日々、リーガルプラクティス。

企業法務、英文契約、アメリカ法の勉強を
中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。

NEW !
テーマ:
ようやくプロジェクトが一旦落ち着きました。。。久々の投稿(最近はこんなのばかりで申し訳ありません)。

契約書でよくMinimum Purchase Amountを定めるような契約ってありますよね。前職では、(取り扱っていた部材の性質上からか、Tier 2サプライヤーという立場からの問題からかは分からないものの)、Minimum Purchase Amountを契約書で定めたりレビューする機会はあまり多くはなかったのですが、現在所属している企業に転職してきてからは、かなり頻繁に見るようになりました。

それで、ドラフティングしている際にふと思ったことの備忘録として、今回のエントリーをアップしています。その、「ふと思ったこと」というのは、当たり前ながら、Minimum Purchase Amountをドラフティングしたりレビューしたりするときは、確保すべき利益を死守する(または生じる損失を最小限にする)、との観点から、どういう設定が好ましいか、きちんと考えないといけないな、ということです。

「は!?当たり前じゃん、そんなの」

という感じですが、意外と考慮すべきことがたくさんあるのではないかと。

ここで、複数の製品を売買する場合を想定して考えてみます。

まず、Minimum Purchaseについては、以下の2つの分類のどちら(またはどちらも設定して、そのどちらかの低い方)を基準とするか、という検討が当然必要です。

①数量
②価格

それで、①を選択するにしても、②を選択するにしても、次にこのような選択肢があるかと思います。

A.製品別に数値を設定
B.製品種類別に数値を設定
C.トータルの数値を設定

と、こんな順序で検討するもの、思っていたのですが、これ、あるべき検討の順番が逆な気がしますよね。利益の観点から考えれば。なぜかというと、このMinimum Purchase Amountで利益を確保するためには、想定の原価や販売管理費を上げないようにしなければいけないからです。

例えば、複数の製品を販売している場合、

i. 同じラインで当該複数製品を製造しているか?

ii. 共通化された部材で当該複数製品を製造しているか?原価率はどうか?

iii. 部材の調達先は複数製品で同じサプライヤーなのか?

iv. 今回の製品供給に金型や治工具等の開発費を新規でかけている?

v. 当該複数製品をつくっているラインのキャパシティの余裕は?

こういったことが、あくまで例ですが、原価をいかに抑えるか、ということの検討に資すると思います。3つの製品を販売している立場で、全て同じラインで製造しているようなものであって、原価率もほとんど変わらない、という製品であれば、Cのようなトータルの数値だけ設定すればいいかもしれません。逆に複数のラインで各製品を製造していて、キャパシティもそれぞれ異なるし、原価率も異なる、ということであれば、利益確保の観点から言えば、製品別または製品種別ごと、つまりAやBの考え方でMinimum Purchase Amountを設定しないと、変なことになってしまいます。(といっても、アイテムの種類が多過ぎれば、個別に定めるのは現実的ではないので、その場合はどうするべきか、という検討が必要かとは思います)

ということで、まずは、検討の順番としては、①や②のどちらかを定める前に、Aなのか、Bなのか、Cなのか、ということを、原価観点から考える必要があると考えています。

次に販管費及びその他の費用項目についても検討する必要がありそうです。例えば、Minimum Purchase Amountの管理にどれくらい手間がかかるのか、どういった管理であれば、工数を減らし、かつ適切にカウントできるか、という問題が当然あります。ここでは、A. B. Cのどれがいいのか、という観点も交えつつ、①と②のどちらを選択するか、という要素が出てくると思います。(ここで初めて①と②を考えるんだ、というのがポイントだと思います。ここをA, B, Cよりも先に考えがち、かと。)例えば、

a. Cのトータル数値で管理する場合、POにひも付けて金額管理するのは非常に簡単?個数だとどうなのか?

b. 価格改定はどのくらい頻繁に行う?

c. 為替の影響と為替による価格変更協議条項の設定は?

d. 追加アイテムを加えた場合の影響は?

e. 各製品の利益率は?製品ごとの価格の違いは?販売国によって利益率は変わらないの?

こういった事項でしょうか。

こうやって考えてみると、営業や事業開発の人たちがMinimum Purchase Amountの設定に関して、必ずしも適切に設定しているとは言えない場合も少なくないのではないか、と考えられますが、法務も同じく、偉そうに契約起案したものの、目的が全く達成できていない、ということがあり得る気もしています。

そう考えると、ちゃんと襟を正せねばならんですね。。。



Minimum Purchase AmountのカウントプロトコルとRemedyの設定


そしてできているのが当たり前のようで、時々できていないのを見かけるのは、この2つの事項がはっきりしないことですよね。例えば、2016年10月1日から1年間で、◯◯万USドルが最低購入数量、と定められていても、特に製品1個あたりの単価が高いと、これが個別契約成立時点での計算なのか、支払が実際になされたベースで計算するのか、よく分からずに揉める、ということもあるかもしれません。製品不良で返品した分はカウントするのか、とか。ただここまで詳細に定める例はあまり見ませんが、相当重要なのであれば、どのように定めるかを検討する必要がありますよね。

