【幕張の惜別球人 ~桃色行脚'16~】 | 監督のささやき戦術

 2016シーズンも終盤に差し掛かり、ベテラン選手の引退発表のニュースが多くなってきた今日この頃。

 そんな中、今季限りでユニフォームを脱ぐ決断をしたとある名選手を見送ってきた、昨日の休場日の話をさせて頂く。

 

 

 見送ってきた選手はこの方。

 白と黒のピンストライプの背番号3は、言わずと知れたマリーンズサブロー選手

 22年間の現役生活に今季限りで別れを告げる決断をしたサブロー選手の引退試合が、この日本拠地のQVCマリンフィールドで開催されたのだった。

 

 

 マリーンズ(ほぼ)一筋22年、二度の日本一に主力として貢献した看板選手の引退試合は、発表された瞬間にチケットが完売となった。

 

 球場に入りきれないファンのために、球場正面ではパブリックビューイングも実施されていた。

 

 ご存知の通りマリーンズファンではない自分が、なぜこんな超人気試合に参戦する事ができたのかというと、実は当スタジアムの常連様から、とある団体席での合同観戦のお誘いを8月中に頂いていたのだが、それが後にサブロー選手引退試合に決定するという全く予期せぬ偶然の産物なのであった。引退試合が決まった後に「マリーンズファンじゃない奴が混ざっても大丈夫ですか…?」と念のため伺ってみたところ、特に問題ないというお言葉を頂いたので、遠慮なく参加させて頂く事にしたのだった。

 

 

 この日のQVCマリンフィールドは、サブロー選手一色であった。

 

 スコアボードの上に、球団旗とマリンフェスタの旗と一緒に「3 SABURO」の旗がたなびく。

 

 コンコースのいたるところに、サブロー選手の等身大パネルが。 

 せっかくなので谷保さんごっこに興じてみる。

 

 

 さて、試合である。この日のカードはマリーンズVSバファローズ25回戦だったが、対戦相手のバファローズには全く触れず、サブロー選手のみを追ってゆきたいと思う

 こちらがこの試合のスタメン。主役のサブロー選手は4番DHで先発出場

 

 試合中の外野のビジョンには、チームメイトからの感謝のメッセージが表示されていた。

 

 1回裏が始まる前に、ライトスタンドに現れた人文字

 超満員のスタンドゆえ、綺麗に「SABURO」の文字が浮かび上がる。

 

 そのサブロー選手の最初の打席は、2回裏の先頭で回ってきた。

 ゆずの「栄光の架橋」とともにサブロー選手が登場した瞬間、球場内が揺れんばかりの大歓声に包まれる。

 

 最初の打席は、フルスイングの空振り三振

 それでも、今季初のQVCマリンでのサブロー選手の打席に、スタンドからは惜しみない拍手と声援が送られたのだった。

 

 

 打席以外で、球場が大いに沸いたのは9回表

 マリーンズはDHを解除し、サブロー選手がレフトの守備位置へ。これにはレフトスタンドのバファローズファンも大歓声。

 

 1アウト後、慣れ親しんだライトへと守備位置が変更される。

 3アウト後、ライトスタンドのファンに挨拶をしながら引き上げてゆくサブロー選手。

 残念ながら打球処理の機会はなかったが、最終打席への布石はばっちり完了。

 

 空振り三振3つで回ってきた、9回の最終第4打席

 

 谷保さんの最後の「4番・ライト・サブローーーーーーーー!」のコールとともに登場したサブロー選手の現役最終打席は…

 右中間を破る見事なツーベースヒット!! 

 通算1363本目の安打を放って、代走の岡田選手と交代し、現役最後の出場を終えたサブロー選手であった。

 

 

 試合は0-2でマリーンズ完封負け

 もちろん勝って送り出したかっただろうが、既に3位を確定させているチームにとって、ここでの勝敗にはさほど大きな意味はないだろう。

 マリーンズファンも、サブロー選手の最後のヒットの余韻に浸っているようで、球場内はとても敗戦後とは思えない雰囲気に包まれていた。

 

 

 バファローズ山田投手のヒーローインタビューが終わって、引退セレモニーがスタート。サブロー選手の歴史を振り返る映像がビジョンに流れる。

 「コールミーサブロー」の挨拶で度肝を抜いた、懐かしい入団時の36番のピンクユニ姿。両隣のジョニー黒木さんと橋本将さんも含め、当たり前だが皆若い…。

 

 第一次、二次政権のどちらも一緒に戦ったボビー・バレンタイン元監督からのメッセージ。

 

 唐突にビジョンに表れた、ご贔屓イーグルスの選手二人

 ビデオメッセージもそうだが、報道されている通り、現役、OB問わず多数の選手、関係者たちが球場に駆け付けたところに、サブロー選手の厚い人望がうかがい知れる。

 

 最後のスピーチ

 

 花束贈呈を経て、真っ白な紙テープの海となったライトスタンドへ、最後の挨拶に。

 

 サブローTシャツに着替えた仲間たちからの胴上げで、サブロー選手の引退セレモニーは終わりを迎えたのだった。

 

 実は、「プロ野球選手の引退試合」というもの見るのは、この試合が人生初だったのだが、やはり引退試合を開催してもらえるようなレベルの選手は、贔屓チームの選手でなくとも対戦相手などとして見続け、いわば同時代を共に過ごしているため、その最後の姿にはグッとくるものがあった

 特にサブロー選手は自分の1学年上の年齢であり、ここ数年で大分残り少なくなってきた同世代の選手がまた一人球界を去ってゆくのには、やはり寂寥感を禁じ得ない。

 サブロー選手には、プレイヤーではない新たな形でマリーンズと球界にかかわり、ご活躍されることを願っている。

 

 

 他球団の看板選手の引退試合に立ち会って思ったのは、「ご贔屓イーグルスで、こんなセレモニーで送り出される最初の選手は誰になるのだろうか…?」という事である。

 サブロー選手と同じく高卒ドラ1野手と考えると、その対象はオコエ選手のみ。仮にオコエ選手が40歳のシーズンに引退を迎えるとしたら、その時自分はもう還暦を迎えている計算になる…

 オコエ選手が愛されながら20年活躍を続けられる選手に成長する事を願いつつ、自分自身も20年後のセレモニーに元気に参加できるくらいの老人であるよう、くれぐれも身体には気を使いたい。

 そんなしょうもない事をぼんやりと考えた、サブロー選手の引退試合であった。

 

 

 冒頭で触れた通り、こんな貴重な試合が観戦できたのは、常連様から合同観戦にお誘い頂くという幸運の賜物であった。お誘い頂いて初めて足を踏み入れる事が出来た、QVCマリンフィールドのスペシャルな席種の話は、また次回に。

 

 

 引退試合といえば、29日に横浜スタジアムで予定されている、三浦投手のラスト登板。チケットが既にソールドアウトとなっているためか、当スタジアムにも問い合わせが立て続き、残席僅少となっている。観戦ご希望の方は、お早めにどうぞ。

 残りほんの僅かとなってきたレギュラーシーズン、そしてポストシーズン期間中も、引き続き皆様の当スタジアムへのご来場を心よりお待ちしております。