今年初旬に大型のM&A案件が2件クローズし、ちょうどその時からあることを勉強し始め、10月にその資格を取得しました。ソムリエ(ワインエキスパート)の資格です。
何を血迷ったのか、、、という感じがしますが、色々と思うところが1年半ほど前からあって、スクールに通って取得しました。資格取得までの半年間、企業法務の仕事の傍ら、机上での勉強にも、テイスティングにも励み、無事に資格を取得しました。(半年間で700本以上のワインをテイスティングする、というのはなかなかない機会でした。。。)
それで今すぐではないですが、企業法務の仕事をメインにしつつ、ワイン関係の仕事もチャレンジしようと思っています。先日、資格取得後、運よく初仕事ももらってやってきました。(いずれもレストランで働く、といった類の仕事ではありません)
そんな風に、法務と、法務とは無関係の仕事のダブルキャリアを考えてみて、メリットやデメリット、注意すべきことなどを少しずつですが、感じてきています。
そこで今回は、そのあたりを整理して書いてみることにしました。私の場合は法務とワインなので、それだと法務系Advent Calendarとしてはニーズ少なすぎなのですが(苦笑)、いつもの仕事とは違うことを仕事としてやる、ということの良し悪しは、少なからず多くの方に関係する気もします。今回、色々考えてまだ大したことが書けるようなレベルに達していないことがよくわかりましたが、今更テーマ帰る余裕もないので、とりあえず書いてみます。
あと最後にせっかくなので、スパークリングワインに関するプチコラムも最後に書いてみます(笑)
「ダブルキャリア」というのは、結局、2つ以上の職務や企業勤務にトライした結果生まれている「状態」でしかないと思います。それを目的や目標としてやるものではない。
だから本当はメリット・デメリットがあるからやる・やらない、というものではないと思います。
自分がワインの勉強を始めたきっかけは、年をとって、法務の仕事の第一線から退くころの、自分のその次の道を今のうちにつくっておこう、という想いです。好きなことに今のうち種まきしておこうと。そうしたら、勉強するうちに、仕事としてやりたいことや、やれそうなことが見えてきました。
一方、今の自分のキャリアを更に磨くために、強いて今とは違うことを並行してやろう、という、現在のキャリアの向上のためのツールや手段として、別のことにチャレンジし、結果ダブルキャリアになっている、ということもあると思います。
そうすると、例えば同じ会社でいつも担当している法務業務とは別のことをやるとか、別の部門の業務も兼務するとか、そういったことと、何が違うんだろう。または仕事ではなくて自分がハマっている趣味を追いかけるのと、何が違うんだろう。と思うと、同じことと、違うことと、双方あります。そのあたりもちょっと踏まえて、ダブルキャリアのメリットやベネフィット・デメリットを考えてみます。
1.自分の人生にとって大事なことが何か、無関係な複数の業務を通じて実感できる
全く関係のない2つの仕事に関わってみて、自分にとって何がやりがいであり、何を大切にしていくべきか。仕事として、自分が何にこだわりたいか。関係ない仕事を掛け持ちすることで、それらの共通項がみえてくる気がしています。これは大きい。同じ法務で2つの企業を掛け持つよりその影響は大きいと思います。同じ企業内で別部門で働くことでも実感できるかもしれません。ただやはり向くベクトルも働く環境も文化も異なるところで働くからこそ見えてくるものがある気がします。趣味だと、仕事として何を大事にしたいか、というのは見えてこない気がしますが、趣味を仕事にしてしまえば、それこそ見えてくるものが大きそうです。
2.法律知識以外に自分の能力として生かせるものを再発見する
例えば企業法務業界ではもはや大した武器になるのかよくわからん、と思っていた自分のパーソナリティや能力が、別の企業や業界に行くと、とても役にたつじゃん、と分かることがあります。逆に足りないことも見えてきます。転職すれば分かる、ということもありますが、転職しなくてもそれを体感できるのは、大きい。今の仕事以外のプロジェクトや仕事にチャレンジすることができるプラットフォームは今もある気はしますが、もっとあってもいいかもしれないですね。弁護士法の問題があるのでやや難しいですが。
3.様々な人との出会い
もはや自分にとっては財産になっています。本当に全くバックグラウンドがバラバラな人と会うと面白い。そういう人たちと仕事の話をすると、新しい発見がたくさんあります。物事を抽象化してとらえる力も養える気もしています。これは会社によっては、同じ会社内でも十分できるかもしれないですね。企業文化次第かも。趣味でもできますね。ただ仕事の話をして初めてできる発見もあるので、その点で趣味では得られないこともあると思います。ただ趣味だからこそ得られる出会いがあることも今回よく分かりました。
4.後発かつ「副業」だからこそ、冷静にかつアツくどこで勝負するかを考えられる
これは転職とかキャリアチェンジに比べたメリットですね。1〜3まではダブルキャリアという状態を通じて得るベネフィットですが、これはメリットです。ここからベネフィットを得られるかはまた別の話。やりたいこととやれることの双方をきちんと考えられます。ただあんまり考えすぎずに行動したほうがいいだろうな、と思っていますが、細々とチャレンジを開始できるのも、いいことなのかな、と思っています。
5.失敗しても、趣味として活きる。ある意味教養となる?
