衝撃の(?)トナカイデビューから半年近く経ちましたが、2回目の出演を果たしました。
今回は状況が状況ですからあまりお客様をお呼びすることができませんでしたが、それでも直前のご案内にも関わらずお越しくださった皆さんありがとうございました。
震災以来、歌を歌う意味や役割を考える時間が多くなっている気がします。
もちろん震災以前から僕は、合唱指導時も自分が歌う時も常に【音楽の力で世界に愛を】ということを訴え続けています。
今までだって世界中に紛争や飢饉、自然災害で苦しんでいる人たちはいました。
僕らの歌声がそこに届くことはなくても、その空間に居合わせている人たちが心を一つにする瞬間があるのなら、その奇跡が世界中に拡がる可能性はゼロではない…。
そのことを訴え続けてきたのだから、今までのスタンスを貫くのみです。
それでも自分もあの「揺れ」を実際に体験し、その瞬間を境に少なからず「日常」が当たり前のものではないということを思い知った時、心の中に微かに燃えていた炎は以前に増して強くなったのを感じます。
それは自分にとって少しショックでした。
今までの想いは、所詮のところは「他人事のはんちゅう」だったのか…そして今もきっとどこかでそうなんだ。
でもそれでも自分を信じて歌い続けるしかない…そんな想いで最後のステージは「マイウェイ」を歌いました。
涙を流しながら聴いてくださった方も何人かいらっしゃいました。
そしてトナカイ通常のエンディングでは「メリーウィドーワルツ」で終わるのですが、出演者のみんなと話し合って「ふるさと」をお客様と一緒に歌うことにしました。
何も特別な想いをこめる必要はありません。
ただ一人一人がそれぞれの想いで歌い、そしてその音色が一つの空間の中で混じり、響く。
それだけのこと。
しかし世界に一つだけの奇跡の音色。
歌い終わると、皆、なんとも形容し難い爽やかな笑顔でした。
特別なトナカイの夜。
これもまた一種の「非日常」なのかもしれません。
でもそれは一つの奇跡。一つの特別な体験でした。