傷つくならば、それは「愛」ではない/チャック・スペザーノ
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こんにちは、リブラです。

今回は「傷つくなば~」の第94日目「怒りとは、つねに罪悪感で

相手を支配しようとすること」についてお話したいと思います。


怒りはその攻撃性と、ときには暴力性によって相手に罪悪感を

感じさせ、それを利用して、自分のやり方で思いどおりに状況を

動かそうとする試み、支配のひとつの手段です。

怒りによってその場では勝つことができても、本当の勝利は手に

入りません。

なぜなら、罪悪感の種をまけばまくほど、あとから多くの恨みを刈

り取らねばならないからです。

あなたが、怖れを隠し、思いどおりに人を支配する道具として怒り

を使っているのなら、そのかわりとして、感じていることを相手に

コミュニケーションしましょう。

あなたの怖れについて話してください。

すると自信が高まり、満足感が大きくなることでしょう。

あなたが冒険すれば、その分、前に進みます」

とチャックはいっています。


こどもの頃、父が家にいないとすごくほっとしました。

怒鳴られることもなければ、ぶたれる心配もないからです。

父は「養わなければいけない」ことに腹を立てていたので、家族は

なにも悪い事をしなくても、「食わせてもらっている」という理由から

毎日、怒鳴られたり、ぶたれたりしていたのです。

「食わせてもらっている奴は、食わしてやっている人間になにひとつ

逆らえないし、殺されたってしかたがないんだ」が当時の我が家の

法律でした。

わたしの父は「怒り」で家族を支配していたのです。

家族は養われていたけれど、みんな父を恨んでいました。


わたしは検査技師の資格を取ると、最初に精神科の病院に就職し

ました。

「怒り」によって家族を支配する父も、それを肯定しつつお酒に現

逃避する母も、どちらも異常な人間に見えたからです。

異常な両親の下、異常な環境で育ったわたしやきょうだいたちは、精

神に異常をきたしているかもしれないと心配になったのです。

だから精神を病むとはどういうことか知りたくなって、最初の就職先

を精神科に決めたのでした。

精神科の院長は「みんな、異常だよ。正常な人間だと思って生きて

いるだけさ。夜眠れて、幻覚、幻聴に悩まされたりしていなければ

とりあえず病気ではないな」といって笑ってました。

就職して独り暮らしをして、だれもいない部屋で眠るのはなんて安ら

かなんだろう、と感じたくらい寝つきもよく、熟睡できていたのでわたし

はだいじょうぶだ、と安心しました。


でも、ある日、そこの外来で顔を腫らし血糊をつけた2歳くらいの女の

子と両親にじゃれて甘える無傷の3歳くらい女の子の4人家族が、

待ち合い室に座ったとき、わたしは「怒りと恐怖」で声も身体も震えてい

るのに気がつきました。

その人たちとわたしは何の関係もないのですが、わたしの過去の記憶

が嵐のように頭をグルグルし、怒りの感情でいっぱいになっているので

す。

わたしはその人達が帰った後、そのケースを受け持った医師とカウン

セラーに、「無抵抗のこどもに対して虐待する親って、それでも、正常

なんですか?」と聞きました。すると、医師は「今帰った、あの夫婦、

2人とも被虐児だったんだよ。虐待の連鎖。こうなるとだれも責めら

れないし、みんな被害者。どこかでその連鎖を断ち切るには、あの

子の両親のこども時代の心のケアを気長にやっていくしかない」

と答えました。


わたしは父のこども時代について聞いた話を思い出しました。

父は5歳のとき実父を病気で亡くし、母親(わたしの祖母)の内縁の夫

にかなりひどい暴力を受け、小学4年生から親戚の農家手伝いに家を

出て、それ以来自分で稼いで生きてきたといっていました。


わたしは父の口からこども時代の話が聞いてみたくなり、その週の休

を使って実家に戻り、父にこども時代のインタビューをしてみました。

最初は自分はこどものときから大人といっしょに働いて稼いでいたから

小学校の先生の前で、

「自分の稼ぎで買ったたばこを吸って、何が悪い?」とたばこの煙を吹

きかけてやった、などの悪ガキぶりの自慢話をしていました。

わたしが何して稼いでいたの?と聞くと合法・非合法のいろんな仕事

の話が飛び出してきました。

その中で好きな仕事の話を聞いたら、「新聞配達」と答え、そのときの

父は10歳くらいの男の子に戻ったような口ぶりで、ポツリ、ポツリと

配達先のお客さんの家で、あったかい味噌汁とあったかいご飯を出し

てくれて「こんな小さな子が、雪が積もっているのに朝飯も喰わずに

わらじ履いて新聞配達しているなんて、かわいそうに」と労をねぎらっ

てくれたことを話し出しました。

「言葉なんて、どうにでも言える。でも、かわいそうにって言われたって、

腹のたしには少しもなんねぇ。ほんとうに食わしてくれるのが思いやり

ってもんなんだ」

と父がいうのを聞いて、わたしは、はっと気がつきました。

わたしの進学を阻止しようと、ひどく暴力をふるった翌日、父が台所で

たくさん料理を作って、家族に食べろ、食べろと無理強いしていたのを。

あれは「怒り」で家族を支配することしか知らない、不器用な父流の

「ごめんなさい」だったのかと。


わたしは長年父を恨んできたことを打ち明けました。

父も「そうか、だからこどもたちから石をぶつけらる夢をよくみてたのか」

と告白しました。

「怒り」で支配していたけれど、罪悪感に苦しんでいたようでした。


その日以来、わたしは「怒り」に振り回されることはなくなりました。

一番許し難い人を許してしまったから、あとはたいしたことはないという

感じでした。

父は劇的に変わりました。

いまではすべての家事と脊椎狭窄症術後の母の介護を楽しそうにこな

、やさしいマイホームパパになってしまったのです。


「怒り」は父のインナーチャイルドの「自分の稼ぎが家族に食いつぶされ

ている」という恐怖で、10歳の男の子の妄想が発生源でした。

わたしたち家族は、その妄想の被害者だったのです。

父のインナーチャイルドが恐怖の妄想をやめたから、すべては変わった

のです。いまの父が本来の父の姿なんだと思います。


「怒り」を解くには、インナーチャイルドの怖れをわかってあげるしか

ありません。

悪者に仕立てても、なにも解決しないのです。


この続き第95日目のお話は明後日に、明日は獅子座のお話を予定

しています。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。