『博多ROCK外伝』は、まさに待望の新刊である。西日本新聞の記者である田代 俊一郎によって、西日本新聞に連載され、博多のロックを愛するものの間で話題になっていた「九州近代歌謡遺聞 <ロック編>」(2013年10月15日~2015年8月3日。計77回)をベースに加筆修正した博多ロック評伝の決定版である。
既に同書が発売されることはお知らせしていたが、明日、6月9日に発売となる。博多のロック・ファンのみならず、日本のロックに興味を持つものであれば、必読といえよう。
サンハウス、シーナ&ロケッツ、山部善次郎、ザ・モッズ、ロッカーズ、ルースターズ、モダンドールズ、アクシデンツ、ダイナマイトゴーン、フルノイズ、ティーンエイジニュース、ARBなどのアーティストから、ぱわぁはうす、80’sファクトリー、ジュークレコードなどの博多ロックの拠点、ブルージャグ、ロック・クラッシュ、ジャンピング・ジャムなどのメディア、イベントまで、博多のロックを知るために必要欠くべからずの事柄が書き記されている。
個人の思い入れなどではなく、当事者や関係者への丹念な取材と、検証を繰り返し、博多のロックの現在、過去、未来を220数ページに真空パック。
また、同書でしか見れない、貴重な写真も満載で、それだけでも価値は十分にある。さらに簡略化されているが、「博多略年表」も重宝しそうだ。繰り返すが、博多のロックを愛するものなら必携だ。
既に現物を著者からお送りいただいたが、同書、判型や紙質も重厚で、手に取るとずしりと重たい。超一級の資料にして、超弩級の読み物である。完全自主製作のため、通常の書店では販売されず、いまのところは福岡はボーダーラインレコーズの福岡店、同小倉店、関東・大阪はディスクユニオンのみの販売になり、購入するには直接、出版元の「INSIDE OUT」( insideout@aurora.ocn.ne.jp )まで注文するしかない。
重版出来(そうなって欲しいが)になるかわからないので、早めに買い求めることをお勧めする。同時に『博多ROCK外伝』の出版をできるだけ多くの方へ知らしめて欲しい。拡散、シェアを希望する。
以前、筆者とやり取りした際、出版を記念して、同書に登場するアーティストを集め、イベントをしたいと言っていたが、夢のような組み合わせによるスペシャルなイベントの開催を望むものは数多いはず。博多のロッカー達は、不退転の決意で、夢を形にしてきた。夢の祭典も夢ではないだろう。博多山笠、祭り好きの博多通りもん、きっと、誰かが音頭を取るだろう。その日が楽しみだ。
『博多ROCK外伝』
著者:田代俊一郎
写真:上田恭一郎・吉村輝幸
発行:INSIDEOUT insideout@aurora.ocn.ne.jp
定価:本体1600円+税
田代俊一郎(たしろ・しゅんいちろう)
1950年、福岡県北九州市生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、西日本新聞社に入社。ソウル支局長、社会部長、文化部長などを経て現在、客員編集委員。主な著作は『駆け抜けた前衛―九州派とその時代』、『韓国の手仕事』、『ライブハウスの人々』、『ジャズロード』シリーズなど。
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