少面積を抑えているとはいえ、一目で当スタジアムのプロダクトと分かる桃色の装丁。
サイズ比較のために隣にボールを置いてみたが、サイズはA5、つまりA4の半分である。
背表紙の左下に小さく書いてある文字を拡大してみる。
実は今回のノートも、先日リリースした「桃色ポケット日程表」と同じくプロの手をお借りした。
前述の「我らのノート」構想を語らった相手こそ、「桃色ポケット日程表」のデザインも手掛けてくださった、野球書籍関連の仕事を数多く手掛けているデザイン事務所、コイグラフィーの鈴木ユキタカさんなのである。野球仕事とも言えない、野球居酒屋の世迷言に毎度お付き合い頂き、有難すぎて涙が出る思いである。
そんなプロの技もお借りして完成させた、当スタジアムの『野球観戦手帳』の特徴を説明させて頂く。
①薄くて軽い
冒頭で触れた昨年お世話になった〇フトさんの「観戦手帳」の一番の不満点は、「重い」であった。
その理由は、試合記録を書き込むページ(全48試合分)以外に、巻頭の球場グラビア写真、巻末のルールや用語説明、各球場のデータページなど、充実の付録ページがかなり多く、結果厚さは約1センチに及び、その厚みの分だけやはり重いのである。
当スタジアムの『野球観戦手帳』には、もちろんそんなしゃらくさいページは一切ない(入れようと思っても、その予算もない)。薄くて軽く、観戦バッグの中でもかさばる事もないであろう。ちなみに書き込める試合数は31試合(ページ数の関係で半端な数字となった)である。
また、A5のサイズは市販のカバーなどのバリエーションも多いので、ど派手な桃色の手帳を持ち歩くのに抵抗がある方は、隠すのもたやすいであろう。
②今季日程表付き
表紙裏のスペースを活用し、「桃色ポケット日程表」と同じ日程データを入れてみた。
「桃色ポケット日程表」の存在価値を自らなくすような真似と言えなくもないが、あったら便利であろう事は想像に難くないので、ここだけカラーを使える利点を生かして採用。
これにより「売れ残った場合は来年また売る」という事も不可能になったが、退却の事は考えないのが常に当スタジアムの基本方針なのである。
③安い
さすが天下のL〇FTさんの手帳は、そのしっかりした体裁と盛りだくさんの付録ページゆえのボリュームゆえ、1620円となかなかいいお値段がする。
当スタジアムの物販の原則は、「自分が欲しいものを作る。けど最少ロットの関係でいっぱい作らきゃならないので、余った分は販売してみる」なので、基本的にほぼ原価販売を行っている。
今回の『野球観戦手帳』も同様。当スタジアムは飲食店であり、物販で儲ける気が毛頭ないので、お値段はほぼ原価の「500円(税込)」とさせて頂く。
よほどの暇人か貧乏人しかしないであろう「1試合当たりの単価計算」をしてみると、L社の1620円÷48試合=@33.75円に対し、当スタジアムのは500円÷31試合=@16.13円で、半値以下という結果になった。「安かろう悪かろう」説も否定できないが、とにかくコスト重視の方には朗報であろう。
「高いも安いも、中身見てみないとわかんねーよ」という罵声が聞こえ始めた気がしたので、肝心の記入する手帳部分をざっとご覧頂く。
こちらが開いた状態。L社のものと同じく、見開きの左右2ページが1試合分である。
一色刷りなのだが、やはりそこは「桃色」を採用させて頂いた。
薄めの色使いかつ引きの写真ゆえ、詳細がよく分からないかと思うので、ざっと四分割して紹介させて頂く。
①左ページ上段
まず最初に左上「観戦通算 試合目」。予算の関係でページ数を振るなどが出来なかったため、ここはお手数だが自らご記入願いたい。お隣に「対戦カード」が来て、その後「日にち」「球場」「時刻(プレイボール~ゲームセット)」「天気」「気温」と、その日のデータを書き込む欄が続く。
わざわざ入れてみたのがその右隣の「審判」の項目。二軍はほとんど、一軍戦などでも球場によっては試合中に審判名がスコアボードに表記されず、プレイボール前にアナウンスされるのみというケースもあるが、ここに書き記しておけば安心である。日本シリーズも想定して、両翼線審の欄も入れてみた。
