Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。


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現在に蘇ったデレク・アンド・ザ・ドミノスか。彼らはエリック・クラプトンとパティ・ボイド、そしてジョージ・ハリソンの愛と友情と苦悩の物語を12世紀のペルシア文学の詩人、ニザーミー・ギャンジェヴィーによる『ライラとマジュヌーン』に準え、デュアン・オールマンのスライド・ギターが儚くも美しい名曲「いとしのレイラ」(Layla)を、同題の名盤『いとしのレイラ』(Layla and Other Assorted Love Songs)に残している。

 

1973.9.21”を最後に解散し、幻のバンドとなった伊藤銀次率いるココナツ・バンクが突如復活して、昨201611月には完全版とでもいうべきアルバム『THE COMPLETE COCONUT BANK』をリリース。本2017316日(木)、東京・下北沢のライブハウス「440」で、THE LIVE COCONUT BANK「イエ~イエ~でGoin On!!」伊藤銀次45周年プリイヤー・イベント「アルバム『THE COMPLETE COCONUT BANK』発売記念スペシャルライブ」が開催された。

 

会場は平日にも関わらず、ソールドアウト。満席は当然として、立ち見も出るという盛況ぶりだ。“伝説”を追体験したいという観客の熱い思いや期待する空気が開演前から会場に充満する。

 

開演時間、1930分を少し過ぎて、伊藤銀次を始め、上原“ユカリ”裕(Dr)、井上富雄(B)、田中拡邦(G)の新生ココナツ・バンクのメンバー、そして、サポートメンバーの浦清英(Kb)らが登場。

 

1曲目は「リトル・ウォルター・ライズ・アゲイン」。4ピース・ジャム・バンド、メデスキ、スコフィールド、マーチン&ウッド(msmw)のファンク・ナンバーである。現在進行形のジャズ・ギタリスト、J・スコフィールドと、先鋭的なオルガン・トリオのMMWのコラボレーション。ジャズもファンクもロックも飲み込んだ強靭なグルーヴを生む。同曲は2006年のナンバーだが、ミーターズ、MG’sなど、R&Bテイスト、ニューオーリンズ・マナーを現代に再現する。同「リトル・ウォルター・ライズ・アゲイン」に「ココナツ・ホリデー」のショートバージョン「ココナツ・ホリデー2003」を繋ぐ、粋な計らい。ココナツ・バンクとmsmwが時空を超えて通底する。ココナツ・バンクの現在位置が見えてくる秀逸な選曲だろう。

 

伊藤は会場の熱気や緊張を鎮めるかのように、肩の力を抜いて、リラックスして欲しいとアナウンスする。会場は“レイドバック”(サザン・ロック用語。各々、検索のこと!)した空気が包む。

 

そんな中、「日射病」、「天気予報図」、「流星ラプソディ」と、一気呵成に繰り出し、瞬時にココナツ・ワールドへ引き込んでいく。

 

ここで改めてメンバー紹介となる。“レジェンド”、“ちょっとレジェンド”、“これからレジェンド”と、枕をつけてだが、村八分やシュガーベイブ、エキゾチックス、ルースターズ、佐野元春&ホーボーキング・バンド……と、いずれも伝説中の伝説。すごいメンバーの揃い踏みだ。

 

これからレジェンドの田中はMAMALAID RAG(ママレイド ラグ)のメンバー(というか、一人だけだが)、伊藤をして、鈴木茂の演奏力と大瀧詠一の歌唱力を持つ男。“1/2はっぴいえんど”である。サポートの浦はキーボードもサックスも渋くこなす、まさにこれからのレジェンドになりそうな佇まいのミュージシャンである。

 

 

メンバー紹介後、ココナツ・バンクの『THE COMPLETE COCONUT BANK』にも参加したリクオが呼び出され、彼のナンバー「アイノウタ」をメンバーで演奏。リクオのニューオリンズ風味のホンキートンク・ピアノが嵌る。続けて、リクオとともに「ざっくばらん」、「おはよう眠り猫君」、「じんじんじん」と、彩を加えたココナツ・バンクの世界を展開。 同セットはリクオのナンバーで、先達へのオマージュを込めた「永遠のDOWN TOWN BOY」で、絞める。レジェンド達との共演は、その曲が生まれた背景を考えると、感慨深いものがある。音楽の繋がりや人との縁を感じないわけにはいかない。

 

