Survival条項に関する見落としがちなポイント | 日々、リーガルプラクティス。

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企業法務、英文契約、アメリカ法の勉強を
中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。

ここ2週間ほど、本ブログであまりまともな更新ができておりませんでした。子供の体調不良等で何かとバタバタしておりました。久々に息子が夜は何度も起きて泣くの繰り返し。一昨日は、1時間に一度起きて、夜中2時頃に「ごはん!!」と泣き叫び、クラッカーを食べさせる始末。。。(息子は2歳です)。朝早く起きて勉強するのもなかなか辛く、ロースクールの勉強も遅れ気味です。

そんななか、今日ようやく落ち着いてきました。本ブログにおいて、Indemnification Clauseに関する話題とか、以前「続きを投稿します」といってそのままのVMI、SMI、CMI等のHub取引に関する話題についても投稿すると申し上げていましたのできちんと投稿したいと思いますが、今は手前のロースクールの勉強の遅れを取り戻すためにあまり長い時間をブログにさけないため、少しの間は短時間で投稿できるような話題になるかと思います。ただきちんと継続はしていきたいと思います。

それで今日は、表題の契約存続条項(Survival条項)についてふと振り返って思ったことを。


恐らく多くの企業法務担当者の方からすれば、契約存続条項の重要性自体は重々承知していらっしゃるかと思いますので、あまり面白くない、と言われてしまいそうです。。。ただ、意外と日本語の契約書ドラフティングの時は留意しているのに、英語の契約書のドラフティングやレビューになるとついつい留意するのを忘れてしまったりするので、要注意な事項かと思っています。

特に以下のような条項との関係で注意する必要があるかな、と思っています。みなさんはいかがでしょうか。


ライセンス契約/ライセンス条項と契約終了条項・契約存続条項


知的財産権に関わるライセンス契約の場合、又はライセンス条項が契約書に含まれている場合、ライセンスの付与条件と契約終了条項(Termination Clause)と契約存続条項(Survival Clause)の整合性を保っておかないと、けっこう面倒なことになります。

特に、英文契約でirrevocableとかperpetualなライセンスを付与する・付与されている場合にSurvival条項がない場合、Jurisdictionによって当該ライセンスが契約終了後に存続するのかどうか、微妙に見解が分かれそうです。契約終了前までにat willではライセンス付与を解除できない、という意味に捉えられる可能性がなくはないかと。また、本当はMaterial Breachがあった場合にはライセンスを終了させたいにも関わらず、契約書中のライセンス条項でirrevocableなライセンスとしておきつつ誤ってSurvival条項の対象に当該ライセンス条項も挿入してしまった場合には、更にややこしくなりそうです。

逆に、Revocableなライセンス付与をしたかったのでライセンス条項にRevocableと挿入したのに、Survival条項を挿入するのを忘れた場合はどうでしょうか。この場合は問題は少なそうな気もしますが、場合によっては予測可能性が低くなりそうです。

こういった矛盾が生じえることに留意して、ライセンス条項と契約終了条項、契約存続条項を起案する必要がありそうです。このあたりについては、例えば分かりやすく"revocable at will" "revocable with or without cause"といった表現をライセンス条項に用いつつ、契約終了条項や契約存続条項との整合性を保つことを推奨している弁護士さんもいらっしゃいます。(参考はコチラ


仲裁合意条項と契約存続条項


契約存続条項にて仲裁合意に関する条項が契約終了後も存続するかどうかを定めなかった場合、契約終了後も仲裁合意の存在は認められるんでしょうか。

これもJurisdictionによって当然結論は異なるでしょうし、また当事者の意思がどうであったのか、という点を様々な事実状況をふまえてケースバイケースで判断するものかと思われますが、例えば契約存続条項自体が全くない場合と、契約存続条項を定めているのにわざわざ仲裁合意に関する条項をその対象に含めなかった場合とで、判断が分かれる気もしなくはないです。。。前者の場合は、仲裁合意の独立性から、本契約が解除されても仲裁合意が存続する、という判断も場合によってはありえそうですが、後者の場合はその可能性が下がりそうな気もします。このあたりはちゃんと調べてないのでなんとも言えませんが。

ちなみに海外の場合、例えばアメリカだと州によっても判断が分かれるようですし、やはり当事者の意思がどうであったのかを判断するのが大原則のようですが、Notable caveatとして、契約存続条項で仲裁条項の存続の定めを置いていない場合は、仲裁合意の存続が否定されることが多そうです。(ABAに参考の記事あり。)

逆に同じ英米法系のJurisdictionですが、インドの最高裁判決(MAGMA Leasing & Finance Ltd v Potluri Madhavilata)では、イングランドのHouse of LordsのHeyman v Darwinsにおける判決内容を踏まえて、仲裁条項の文言を精査したうえで本契約が終了した場合でも仲裁条項が存続するとしたようです(あくまで本事案における事実をもって判断した場合、とされています)。


こういった点に留意して、契約書(利用規約とかも同様ですね)のドラフティングやレビューをする必要がありますね。自分も改めて留意しようと思い返しました。