諸々 | 日々、リーガルプラクティス。

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企業法務、英文契約、アメリカ法の勉強を
中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。

今日はふと思ったこととか、確認したことをメモ程度に留めておくエントリです。若干適当ですがご容赦。。。


●法務ブログ「企業法務戦士の雑感」にて「『規約』の著作権侵害が認められてしまった驚くべき事例」というエントリがあり、確かに驚きました。実際の規約を見ていないので、素直な感想を書けるレベルにないのですが、「そういえば確か米国でも同様の事例があったような、、、」と思って確認したところ、やっぱりありました。

American Family Life Insurance Co. of Columbus v. Assurant, Inc. (N.D. Ga. 2006)がその事例。Ken Adams氏のブログに本件についての記述がありますが、保険約款の付帯約款において、被保険者に分かりやすいよう、ナレーティブな記述の約款を原告のAFLICが作成したところ、被告の保険会社がそれを流用したため、原告が著作権侵害だとして訴訟を提起した、というもので、原告の主張が認められ、サマリージャッジメントにて差し止めが認められています。

Ken Adams氏はこのあたりについて論稿を2006年に発表しているので、ご興味がある方はご参考までに。海外の場合、自分たちが独特の規約をつくることはあまりなさそうですが、他社の独自のものを弁護士とかが勝手に引っ張ってきて、それで訴訟を起こされたら、弁護士費用を考えると恐ろしい。。。



●昨日、商事法務研究会・経営法友会共催の「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の解説会」に参加してきました。今まであまり債権法改正を丁寧にフォローしてきていなかった自分としては、いい勉強になりました。

ところで保証契約のところで、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約等において公正証書を作成しなくてもいい例外の1つとして、主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者が保証人となる場合が定められていることに関し、道垣内先生(そういえば正人先生がお兄さんで、今回の弘人先生が弟さんなんですね)が「配偶者の扱いについては、比較法的に見れば、普通は逆」なんておっしゃってました。

そういえば保証契約ではないですが、遺言とか信託に関連して、配偶者というのはそういう扱いだったなぁ、なんて思い返しました。遺言の作成者が配偶者である場合は、Undue Influenceが推定される、のが通常、とか。

けどカリフォルニア州はその推定が配偶者の場合ないんですよね。労働法とか、夫婦共有財産とか、どことなく時々日本法と似ているカリフォルニア州法。

保証契約については米国の場合、Statute of Fraudsの対象なので書面にする必要はありますが、公正証書みたいなものにしないといけないんでしょうかね。そのあたりの観点から、道垣内先生の真意を知る実力が欠けている自分に少し悲しくなりましたが。。。



●武田薬品工業のActosに関するMulti-district litigationですが、陪審員の評決を裁判所が支持しましたね。武田薬品のプレスリリースにも記載があります。

評決を支持した、といっても、陪審員の評決に対してのJMOLの申立(Motion for judgment as a matter of law)が否決されたに過ぎず、Motion for New Trial(再審理の申立)についてはまだ審理中のようです。あとプレスリリースには「懲罰的損害賠償金を大幅に減額すべき旨の申立て」についてもまだ決定は下されていない、とありますが、これは"motion for remittitur"のことでしょうかね。。。当該Motionは見つけられていませんが。。。

本事案については、JMOLについては申立人の武田側もあまり期待していなかったのではないでしょうか。今回の陪審員評決に関する最大の争点は、今回の懲罰的損害賠償の額が憲法(修正第14条/デュープロセス)違反か否か、またそもそもディスカバリー違反を基礎としての懲罰的損害賠償が許されるのか、という点だと思われ、それはJMOLの申立内容には含まれていませんので。

ただ、JMOLの申立に対する裁判所否決の判旨の触りだけ軽く読んでみたところ、裁判官が「証拠の削除についての認定については、ディスカバリーに関連して裁判所が下した訴訟手続的な決定であって、陪審員による原告の意図(Actosに害があることに関する認識や意図)の証拠認定とは別ものだ」なんて認定していて、このあたり今後のMotion for New Trialの決定にどんな影響がでてくるのでしょうか。個人的にはこの裁判所の考え方にはちょっと違和感があるのですが。。。だって結局ディスカバリー違反によってAdversarial Jury Instructionが出されて、それによって陪審員評決がでるじゃないか、という気がするので。。。まぁちゃんと裁判所の決定を読んでいないので分かりませんが。100頁以上あるのでなかなか読む気にはならないんですよね。。。

このあたりは追々時間があるときに勉強しようかな、と思います。



以上、今日の諸々でした。。。