リクオが退場した後は、「春待ち顔 人待ち顔」。ごまのはえ時代に作りかけのままになっていた曲で、40数年を経て、装いも新たに生まれ変わる。はっぴいえんどの“遺伝子”を感じさせる曲である。自らのルーツを見つめながら新たな季節、新たな出会いを想起させる。しんみり、じんわりとくるのは、伊藤銀次の優しい歌声と甘く切ないメロディーゆえのことか。この曲の復活は過去の音源をアーカイブしていた、つい最近まで「現役最高齢プロデューサー」であった牧村憲一の功績。ちなみに「現役最高齢プロデューサー」という称号(!?)は、メジャーレコード初の独立レーベルである、かのベルウッドを起こした音楽界の伝説的プロデューサーであり、先日、プロデューサーに復帰した三浦光紀に譲られる。

 

そして、現メンバーである田中と井上をフィーチャー。田中はママレイド ラグの「ワトソン」を2大武器(!?)を駆使し、軽快に聞かせ、井上はまさかのヴァン・モリソンの「クレイジー・ラブ」をジェシ・エド・デイビス・ヴァージョンで披露。我が“スワンプ魂”がもたげてくる。伊藤からデレク・アンド・ザ・ドミノスという言葉も飛び出す。私的にはアルバム紹介の際にも引き合いにだしたが、同バンドとともにデラニー&ボニー&フレンズ時代のデイブ・メイスンも思い出す。

 

そんな視点で見ると、「航海記」、「憧れの南国鉄道」、「MAD冬景色」などもブルーサム~コロンビア時代のデイブ・メイスンの『アローン・トゥゲザー』や『デイブ・メイスン』など、私が長年、聞き続けている心の名盤と被る。「MAD--」の壮絶な“ギター・バトル”は、ディランが作り、ジミ・ヘンドリックスがカバーした名曲「見張塔からずっと(All Along The Watchtower)」をデイブ・メイスンが同じくカバーしているが、まるで同曲のデイブ・メイスンとジム・クリーガーの掛け合いを彷彿させる。まさにギターが火を吹いている。

 

そして、本編の締めくくりは「東京マルディグラ」。2003年の復活盤ミニ・アルバム『ココナツ・バンク』収録曲で、同盤同様、完全盤でもオープニングを飾る新たな代表曲である。セカンドライン・リズムに乗り、東京の椰子の実大通りを練り歩くかのようだ。

 

アンコールは「COCONUT HOLIDAY 2017」。オープニングで小出しだったので、取って置き感が増す。ソロを取り合いながら気持ちいいグルーヴを紡ぎ出していく。客席にリゾート感を醸し、トロピカルな風合いも帯びてくる。

 

かのスティーブン・スティルスのマナサスなども彷彿とさせる。はっぴいえんどが憧れたバッファロースプリングフィールドの先にマナサスがいたことを思えば、はっぴいえんどの進化形、そこに大瀧詠一の神の見えざる手ではないが、天の差配みたいなものを感じる。伊藤も“ナイアガラオールスターズ”の物まねを披露しながら天国の師匠に向かい、呼びかけてもいる。昨年の「トライアングルの奇跡」ツアーで、杉真理とともにナイアガラを継承することを宣言していたが、彼の言葉に嘘はなく、ココナツ・バンクの復活は、大瀧の意志を継ぎつつ、自らアメリカン・ルーツ・ミュージックのテーマパークと表現しているが、それらがいまも生きていることをココナツ・バンクで証明しているかのようだ。

 

そしてこの日の締めは再び、リクオも合流して、 「愛はちょっと」をしっとりと聞かせる。JTLIVの佇まい、あの時代の雰囲気を現代に蘇らす。

 

伊藤は“脱Jポップ”という言い方をしていたが、定型や約束事にがんじがらめになることなく、自由な発想で、創造の翼を広げ、飛翔していく。過去の音楽をコラージュしながらもコンテンポラリーな風合いや肌触りは忘れない。むしろ、それらがとてつもなく新しく感じるから不思議だ。

 

アルバム紹介の際にオールマン・ブラザーズ・バンドなどを引用したが、メイコン・ジョージア、キャプリコーン・レコード(『山羊座の魂』なんていうアルバムもある!)のオールマンの盟友達、カウボーイやグラインダースイッチなども浮かんでくる。奥深く、芳醇、それでいて軽快で爽快。こんなバンド、ココナツ・バンクしかいない。

 

