頚部に発生する腫瘍には甲状腺癌、唾液腺癌、リンパ腫、肥満細胞腫、その他の悪性腫瘍のリンパ節転移などがありますが、細胞診を含む各種検査により鑑別できることがあります。
術前外観 頚部XP

このたび来院したミニチュアダックスは左頚部に固着した腫瘤を持ち、術前診断が付かずに術後の病理検査により悪性頚動脈小体腫瘍と診断されました。非常に珍しい腫瘍であり、この腫瘍の治療報告もほとんどありませんでしたので第26回獣医がん研究会にて発表してまいりました。


手術風景 切除 組織

腫瘍は頚動脈に発生するので切除が困難であり、そのため術後の治療までの報告はほとんどありません。現在術後2ヶ月ですが、頚部の圧迫が解除され元気に過ごしています。。可能性にかけた補助的化学療法を継続中です。


術後2ヶ月


外科切除によりQOLの向上を認めた悪性頚動脈小体腫瘍の犬の1

堀川歴央、堀川敦子、林光児(レオどうぶつ病院)

2006年 日本獣医がん研究会(大阪)

【要約】

頚部腫瘤とその圧迫症状を主訴に来院した10歳のダックスフンドに対し,診断と治療を兼ねた腫瘤切除術を行った.病理組織検査の結果は悪性頚動脈小体腫瘍であった.腫瘤の圧迫解除によりQOLは改善し,現在術後2ヶ月,再発・転移を認めない.ケモデクトーマに対する治療の報告は少ないが,可能性にかけた補助的化学療法を継続している.