その下は試合を追いながら記入する「スコア」の欄。神宮などに倣ってイニングごとの安打数を記載する欄も設けてみる。
スコアの下は、試合終了後に記載する「試合時間」「観客数」「責任投手」の欄である。
②左ページ下段
上段からの続き。「ピッチャー」は継投を順次書き込んでゆく用に、欄が横長になっている。投球回数や球数など、好みに応じて色々と記載して頂ければ。
その下は「ホームラン」の欄。1試合に7本以上の乱打戦となった際は余白にどうぞ。
そして一番下に「スターティングメンバー」を書き込む欄。こちらも試合途中交代に対応できるよう、名前のスペースに余裕を持たせる。足りなければその下の「交代選手」の欄をどうぞ。
③右ページ上段
球場や試合情報を書き込む左ページは、多少欄を増やしたものの、実はL社のものとそこまで大きな差はない。自分たちが個人的に「あったらいいな」と思った小林製薬的要素は、主にこの右のページにぶち込んだ。
一番上の左は「席種(金額)」の欄。毎回外野のみ、というような方には不要かもしれないが、当方あちこちの球場であちこちの席種に座りたがる落ち着きのない性分ゆえ、「いくらのどこの席種に座ったか」情報は割と大事なのである。
その右隣は、「12球団ファンクラブ入会者」がふたりで作った手帳らしさが一番出ていると思われる「FCポイント残高」の欄である。ファンクラブの来場登録の際などに、その日時点の残高をちょちょいと記載しておくと、いちいちWebサイトにアクセスせずとも確認できるのである。ポイントを利用した際は、それも書いておくといいであろう。
その下ふたつの「FC戦利品」「入場時戦利品」なども、モノを貰う事が球場へ足を運ぶモチベーションのひとつ(しかも割と大きな)になっている輩ゆえの欄であろう。ファンクラブ会員限定のピンバッジやボブルヘッドなどは上段、全員配布のボードやクリアファイルなどは下段に、と使い分けよう。
貰ったものの次は買ったもの、という事で、球場内でのお小遣い帳的欄を、「買ったもの(物販)」「飲食」に分けて用意。それぞれ「今季合計」の欄もあるので、ちゃんとつけ続けていたらシーズンの終わりに球場でいくらお金を使ったのかが分かるようになっている。そんな現実を突きつけられたくない気がしないでもないが…。
③右ページ下段
右ページの下半分は、「メモ」という名のフリースペースである。
ぱっと見は細かいマス目に見えるが、ここにしこしこと細かい文字を書き込め、という事ではない。図やちょっとしたスケッチが書き込みやすいようにと、やれマッキンゼーだの東大生だの、頭のいい人が使ってるとやらで一時期もてはやされた「方眼」を採用。この手帳を使っても頭は良くはならないが、いろいろなアイデアで活用して頂ければ。
以上、ざっととか言いながらかなり長々と説明してしまったが、これが今回作製した当スタジアムの新商品『野球観戦手帳』である。
かなり特殊な野球観戦スタイルを採っている者のニーズに沿って作られているので、どこまで一般のニーズに受け入れられるかは未知数すぎるが、とにかくもう出来上がってしまったので、こいつを引っ提げて週末の『東京野球ブックフェア』に乗り込む予定である。
野球観戦にちょっとしたメモを取りたいな、と思っている方や、今使っているノートに満足していない方は、最悪500円をドブに捨てたと思えば実害はさほどない当スタジアムの『野球観戦手帳』をお試し頂ければ幸いである。
最後に申し添えておくが、比較対象としてやたらと引き合いに出した某社の手帳だが、別に何か恨みなどがあるわけではなく、単に「昨年1年使ってたから」という馴染みの部分で比べさせて頂いたまでである。その気になれば当スタジアムなんぞ一瞬で捻り潰せそうな大手に喧嘩を売るつもりは毛頭ないので、「あれはあれでいいものだ」とマ・クベのようなセリフをフォローとしてお伝えしておく。
この『野球観戦手帳』以外にも、また性懲りもなくいろいろと引っ提げて参陣予定の『東京野球ブックフェア』の全陣容は、明日リリースさせて頂く。
この手の商売と関係ないところに異常な情熱を燃やす当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。