「Term Sheetって何よ?」という人もいらっしゃるかもしれません。Wikipediaの日本語版にはありませんでしたが、英語版には記載があります。(最初の部分を以下に抜粋しますが、実際のWikipediaの該当ページはコチラ)
A term sheet implies the conditions of a business transaction, as proposed by a party. It may be either binding or non-binding.
雰囲気としての例としては、シードファイナンスにおけるConvertible Noteの場合のものです(なので普通の企業法務としては内容はあまり参考にならない)が、コチラをご参照。
Term Sheetって、要するに契約条件の概要を表とか箇条書きでまとめたものですね。正式な契約に入る前に。そしてこのTerm Sheetの法的拘束性が色々と問題になることがあります。
そういう意味では、LOI (Letter of Intent) とか、MOU (Memorandum of Understanding) と役割としては似ていると思いますが、Term Sheet独特の問題点があるのではないかと思います。それは次のような点。
1.LOIやMOUと違い、契約書っぽくないので、法務担当者に話がまわってこないままサインしてしまうことがある。(または法務担当者が契約書を見ないことになっていても、そもそも契約書だとい認識なく、ノーチェックでサインされてしまう、という問題)
2.そもそも署名しないタームシートもある。またはエクセルとかでTerm Sheetがつくられていて、最後まで署名しないものもあるし、最後になって署名欄が追加された署名されるパターンも。より一層契約書っぽくない。
3.契約書をまともに交渉すればするほど時間がかかる、という案件でよく使われるため、それだけ重い案件とか複雑な案件で使われることも少なくない。
なので、なかなか法務担当者としては難しい部分があります。
そこで、法務担当者としてはTerm Sheetについて、どのような関わり方ができ、どういったポイントを押さえておくべきか、というのを考えてみよう、というのがこのエントリです。
それでまず問題となるのは、法務担当者が知らないところでTerm Sheetの話が進み得る、ということですよね。
シードファイナンス等のファイナンスとか、M&Aなどであれば、法務ではない各担当者も、「あぁこれは気をつけないとな」とか、分かっている場合も少なくないかと思います。でもそういった案件でないと、現場の担当者は、Term Sheetで主要な契約項目を合意していくプロセスについて、「これは拘束性に気をつけないと」とはさすがに思いませんよね。
なので、Term Sheetに関わりそうな部署に軽いトレーニングをしておくのが理想といえば理想ですが、こういうのは、従業員というよりは執行役員レベルの方が関わってくることもあって、トレーニング対象からそういった方が外れていると意味がない、ということもあります。トレーニングに執行役員にも入ってもらうとか、それが無理であれば、管理職クラスに、執行役員がそういった交渉をやっている雰囲気があったら、注意してもらう、ということを伝えることもあるかもしれません。
そういうことの詳細も含めて、何回かに分けて考えてみたいと思います。
ところでそういえば、先日、あの「Google Booksプロジェクト」が、Google Booksにて掲載されている書籍等の著作権者の著作権を侵害しているか、という件の米国連邦高裁判決がありました(Authors Guild v. Google, Inc., No. 13-4829 (2d Cir. 2015))。 Google側に軍配が上がっています。
こちらは自分に解説できるほどの力量がありませんが、色々興味深いですね。そういえば原告のAuthors Guild自体は原告適格がないと判断されて、個々の著作者数名が原告に残ってやっていたのは知りませんでした。法人や組合等の団体の原告適格要件、Bar Examの勉強でやったな、、、ちょっと思い出しついでに復習しておこう。。。
あとGoogle Booksのプロジェクトには慶応義塾大学の図書室も協力していたんですね。それも判決文の注釈に記載があって初めて知りました。ご興味がある方は、上のリンクから判決文をご覧あれ。