伊藤は3年後の武道館公演を“約束”したが、武道館以前に“フジロック”や“ライジングサン”など、野外フェスに出て欲しいし、世代や性別、趣向を超えて、彼らを目の当たりして、驚くを見てみたい。フジロックの常連、井上に是非、フジロックへと、勝手に(笑)、お願いしたが、果たして叶うだろうか。

 

ココナツ・バンクの公演が1973921日に文京公会堂で開催されたはっぴいえんどラスト・ライブ「CITY-Last Time Around」、2002721日の日比谷野音のイベント「喫茶ロックジャンボリー」、2004124日に収録されたフジ系TV音楽番組『FACTORY』、そして、この日のライブだけでは少なすぎる。

 

伝説のココナツ・バンクの偉大なる復活。懐古も郷愁も超え、現在進行形の音楽を見せつけた彼らは、もっと、多くの方に聞かれるべきだろう。皆様、彼らのすばらしさを吹聴いただきたい。 伊藤も拡散を希望している。年内には45周年記念のソロ・アルバムもリリースされるという。当然、同作も楽しみだが、もっともっと、ココナツ・バンクを味わい尽くしたいものだ。

 

 

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先日、3月5日(日)に東京・世田谷のエムズ・カンティーナで開催した松尾清憲のトークイベント「Past, Present and Future」。お陰様で、盛会に終えることができた。ご来場いただいた方に深く感謝します。ありがとうございました。
 
“30周年プロジェクトも大盛況の内に終わり、2017年、松尾清憲の新しいディケードが始まる。これから、彼はどこに向かうのか?”をテーマに秘蔵映像の公開、スペシャル・ゲスト、ミニ・ライブ…と、盛りだくさんの3時間30分。サプライズやハプニングが続出、ワクワクとドキドキが止まらないイベントになる。
 
日曜日の昼下がり、外は眩い光が降り注ぐ、小春日和ながら会場には客電を落とすと、ほの暗い空間が出現する。ステージのスクリーンには2016年4月3日に表参道GROUNDで開催した「松尾清憲 30th Anniversary Special Live『Featuring SIDE EFFECTS and THIS TINY WORLD and More』」から、 松尾清憲 with Velvet Tea Setsや白井良明、杉真理、鈴木さえ子、星野みちるなどがステージに揃い踏み、オールスターキャストによる「愛しのロージー」が映し出される。
 
だらだらしゃべる(笑)前に、まずは松尾清憲の世界に浸っていただこうという演出だが、いかがだっただろうか。始まりが良ければ、終わりも良し。後述するが、愛しい円環を描くことになった。
 
同曲終了後、ステージにメインゲスト、松尾清憲、特別ゲストのビートルズ関連の著書やイベントも多い、ビートルズ愛好家で、CD BOOK『ニュー・ベスト・オブ・松尾清憲 ~甘くてほろ苦い音楽生活のすべて~ 』を編集した藤本国彦、そして司会・進行の私が登壇。映像出しなど、進行を司るイベント・プロデューサーの前沢達也が客席後方に陣取る。
 
まずは2015年から2016年にかけて、『SIDE EFFECTS~恋の副作用(30th Anniversary Version)』(2015年10月)、『This Tiny World 』(2015年11月)、『ニュー・ベスト・オブ・松尾清憲 ~甘くてほろ苦い音楽生活のすべて~ 』(2016年1月)と、3作連続リリース、そしてアニバーサリー・イベント開催という、“ソロ・デビュー30周年”を振り返っていただく。本来であれば、『ニュー・ベスト――』が最初に出る予定だったが、諸事情により順番は狂うが、それ以外は順調に予定をこなしたという。怒涛の1年だったようだが、自らの軌跡を文章と音楽でまとめたCD BOOKは改めて、自身の活動を振り返る機会を得たという。
 
また、新作『This――』制作の裏話も披露。松尾は毎回、録音、収録する楽曲を決めるため、“選曲会議”を行っているが、各曲が収録されるまでの丁々発止のやりとりを語る。30周年記念らしく、その選曲会議のメンバーも多く、議論も白熱したという。ある曲などは、同曲を強く推す出席者の粘りがなければ、収録されないという憂き目に合うところ。敢えて、曲名は出さないが、それは未収録となったら涙ものの名曲である。その方に感謝するしかない。
 
