政府は除染作業に関することを、すべて独立行政法人の日本原子力研究開発機構（JAEA）に一元化することを決めています。
「一元化」と言うのは、地元の人たちが除染作業をやろうと思っても、すべてJAEAを通さないと何もできない（＝お金が降りない）ということを意味します。
この方針、私には理解しがたいのですが、みなさんはいかがでしょうか。
JAEAは日本の原子力産業と開発を総括する大本締めです。総本部は東海村にあり、敦賀にある「もんじゅ」もJAEAが取り仕切っています。東海村の事故も、もんじゅの事故も、JAEAの管轄下で起こったものです。
福島原発の事故は東電の責任ですが、東海村の放射能漏れも、もんじゅが大事故の一歩手前までいったのも、すべてJAEAの責任です。もんじゅの事故ではJAEAが隠蔽に隠蔽を重ねて、事故をおおやけにしなかったのはご存じのことでしょう。
私たちは東電を「隠蔽体質の象徴」のように感じていますが、JAEAは東電など問題にならないほど悪質な隠蔽体質です。
JAEAはいわば日本の「原子力村」のどまんなかにどっかと座る村長さんです。村長さんがそんな性格だから、その住人である東京電力や九州電力が同じように隠蔽体質に染まったと言っても過言ではありません。
JAEAがもっと情報をオープンにする団体だったら、福島の住人の被曝ももうすこし小さく食い止められたのではないかと考えます。
JAEAは福島原発事故の際、福島市に「福島支援本部」を設けました。現在は福島技術本部と改名しています（→リンク）。
案の定と言うべきでしょう。さっそく問題が起こりました。
第二次補正からJAEAには「除染モデル事業」として118億円の予算がつけられました。
118億円のうち実際の除染作業に使われるのは92億円で、しかもそれは「委託費」です。つまり、JAEAは業者やボランティアを選定してまかせ、それを指示したり評価したりするだけです。その費用として26億円ものお金が確保されているわけです。
しかも、委託費は１つの市町村に６億円で、全部で12なので、合計72億円にしかなりません。26億円もちょっと多すぎるように感じるほどなのに、さらに「委託費」の中から20億円が配られるお金以外に使われることになります。
私にはそもそもJAEAに除染を一元化する理由が理解できません。
１つの市町村に６億円と決まっているなら政府から直接配ればいいだけです。専門家の評価が必要なら、政府が組織してJAEAなどの研究機関や大学から専門家チームを組織して、現場に専門家を派遣し、組織内でまとめればいいのではないでしょうか。
報道に対して、JAEA側は反論していますが（→PDFファイルリンク）、疑問に実質的に何も答えておらず、ますます疑念が深まるだけです。
そもそも隠蔽しかしてこなかった組織に「ちゃんとやっています」と言われて、信じる人がいるでしょうか。これまでのことを考えれば、疑われるのが当たり前です。
彼らは自分たちが国民にどう思われているかなぞ全く見えていないのでしょう。「福島の人をさんざんな目にあわせておきながら、除染作業すら自分たちの食い物にする気か」と多くの人が考えるのが当然なのに、そういった考慮がまるでないのです。
JAEAの反論を見ていると、中身がありません。「反論しておかないと、あとで何言われるかわからないぞ」とばかりに、既成事実を作っただけのように感じます。
私は再生エネルギーに過大な期待をかけるべきではなく、原子力発電はしばらくは存続させるしかないと考えています。ただ、こういった人たちがその運営に携わっているのでは、それも声高に言う気にはなりません。
私は、東電より先にJAEAをなんとかすべきだと思います。すべての責任を東電にかぶせて、JAEAを温存した上に、福島県民の犠牲すら利権に絡めようとする官僚は、いったい誰のために働いているのでしょうね。
少なくともJAEAという組織が、福島県民のためにがんばろうと考えているのではないことは間違いありません。
はっきり言います。「利権いっこめっけ！」と飛びついただけです。
おそらく彼らには反省する気などさらさらありません。「俺たちの電力政策で豊かな暮らしができているのに、みんなで悪者にしやがって」という気持ちがあるのだと想像します。
JAEA内部からの改革など無理です。こんな組織はいちど解体すべきだと私は思います。
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