がん治療の三本柱は外科療法、化学療法、そして放射線療法です。

放射線治療には放射線装置が必要です。

当院では適応症例には麻布大学獣医学部附属動物病院をご紹介しております。


リニアック

当該施設ではリニアック(高線量)放射線装置を使って多方向から分割照射することにより、周囲の正常組織への影響は最小限に、そして病変部に高線量を照射することが可能です。それにより少ない治療回数で最大限の効果が得られるようになっています。コンピュータを使った線量計算により緻密で効果的な治療が可能となっています。

しかし人と違い、動物の放射線治療では正確な部位に照射するためには全身麻酔が必要となるため、麻酔リスクを伴います。また、放射線障害に関してもどの程度のものが起こり得るか担当医と話し合い、慎重に治療適応を判断しなければなりません。


現在麻布大学で行われている治療の分析をしますと、照射部位は犬では口腔内と鼻腔内が多く、続いて脳、頭部、頚部、胸部、後腹膜腔、肛門、四肢などに行われています。

猫では鼻腔内が圧倒的に多く、続いて前胸部、脳などに照射されています。このように手術で切除できない部位や外科切除後の術中照射などが含まれます。


腫瘍の種類は犬では鼻腔内腫瘍、口腔内悪性黒色腫、肥満細胞腫、軟部組織肉腫、胸腺腫、脳腫瘍、肛門嚢腺癌、リンパ腫など完全切除しにくい腫瘍が多く、猫では半数以上がリンパ腫で、他に鼻腔腺癌に多く適応しています。


腫瘍に対する放射線治療は、その照射部位と腫瘍の放射線感受性(効果があるか)を十分に検討する必要があります。

また、その治療目的は腫瘍を完治させるものなのか、あるいは増大を遅らせるものなのか、よく理解してから判断することが重要なのです。