そんな話をしつつ、アニバーサリーの締めくくりとでもいうべき、2016年12月18日の六本木VARITで開催した「松尾清憲 with Velvet Tea Sets 『THIS TINY WORLD』Live!」の映像を流す。曲は「Primary Philosophy」。同ライブ直前、12月8日の未明、虚血性心疾患のため、永眠した Velvet Tea Setsのメンバーで、 シンガーソングライターの橋口靖正が作ったナンバーである。同曲はアンコールで演奏されたが、その演奏前には観客が同曲を歌っていた。会場全員が橋口を追悼する。松尾はまだ、若い彼の急逝を本当に残念だと、悔しさを滲ませ、語る。改めて、彼のご冥福を祈させていただく。合掌。

そして、今回、特別ゲストの藤本国彦が「松尾清憲の魅力をビートルズの曲で語る(勝手に!)」をテーマに松尾清憲の音楽的魅力とその構成要素を多角的、重層的に解析。まずは、ビートルズに入る前に「ビートルズ以外のつながり」として、下記の映像を流す。
 
■松尾清憲の音楽をビートルズ以外のつながり
★The Move「Blackberry Way」
https://www.youtube.com/watch?v=LV2a7Crzf0Y
★Lewis Furey - Hustler's Tango
https://www.youtube.com/watch?v=4vGlFRQoCCA
★Rufus Wainwright「Little Sister」
https://www.youtube.com/watch?v=oDWw9L5oApc
 
松尾の音楽性の特徴をビートルズに置き換えるとどうかというテーマで、ビートルズの曲も流す。会場からもそのリストが欲しいというご要望があったので、下記に挙げておく。
 
■松尾清憲の魅力をビートルズの曲で語る(勝手に!)
①一度聴いたら忘れられない声
1=独特な声(All I've Got To Do/Girl/Lucy In The Sky With Diamonds)
2=裏声(You're Going To Lose That Girl)
3=コーラスのうまさ(This Boy)
②曲の雰囲気
4=独特な翳り(I'll Be Back/Eleanor Rigby)
5=ノスタルジック(If I Fell/It's Only Love/Your Mother Shoud Know/Free As A Bird)
6=ブリティッシュな気品(Piggies/Cry Baby Cry)
7=サーカス風(Being For The Benefit Of Mr.Kite)
③リズム
8=ワルツ(You've Got To Hide Your Love Away)
④曲作り
9=複雑な構成(Happiness Is A Warm Gun)

松尾音楽を勝手に分析したが、藤本の的確で卓越した解析に頷く方が多い。彼の音楽を聞く楽しみが広がっていく。新たな音楽を触れる契機となる。ビートルズ・ファンから圧倒的に支持を得る藤本らしい、流石、納得の分析である。分析された松尾もお見事、と頷きながら藤本の分析を面白そうに聞いている。松尾の音楽を起点に音楽の輪や音楽を聞く楽しみが広がるはずだ。
 
というところで、第1部は終了。あっという間の1時間30分。休憩時間となる。長丁場だから話す方も聞く方もブレイクは必要。お互い、若くはない(笑)。

10分間の休憩後、第2部が始まる。ここでお知らせである。記念すべきデビュー・アルバム『SIDE EFFECTS』の“完全再現ライブ”を行うことは既に発表していたが、具体的な日程などは発表されていなかった。同ライブを6月9日(金)、表参道GROUNDで、開催することを発表。このトークイベントで、初めて正式にアナウンスされる。
 
同作の再現ライブに関連し、『SIDE EFFECTS』のプロモーション・ビデオを流すと告げた後に流れたのは、ビデオではなく、同作のプロデューサー、白井良明のコメント。会場は当然として、松尾本人にも内緒のサプライズだ。
 
白井と松尾の出会いはムーンライダーズの『マニア・マニエラ』の伊豆のスタジオでのレコーディング中。松尾はシネマのメンバーとして、見学の予定が“大人数でギターを弾きまくる大会”に急遽、参加することになったという。
 
白井がプロデューサーになった経緯は、当時、沢田研二や井上陽水など、ヒット・プロデューサーとして飛ぶ鳥を落とす勢いだった白井から名乗りを上げたという。後にも先にも自ら買って出たのは松尾だけだそうだ。希代のメロディー・メイカー、雅なメロディーを白井流に染め上げ、ナイアガラなどとは別なところで、新たなポップスを確立したかったという。白井は『SIDE EFFECTS~恋の副作用(1985年4月)』を契機に、『HELP! HELP! HELP!』(1985年11月)、『NO THANK YOU』(1987年3月)と、“ポリドール3部作”をプロデュースすることになる。
 
