2005年2月13日作品

白猫

僕の誕生日まであと1週間。
あと1週間で僕は7歳なんだ。
小学生になってから始めての誕生日。
僕の誕生日はちょうどクリスマスの日なんだ。
でも、僕の家は貧乏だし、煙突も無いから毎年、サンタさんは来てくれないんだ。
クラスのみんなは、「クリスマスの日はパーティするから」って
誰もお祝いなんかしに来てくれないし、お母さんもお父さんも仕事で忙しいんだ。
クラスのみんなの事嫌いじゃないけど、こんな時はなんだか、羨ましいし、
憎いような気がする。僕ってこんなだから、サンタさんも来てくれないのかなぁ。
だから僕はクリスマスの日が大嫌いだ。誕生日が大嫌いだ。
みんなが羨ましいよ。なんとなくこの時は嫌な気分だよ。
みんな僕がまだ小さいからって何にもわからないって思ってるんだ。
「クリスマスはどうせお母さんもお父さんも帰って来ないし、一人で遊んでよう。」
そんなクリスマスの日。
なんだか帰りたくなくて、うろついていたら、すっかり暗くなってしまった夜。
慌てて帰る少年。「あれ?まだみんな帰ってないはずなのに明かりがついてる。」
泥棒?急いで家のドアを開けて駆け込むと、中から一斉に声が。
「誕生日おめでとう!」クラッカーが一斉に向けられてなります。
そこには、クラスのみんなが居ました。
先生の提案で、少年の誕生日をみんなで祝ってあげる計画がこっそり、
進行してたのでした。お母さんもお父さんも仕事を切り上げて早く帰ってきていました。
「お前の小学校になって始めての誕生日だからな。」「これぐらいは祝ってあげないとな。」
お父さんのその言葉とみんなの優しさに、
少年は感激して涙ぐみました。同じクラスの女子に「泣いてる」って言われて、
慌てて「泣いて無いやい!」と隠しました。
その日は、いつも静かな家から、ワイワイと賑やかな声が溢れていました。
そんな幸せそうな声を、白猫は外で聞きながら、また眠りにつきました。