英語の発音にはコンプレックスがある方が多いと思います。私もそうです。
そのこともあってか、最近は「日本語発音でいいから堂々としゃべりなさい」などとアドバイスされることもあります。
これには一理あります。
日本人が無理矢理「英語っぽい発音」をすると、巻き舌みたいになってかえって聞き取りづらいこととある・・・と、アメリカ人に言われ、赤面したことがあります（気を遣って彼は一般論みたいに言いましたが、おそらく遠回しに私にアドバイスしたかったのだと思います）。
みなさんの身近にもそんなひとがいないでしょうか？
「英語っぽい発音」と「英語話者に聞き取りやすい発音」とのあいだには大きな隔たりがあります。それだったら、無理せず自分のできる範囲でていねいに発音したほうがずっとましなのはまちがいありません。
ただ、それでもやはり、発音を練習することが大切にことにかわりはありません。
理由はおもに２つあります。
１つにはリスニングの問題があります。
リスニングを上達させたかったら、日本語にない英語の発音を練習すると効果があるのは経験している方が多いでしょう。英語話者と同じ口の形で発音が出せるようになり、同じようなリエゾン（音のつながり）が作れるようになれば、その音はかなり聞き取れるようになります。
もちろん同じ発音などできなくても聞き取れるようになれますが、発音できたほうが聞き取りはずっと楽なのはまちがいありません。
このように、リスニングと同時に発音練習をすることで、リスニング力もさらにつけることができるので、やはり発音練習は大切だと思います。
もう１つは、英語のリズムが身につくことです。
英語のリズムが身につけば、話すときだけでなく、英語を書くときも、英語話者にとって読みやすいリズムのある英語を書く土台になります。
こういった力も英語を学ぶうえではやはり大切です。
以上のような理由で発音練習は、英語のベーシックな力を養うために続けたほうががいいと考えます。
これまでいろいろな発音教材を見ましたが、安価な教材の中で私がもっとも評価できるのが『American Accent Training』（Ann Cook著）です。知る限り、アメリカ英語の発音を練習するのにベストの教材だと太鼓判が押せます。
本書は「アメリカ人にとって聞き取りやすい英語」を目指して、アメリカ英語の発音・リズム・アクセントをいろんな角度から練習するトレーニングブックです。
著者は外国人の英語指導の経験が長いらしく、外国人学習者にとって弱点となりやすいところを集中的に取り上げてくれます。本書の印象は、「アメリカの大学付属語学学校でおこなわれる発音クリニックを、自宅でやってもらっている」といったようなものです。それくらいの水準はあると思います。
また、著者本人が吹き込んだＣＤが５枚もついています（それ以外にも、鏡やペンなど練習に必要なものがついています）。
なぜＣＤが５枚もあるかというと、本の解説がすべてＣＤに録音されているからです。
一見すると無駄のようにかんじるかもしれませんが、著者の英語がはとてもきれいなので、解説の読み上げ自体が見本になります。また、ある程度英語が聞き取れる人なら、本を開かなくてもＣＤだけを聞きながら練習できます。
あくまで本なので授業とそのまま比べられませんが、練習できる量が豊富で、大学などの講座だったら10万円くらい払ってもいいくらいの内容だと思います。それがこの値段で受けられるわけですからお得なのはまちがいありません。
最後に、本書に向いている考えられる読者を並べてみましょう。
１．（イギリス英語ではなく）アメリカ英語を身につけたい。
２．聞き取りや発音練習を繰り返すことがさほど苦にならない。
３．高校１年の教科書レベルの英語なら頭からすらすら読め、聞きとれる。
４．ある程度、量をこなしても身につけたいと考えている（＝忍耐力がある）。
５．かっこいい英語ではなく、あくまでアメリカ人に聞き取りやすい英語を身につけるべきだと考えている。
おもに以上の５つです。
最新の教材を見ていないので、すべての出版物のなかでベストだとは断言できませんが、すくなくとも私が知っているなかではもっともすぐれた教材だと言っていいでしょう。
昔から有名な教材ですが、ご存じない方のためにご紹介しました。発音練習を考えている方は、ぜひ教材の候補に加えてみてください。
（アマゾンのリンクです）
American Accent Training