また、白井は再現ライブへの抱負も語る。彼からもっと演奏したいという申し入れもあった。これには松尾も遠慮なく、もっと依頼できると大喜び、白井の参加曲が意外に増えるかもしれない。
当日の内容は、まだ、明かせないが、白井以外にもデビュー・アルバムにも参加しているハーモニカの第一人者、八木のぶおのゲスト出演もある。まさに一期一会、松尾ファンならずとも全音楽ファンは必見、必聴のイベントになりそうだ。

同ライブに関連して、『SIDE EFFECTS』の制作時のエピソードなども松尾からも出てくる。秋元康起用は“おニャン子以前”、音楽出版社が同じだったことから彼に歌詞を依頼することになったそうだ。プロデューサー然としたいまとは違い、あくまでも作詞家として、詞を提供してもらったらしい。しかし、「愛しのロージー」や「アスピリン・ノイローゼ」、「5月のSUICIDE」など、名曲が多い。稲垣潤一の「ドラマティック・レイン」とともに秋元康の“初期のいい仕事”ではないだろうか。
 
連日のレコーディング、眠りながらもコーラスを入れた話など、当事者ならではの面白話も聞けた。
 
同作は全曲、プロモーション・ビデオがある。その制作を担当した岩下俊夫は数々のCMを手掛けた映像ディレクターだが、実は宮崎美子が出演した“いまのキミはピカピカに光って”のCMを制作していた。いうまでもなく、同曲は鈴木慶一(歌は斉藤哲夫)である。こんなところでもムーンライダーズと繋がる。
 
プロモーション・ビデオはサンフランシスコで撮影されたものだが、ロージー役のエイプリル・ブレネマンは偶然、現地でスカウトした女性だという。いまは、やりとりはないが、ひょっとしたらFBで劇的な再会なんていうのがあったら楽しいだろう。誰か探し出してもらいたい。
 
プロモーション・ビデオだけでなく、85年12月10日の日本青年館でのワンマン・コンサートの映像も流す。ステージは何故か、ジャングル仕立てで、松尾が木に括りつけられながら歌うなんていうシーンもあった。遊び心溢れる、シアトリカルなライブというのも時代ゆえのこと、“ニューウェイブな時代”ならではだ。
 
ニューウェイブとこじつけるなら昨年2016年11月16日に渋谷クラブクアトロで開催した「ハルメンズXの伝説」ライブは、巻上公一や鈴木慶一、佐藤奈々子、小川美潮、イリヤ、久保田慎吾など、ヒカシューやスパイ、チャクラ、ジューシーフルーツ、8 1/2のメンバーなどが再結集。松尾も一色進とともにシネマとして出演。何か、ニューウェイブを経てるか、経てないかで、大きな違いがあることを意識したという。
 
最近のことなどを聞きつつ、第1部の勝手にシリーズではないが、藤本が第1部に取り上げたアーティストや楽曲に関連して、“当て嵌まる”松尾曲を紹介。
 
「グッバイ・ガール」(『BRAIN PARK』2000年3月)、「瞳の中のラビリンス」(『PASSION GLORY』2000年12月)、「僕が蒸気のようにとろけたら」(『HELLLO SHAKESPEARE』2002年)、「SUNFLOWER」(『SPIN』2004年)、「太陽が泣いている」(『松尾清憲の肖像-ロマンの三原色』2007年)、「何%チョコレート・ラブ」(『チョコレート・ラブ』2010年)「WING」(『ONE MORE SMILE』2011年)など、“ストレンジ・デイズ5部作”を中心に音源を流す。
 
また、最近のバンドで松尾と通じるバンドとして以下のバンドを紹介もしている。
 
★The Lemon Twigs - These Words
https://www.youtube.com/watch?v=LncJE2otRVA
 
The Lemon Twingsは当日、実際は流してないが、予め候補に上がっていたもの。時代や国籍を超え、共振していく、コンテンポラリーでインターナショナルな音楽性を再確認できるだろう。
特にThe LemonTwingsは来日公演も実現していて、大型レコ―ド店でも軒並みレコメンドしている逸材である。機会があれば、是非、聞いてみて欲しい。
 
と、ここで、1時間30分が過ぎる。そろそろ時間切れか。いろいろ聞きたいことはあったが、第2部は終了となる。再現ライブ以外は現段階で具体的なことを発表できずだが、意外なことに、ソロになってからは鈴木慶一との仕事がないので、彼との共演を望んでいるという。実現したら面白いものになりそうだ。
 
