日々、リーガルプラクティス。

企業法務、英文契約、アメリカ法の勉強を
中心として徒然なるままに綴る企業法務ブログです。
週末を中心に、不定期に更新。
現在、上場企業で法務を担当、
米国ロースクール(LL.M.)卒業し
CAL Bar Exam合格を目指しています。


テーマ:
最近、ICTの進化と共に様々なビジネスモデルやビジネススタイルが登場してきていて、それに伴って企業法務が新たに検討すべき法務課題にも様々なものが生じてきていると思います。自分の所属業界は製造業ですが、製造業でもクラウドの導入や3Dプリンターの登場により、今までにはなかった法律問題や課題がでてくる気がしております。

そんな中最近感じているのは、こういった時にはやはり「基本」をきちんと身に着けていることが非常に重要だなぁ、ということ。なので、今年はこのブログでも、新しい話題というよりは、いつの時代でも基本となるようなことを、英文契約ドラフティングを中心話題として、取り上げていこうかな、と思っています。

そこで今日は、Terms of Artの中で、非常に基本的でありながら意外と気をつけて使っていないと思われる"Termination"と"Expiration"について。

なお、"Terms of Art"とは、法律文書上では固有の意味を持つ言葉のことを指し、英米法圏の法律実務家はよくこの言葉を多用します。この言葉は"Legal Jargon"と呼ばれることもありますが、Legal Jargonは法律家でないと理解できない言葉を指すのに対し、Terms of Artは、Legal Jargon も含めて、非法律家が知らない言葉だけではなく、非法律家が知っている言葉であっても法律文書では固有の意味を持ち得る言葉を指して使われます。


では早速ですが、このTerminationやExpirationの使い方の一例として、次の条項をご覧ください。

Section 9. Rights and Duties of Parties Upon Expiration, Termination or Non–Renewal.
During the term of the Franchise Agreement and for 2 years after its termination or after its assignment or transfer, You agree that You will neither directly nor indirectly solicit, induce, divert or take away any customer within the statistical marketing area in which the STORE is located where you actually served during the term of this Agreement.


見ての通り、この条項はフランチャイズ契約における競業避止義務条項の1つです。ここでは、車の修理を行う事業のフランチャイズ契約であると想定します。それで、仮にこの条項を含む契約書を締結した後、契約当事者でFranchiseeの加盟店のオーナーがフランチャイズ契約期間が終了後、1年も経たないうちに以前の顧客に対して積極的に営業をかけた場合、Franchisor側はこの条項を元に契約違反であると主張し、Franchaiseeに勝つことができるのでしょうか。

実は、この条項の作り方だと、Franchisorは勝てない可能性があります(当然、準拠法やその他の付随する具体的状況によっても異なるでしょうが)。そしてこの条項、実は実際の判例(Hamden v. Total Car Franchising Corp., 2012 U.S. Dist. LEXIS 111432 (W.D. Va. Aug. 7, 2012))で問題となった条項をそのまま抜き出した(Franchisorの名前だけSTOREにしています)ものです。

ここで問題となったのが、この条項の"Termination"と"Expiration"のそれぞれの言葉の意味についてなんです。この判例では、当該条項の表題では"Termination"と"Expiration"とを別々に使っており、またその他の条項でもExpirationという単語を使っていることを根拠として、TerminationとExpirationとは違う意味を持つ言葉である、ということが認定されています。(しかも、その前提となるCanon of Interpretation(解釈原則)としてContra Proferentum(契約は、その作成者に不利になるように解釈される)が取り上げられています。)要するに、"2 years after its termination"というのは、あくまでTerminationの後2年間なので、契約期間が満了した場合はこれに含まれない、と解釈された訳です。

逆に、別の判例では、"Termination"はExpirationも含むものと解釈される、としているものも多いようですが、TerminationとExpirationを別々に取り上げると、このようなリスクが生じえるんですね。更に言うと、これはアメリカの判例ですが、イングランドを準拠法とした場合には、もっとこのようなリスクが高まる可能性もあるのかもしれません(調べていないので分かりませんが、例えばTerminationだけを契約書で用いて、Expirationという用語を使うのを避けたとしても)。というのもイギリスは、よりLiteralな解釈に厳格であるためです。(例えばWarrantyとRepresentationとの違いを厳格に解釈していたりするようです。それはまた別の機会にご紹介します。)

ですので、契約書のドラフティングの際は、この2つの用語をどう使うのか、留意して日ごろから使うことを心がける必要がありますね。

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