これは説明不要ですね。チャレンジすることにもよると思いますが。
1.各業務に使える時間が減る
当たり前です。なので法務に専念している人に比べれば能力が落ちるリスクは大いにあります。なので、例えば法務系の業務をサブでもう1つチャレンジする、ということであればこのリスクは低いのか、と考えてみると、なかなか難しい。法務業務をサブでやるといっても、大したことができるのか、これは結構疑問です。逆にできる道があれば、チャレンジしがいはかなりあると思います(前述のプロジェクト単位でかかわる、とかならできるかもしれないですね)。
一方、同じ企業の別部門に行くと、業務量のコントロールはできません。そういう意味で、メインとは別のもう1つの業務は、少し自分で業務量の予想が立てられたりコントロールが立てられるといいな、とは思っていますが。。。言うのは簡単ですね。
あと、法務とは全く関係のないことをやる自分のようなパターンの場合、このデメリットに打ち勝つのに大事なことは、できる限り自分が法務としてアウトプットしたいことを明確化することと、そのための基礎固め・体系的な知識の習得を早めにすること、だと思っています。なのでdtkさんの言うことには耳が痛い(笑)一方で、基礎固めや体系的な知識のレベル感も幅があると思います。アウトソースできることはアウトソースして、自分がやれること・やりたいことに集中する。これがどこまでできるのか。企業法務ならむしろ求められるアウトプットまたはそれ以上のアウトプットを出すことが重要なので、そう簡単ではない。色々と思案中です。
2.生涯給与は減るか?
これはよくわかりませんが、1つ前のデメリットを考えれば、当然あり得ます。この対策は1つ前に書いたことと同じ、ではありますが、もう1つのキャリアで何をするのか、ということも重要になります。むしろ、個人的には非金銭的な人生の報酬と財産が得られることのほうが、大きいですが。
3.転職がしにくくなる
これもあり得ますが、そもそも自分のダブルキャリアがうまくいっていて、そのうえで転職したい場合、ダブルキャリアであることがマイナスになるような企業はそもそもミスマッチしている可能性が高いので、これはデメリットでもマイナスでもない気がします。ただ、デメリットになる可能性はあります。まだこのあたりは未経験なので分かりません。
4.時間のコントロールが難しい
これは気をつけるべきことですね。新しいことにチャレンジしていたり、新しいインプットを入れていると面白いので、そちらに時間をより使いがち。ただあまりにそこをコントロールしないでいると、前述のデメリットが思い切り全面に出てきてしまいます。このあたりをコントロールすべく、きちんと自分で時間の使い方を明確化して決めるべきだと思います。あとはどれだけ「無駄なこと」をやらないようにするか。でも「無駄なこと」って、見極め難しいこともありますね。
5.好きなことは熱が冷めてから仕事にする
今後働き方が多様になってくると、自分がハマっていることを仕事にしたくなる人が多くなってくるかもしれません。ただハマったものは必ず一定程度冷める。なのでハマったものが少し冷めて落ちついてきたときに、本当に仕事としてやりたいのか考えることが重要と思いました。これは法務業務の中であることにハマった場合でも同じだと思います。
やっぱり、まだあまり大したこと書けないですね。もうちょっとレベルが高くなってから、本当にダブルキャリアといえる状態になってから、また書きたいと思います。
コラムの前に最後に1つ。今回自分が想定している「ダブルキャリア」というのは、あくまでメインの職務や業務があって、それとは別に、他のことも職務や業務として仕事をもっている、という状態です。例えば、フリーランスとして複数の企業の業務を受託して働くとか、どれもメイン、ということなく複数社の法務として働く、ということもあると思いますが、それは結構ハードルが高い。
それを前提として、メインの仕事で、週5日働かなくてはいけない、ということもない。むしろ日数や時間が決まっていることにやや非合理性もある。また仮に週5日勤務だとしても、子供が大きくなって、土曜日や日曜日に自由な時間が生まれたときに、やりたいことで仕事をとれるようになったら面白い。平日の夜に週1〜2回、別の仕事をするスタイルもある。事実、そういう人たちが目の前に何人かいます。ワイン業界はダブルキャリアの人がかなり多い。
これから、法務関係の方も色々な働き方が更に出てくると思ったので、1つの例として、書いてみました。中身なくポエムすぎてすみません。