セットチェンジ(!)後、第3部である。急遽、決定し、直前に告知したミニ・ライブだ。エムズ・カンティーナのピアノに座り、弾き語りが始まる。選曲は予め、スタッフにリクエストを取り、それを演奏することになっている。
 
前沢はデビュー・アルバムに収録され、ピーター・バラカンが作詞した「TEA FOR YOU」、藤本はアルバム未収録の「エッフェルのように」、私は甲斐バンドに歌詞を提供した「レイニー・ドライブ」をリクエストしていた。「TEA-」は、イントロに「カレー・イン・ザ・ライフ」(松尾清憲+本秀康『チョコレート・ラブ』収録)を歌って、「TEA FOR YOU」に繋ぐ変則バージョン。「TEA――」にインド人がレコーディングに参加したいきさつを語り、カレー風味をまぶす。タンゴ風味の「エッフェル――」はアルバム未収録、未発表曲で、演奏されたこともほとんどないという幻の名曲。洒脱さを増す。「レイニー――」は甲斐バンドから歌詞の依頼がきたことに松尾は驚いたというが、曲そのものが松尾風のものなので、詞だけでも松尾でなければまずいと、依頼したのではないかという意外な事実(あくまでも推測!)も披露。
 
ミニ・ライブといいつつ、ちゃんと解説もあるので、なんだかんだと、30分近くかかる。松尾のピアノでの珍しい弾き語り、これを聞けた方は本当に貴重ではなかっただろうか。

演奏終了後、前沢、藤本、松尾ともに壇上に上がり、挨拶をする。「レイニー・ドライブ」は、本来であれば、福岡出身の松尾に博多時代のことも聞きたく、敢えてレア曲をリクエストした経緯を伝える。実は、あまり松尾に博多色はないが、昨年、発売された博多ロック評伝の決定版「博多ROCK外伝」にも松尾は登場し、コメントもしている。そんなこともいろいろ聞きたかったが、それは、また、いつかになる。
 
実は同質問に限らず、他にも聞きたいことがいっぱいあったし、用意した映像もほとんど紹介しきれていない。まだまだ、ネタや素材はある。次があることを祈りつつ、ステージを去ると、なんと、会場からアンコールの拍手が起こる。
 
松尾がステージに再登壇し、ピアノに向かう。アンコールなど、予定外のこと。嬉しいハプニングである。弾き出したのは「愛しのロージー」。突然のサプライズ&ハプニングに会場も笑顔と歓声に溢れる。「愛しのロージー」で始まり、「愛しのロージー」で終わる、愛しくも至福の3時間30分ではないだろうか。当初、“本人に直撃する150分(2時間30分)!”だったが、気づけば“本人に直撃する210分(3時間30分)!”と、大幅延長。楽しいのだから仕方ない。皆様のリクエストがあれば、次もあるかもしれない。きっと、私達は戻ってくる――。
 
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明後日、3月5日(日)と迫った松尾清憲トークイベント「Past, Present and Future」。松尾清憲からの提案で、急遽、アコースティック・ミニ・ライブが決定。当日はエムズ・カンティーナのピアノやギターを使って、誰もが知る名曲や幻の名曲を弾き語りをします。秘蔵映像、音源の公開だけでなく、スペシャル・ライブも開催。松尾清憲ファンは必見、必聴のイベントになります。是非、いらしてください。お待ちしています。

 

 

■松尾清憲トークイベント「Past, Present and Future」■

 

30周年プロジェクトも大盛況の内に終わり、2017年、松尾清憲の新しいディケードが始まる。これから、彼はどこに向かうのか? 今回初のエムズ・カンティーナでのトークイベントを「Past, Present and Future」と題し、本人に直撃する150分!


日時:3月5日(日)13:00開場13:30開演(16:00終了予定)
出演:松尾清憲(シンガー・ソングライター)
ゲスト:藤本国彦(ビートルズ愛好家・編集者)
MC:市川清師(元ミュージック・ステディ編集長)


会場:東京・世田谷「M's Cantina(エムズ・カンティーナ)」
.https://www.facebook.com/MsCantina/.
料金:予約2,500 円/当日3,000 円(自由席・1 ドリンク代別途必要)
予約フォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/
お問い合わせ:予約フォームからお問い合わせください

 

 

 

 

 

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