観光バスの下から悲痛な叫び@パリ | 西方見聞録(旧パリレポート)

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2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

10月25日(火)
天気:曇り


今日は、まじめなトピックスを
書かせていただきます。



本日は、フランスのカレーにある
難民・移民のキャンプが
遂に取り除かれる、まさにその日でした。

日本でも、もしかしたら
一大ニュースになっているかも
しれませんが、
当事者のフランスは
朝からその話題で持ちきりでした。

おそらくこのブログを読んでいる
私の両親は、
カレーのことを知らないかもしれないので、
ざっくり説明しますと、

カレーとはフランスの北部、
イギリスに最も近い
海沿いにある街の名前です。
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カレーと言っても、バーモントカレーのそれではありません

このカレーの難民キャンプ、
フランスでは「ジャングル」と
呼ばれています。

そこには、アフリカ、中東から
ドーバー海峡を超えて
イギリスに渡りたい、
という難民・移民たちが
大挙していて、

その数実に8000人(推定)。

イギリスは彼らの受け入れを
拒んでいるので、
彼らはここを動けず、

この狭いキャンプエリアに
それだけ大勢の、
人種も言語もバラバラな人たちが
どうしようもなくここに
止まっているわけです。

しかし、その
不衛生極まりない住環境や
周辺住民との摩擦問題で
長い間(1990年代から)
大変大きな問題となっていました。


ジャングルの映像は
ご覧になったことがある方も
多いと思いますが、

とても今のフランスにあるとは思えない
巨大なスラムなわけです。

フランスのニュースを見ている限りでは、
アフリカ系の方々が
文句も言わず、
おとなしくキャンプから出て、
移送バスに乗り込んでいるわけです。

しかし、
他の国のニュースでは
暴動が発生した!
などと言っています。

フランスのメディアは
チャンネルは多いのですが、
ほとんどが一握りの国際資本家に
私物化されているという話で、
都合の悪い事実は報道しない、
と言われているので、

あまり信用できません。
(どの国のメディアも同様のようですが。。
日本は大丈夫でしょうか。。)



そんな中、
私のフランス人の友人が、
先日、とある出来事に出くわしました。

それは彼と彼の彼女が
モンマルトル界隈を歩いていた時のこと。

彼らが歩道を歩いていると
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道路脇に停めてあった
観光バスから
奇妙な声がするのを
彼が気付いたわけです。

そしてその声は小さな声で、
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「助けて、助けて」と
言っているではありませんか。

友人は彼女と一緒に
バスに近寄り
バスの中を見たところ、
誰も乗っておらず。。


しかし、その声、
よく聞くと、何と
バスの底の内部、
シャフトなどがある
小さな内部空間から
してくるではありませんか!!
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彼らは、観光バスの底、
とてつもなく狭く、熱く
エンジンがすぐ横にある
そんな空間に入り込み、
不法でフランスに入国していた
人たちだったのです。

友人はまさかの事態に仰天し、
しかしその人たちは
「助けて」と言っているわけですから、
とりあえず話しかけたそうです。

すると彼らの一人が、
「私の上に乗ってる人が、、、」
と言って、
バスの底でまだ生存している仲間たちが
次々と危機を迎えている、
と伝えてきたそうなのです。

話によると、
彼らはアフリカのスーダンから
やってきたとのこと。

その中の何人かは
すでに還らぬ人となって
しまったそうです。

彼らはこのように
命懸けでヨーロッパに
来ようとしたわけです。

友人はすぐ警察に連絡。
警察が駆けつけると、
その場を離れるようにと指示があったため、
そこから先、彼らがどうなったかは
分からないそうです。

が、
そのように命懸けで
ヨーロッパを目指さなければならないほど
彼らの国は危機に瀕している
ということなのでしょう。




先日、フランス語を教えてもらっている
イラン人の先生に
(イラン人の先生にフランス語を教わっています)

「日本で戦争によって全てを失うような
リスクを今感じている人は少ない」
と話したところ、
目を丸くして驚かれました。

先生は、
"戦争で自分の命が脅かされるリスクを
いつも感じている"
と言うのです。



これはあくまで私の
個人的な意見ですが、
フランスを含め、
ヨーロッパ、中東地域の人々は

いつ自分たちが紛争に
巻き込まれてもおかしくない、
どこかで心の準備はできている、

そのような気持ちを
どこか持っているような気がします。


一方、日本はどうでしょう。

日本で本気で周辺国と
戦争になるかも、と思っている人は
どれだけいるでしょうか。

私は戦争など
全く想像できない側の
人間ですが、

フランスにいて
そのカレーの状況をはじめとした
混乱の状況を見ていると、
フランス人たちの気持ちも
わかるような気もしてきます。




日本ではいまこの
ヨーロッパの状況をどのように
報道しているのだろう、、、

そんなことよりも
国内で起きたスキャンダル、
パイナップルペンなど
流行りのトピックスなどに
多くの時間を割いていて

もしかすると、
ジャングルのことなど
ほとんど報道されていないのでは、、、



ふと疑問に思い、
今回ちょっとまじめな話を
書いてみたわけです。





改めて
"日本"という国は
豊かで安全で過ごしやすい国なのだな、
と感じさせられる今日この頃なのでした。