物事、「今なら時間に余裕がある」という時に始めると、時すでに遅し、ということもあると思います。重要度が高く、優先度が低いこと。それをどれだけ早く、コツコツと始められるか。人生においても仕事においても大切なことだといつも思っています。だから始めてみました。やりたいことを。いざやれるチャンスが出てくるときのために。
どうなることやら。
この季節、忘年会やクリスマスに向けたイベントが多く、普段よりもスパークリングワインを飲むことがあるかも、と思ってこのテーマにしてみました。
普通のスティルワインであれば、ボトル裏のラベルやお店が付けたプライスタグ等に辛口とか甘口とか描いてあるものは結構あるものの、スパークリングワインにはそういう表示がなかったりします。辛口のスパークリングワインが飲みたい、と思っていたのに甘口だったり、その逆だったりするとガッカリです。そこで、これだけ覚えておくと便利、ということをご紹介します。
"Extra Dry"はやや甘い
スパークリングワイン等のワインのラベル表記のルールは、EUのワイン法(欧州議会及び理事会規則1308-2013並びにそれに関わる各委員会規則の総称)の中の委員会規則607-2009号のラベル表示規則にて定められており、EU国外の国も、EUへ輸出するために、同じ規則に従った表記をしていることが多いです。
よく、スパークリングワインのボトルに、"Brut"という表記があります。これは、スパークリングワインに含まれる糖分の量を表しています。通常、スパークリングワインの製造過程で甘み調整のためにリキュールを添加(ドザージュといいます)するのですが、これによる糖分含有量に応じて、ボトルの表示を変えなければならないことになっています。このスパークリングワインの糖分含有指標は、必要的記載事項です。以下がそのルールです(同じ糖分含有指標を表す言葉が複数言語あるのですが、代表的なもの1つだけ記載します)。
・3g/ℓ未満(二次発酵後の糖分無添加が条件)
"Brut Nature"
・0〜6g/ℓ
"Extra Brut"
・12g/ℓ未満
"Brut"
・12〜17g/ℓ
"Extra Dry" "Extra Sec"
・17〜32g/ℓ
"Sec"
・32〜50g/ℓ
"Demi Sec"
Brut Natureは、基本ドザージュをしません。そのために、甘さはほぼありません。非常にドライです。とても美味しいのですが、ほんのり甘さの残る、スタンダードなスパークリングワインを期待してBrut Natureを飲むとガッカリするかもしれません。逆にDryだと思ってExtra Dryを買うと、思った以上に甘い、ということがあります。巷で最も多いのはBrutです。ここを基準にして、自分が飲みたいものが選べると面白いです。(とはいえ、Brutは12g/ℓ未満なので、3g/ℓのBrutもあり得ます。これは各ワイナリーのブランディングや商品戦略、信念などによるのですが、そのあたりは今回は省略。)
”Asti”は甘い
あと少しややこしい話。例えばイタリアでは、原産地呼称制度として、一定の地域で一定の条件を満たしたワインのみに認められる呼称が数多くあります。例えば「キャンティ」という名称は、トスカーナの一定の地域で栽培した葡萄を使い、同一地域で醸造し、葡萄はサンジョベーゼを75%以上使っていないと名乗れません。逆にいうと、キャンティ、と言われたらサンジョベーゼがメインであることが分かるので、消費者はそれを元に、ワイン選びをする、ということになります。
そのような名称のうち、スパークリングワインでよくあるのが、Proseccoという名称と、Astiです。Proseccoはその名のとおりProsecco(Glera)という葡萄を使うルールとなっており、辛口がメインなのですが、少し甘い場合もあり、Brutなどの表示が付いていることも多いです。一方、Astiは、ピエモンテ州の特定地域において醸造された、マスカット(モスカートビアンコ)を使った甘口の発泡ワインでないと名乗れません。いまだEUのワイン法では各国のワイン法に従うことも許されているため、AstiにはBrutといった表記が一切ないものが多いです。Astiはイタリアではクリスマスのお菓子やケーキにも合わせやすい、この時期にぴったりのワインとして重宝されていますが、辛口と思って買うと痛い目に遭います。
こんな感じで、いくつかポイントを抑えておくと、飲みたいスパークリングワインを選べるようになります。他にも、クレマン、メトードクラッシック、メトードアンセストラル、キャップクラッシック、ゼクトなど、スパークリングワインとして押さえておくべき事項は数多くありますが、長くなるので今回はこのへんで。。。