あとremedyですかね。これ、結構ポイントだと思うんです。Minimu Purchase Amountの購入が義務として記載されていれば、特に別途記載のない限り、当該Amountの購入を達成しなければ契約違反です。そうすると、Minimum Purchase Amountが達成できないと契約が解除できるのか、という問題が生じますが、英米法であれば、ここでこれがmaterial breachなのか、minor breachなのかで差が出てきます。その場合で、例えば動産の売買契約については、米国法の場合は、Perfect Tender Ruleが適用になるので、material breachになる可能性が極めて高いと思いますが、そうでなければ、それこそ揉めそうです。このあたりも「『Minimum Purchase Amountが達成できない場合は契約解除できる』という定めがないんだから、契約解除されないだろう」と高を括っていると、痛い目に会うことがありそうです。Exclusivity Distributionの契約設定で、独占権だけが解除されると思っていたら、契約も解除された。または契約を解除しようと思ったら、独占権の解除しかできなかった、ということが生じ得ると思います。

そして、そのようなケチをつけて契約解除しようと思ったら、前述の、Amountの計算プロトコルがはっきりしないためにケチがつけにくい、ということも生じますよね。

このあたりも含めて、ビジネスマインド及び契約の基礎マインドが試される条項だなぁ、と改めて感じています。自分がきちんとできているとは思えないので、肝に銘じるべし。。。

。。。って8月に思ったことを、いま頃綴らせていただきました。。。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
とあるプロジェクトで忙しくて全く何もできません。。。本ブログも然り。といっても、自分のキャパ不足だからなんでしょうけどね、寝る時間を更に削ればできることもあるんでしょうが。。。

そんなこんなしている時に、現職で、公正取引委員会を名乗る人からの電話に関する注意情報が流れました。何かと情報を聞き出そうとしてくるような電話だそうですが、公取に別途電話したところ、そんなやつはいないし、そういった類の電話は公取からはしない、という回答だったそうです。

取り急ぎそれだけ本ブログでお伝えしようかと。

皆様、お気をつけを。。。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
転職して5ヶ月ほどが経過しまして、M&Aや事業譲渡、ファイナンスについて、素人ながら何とか勉強していろいろ吸収しようと頑張っております。前職の際にEBITDAとかNPV、ターミナルバリュー、加重平均資本コスト等について少し勉強していたのが、ここに来て役に立っています(というより、何とかついていくことができることに役にたっている。。。)が、その他にも勉強すること満載で、なかなか追いつきません。

そんななか何とか勉強している中で、「ん?よく分からん」と思ったのが、この"Cash-Free, Debt-Free basis"という言葉。

通常の(株式取得による)買収における"Debt-Free, Cash-Free"というのは、対象企業のバリュエーション(Valuation)の考え方として、そしてクロージング時の価格調整の考え方として、なんとなく分かる気がしています。

でも、"Cash-Free, Debt-Free"って、事業譲渡の場合は何を意味するんだろう?というのが少し前にふと湧いた疑問です。これが今でもよく分かっていません。

例えば、事業譲渡案件のOffer Letter等で、売手が買手候補者(Bidder)に対して、"This offer is made on debt-free cash-free basis."って買いてある場合、そりゃどういうことなんだろう。と思ったわけで。

それでウェブサイトで調べたところ、参考になったのが、RSMによるコチラのページ。明確に事業譲渡におけるdebt free cash free,とは買いていないけれど、恐らく事業譲渡を前提として書いているような記事。

この記事ではまず最初に、"Debt Free Cash Free Deal"というのは、基本的に売り手が買い手に事業を売却する際に、一切の売掛・買掛金はゼロの状態で売却するという考え方である、といった記載があります。そのうえで、売掛金や買掛金のような明らかなもの以外に、数多くのdebtやcashの項目があるものの、どこまでを売手がキープし、どこから買手が取得するのか、明確にならずに問題になることがある、という指摘をしている記事です。実際の事業譲渡契約(APA/Asset Purchase Agreement)の際に、どういったdebt free cash freeを明確に規定すべきか、その前提として、一定のタイミングでそれらの事項を明確にするべく交渉すべき、ということが具体的事例に合わせて書いてあり、大変参考になりました。

医療機器業界だと、例えば、エンドユーザーの病院に販売済みの商品の売掛金は売り手に残るとして、預託販売(電子部品世界におけるVMIとかHub取引)で病院にある売り手在庫は、Assetとして引き継ぐんだよね!?とか。これは明らかな例かもしれないけれど、もっと細かい、微妙な項目が数多く記載されいて、少しイメージが湧いたことは確か。

これが本当に事業譲渡における"Cash-Free Debt-Free"のポイントに関する解説なのかは、確信は当然ありません。ただ少しすっきりしたので、ご参考までに。

そういえば、「売掛金」という言葉で今ふと思ったんですが、事業譲渡の場合、クロージング直後に、本当に買手側に、債務者が売掛金をスムーズに支払ってくれるんですかね?売手にそのまま支払っちゃったりして。。。こういうのは、TSA(Transition Service Agreement)で規定するんでしょうかね。ふむ。疑問がつきませんね。。。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。