ヒアルロン酸なのに吸収されない!? | 迷える子羊のための美容整形教室

迷える子羊のための美容整形教室

勇気を出して美容外科治療を決意されたあなたが、その理想に遠回りしないで確実に近づけるために・・・

前々回、吸収性のフィラーであるヒアルロン酸も、入れ方によっては周囲に被膜を作ってなかなか吸収されなくなるというお話をしました。

特に、鼻やバストでこういったことが起こりやすいという事もお話ししたと思います。

先日「被膜ってどんなもの?」というご質問をいただきました。

美容外科においてよく見られる被膜は、鼻のシリコンプロテーゼやバストのインプラントなどの人工物を体に入れたときにその周囲を包むようにできる線維性の膜です。

ヒアルロン酸でできる被膜もこれと同じ原理でできるものです。

一か所に集中して大量にヒアルロン酸を注入した場合に、これを異物と認識して出来るのではないかと考えています。

被膜に包まれると、注入したヒアルロン酸が長持ちするという意味では良い面もあります。

しかし、バストなどでは大抵の場合「しこり」のようになってしまい固く触れるため、少なくとも感触は良いとはいえません。

形も、一か所に集中してボリュームを作るため良くなることはほとんどありません。

大きいものになると、明らかに突出して見えたりします。

鼻も、被膜形成するほど大量にヒアルロン酸を入れた方は、大抵の場合ソーセージのような太い鼻筋になっていて、できれば早く吸収されて欲しくなる状態です。


なかなか吸収されないのを積極的に戻すためには、中味だけ注射器で吸引してしまったり、分解注射を打ったりします。

人工乳腺による豊胸術を受ける方で、このヒアルロン酸の「しこり」がある方は、邪魔になるため当然取り除くことになります。

ヒアルロン酸でできる皮膜は人工乳腺や脂肪注入でできる被膜と比べ非常に薄い場合が多く、破れやすいためきれいに被膜ごと取り除くのは難しく、被膜を開けて中味のヒアルロン酸だけ取り除くのが一般的です。

でも、同時に人工乳腺に入れ替える場合などには中をできるだけきれいにしておきたいため、脇の下の切開でできる限りは被膜ごと取り除くようにしています。(無意味だといわれるドクターもいると思いますが)

この被膜に入ったヒアルロン酸の塊がこれです。

$迷える子羊のための美容整形教室

一部周囲の黄色い脂肪が付いていますが被膜自体は半透明で薄く、中味のヒアルロン酸が透けて見えるほどです。

この被膜を破って開けたものの弱拡大写真です。(グロテスクですみません。)

下に敷いてある水色の紙が透けて見えるくらい薄いのがお分かりいただけると思います。

$迷える子羊のための美容整形教室

でも、こんなに薄い膜でもできてしまうと中のヒアルロン酸はほとんど吸収されないので、サイズが自然に小さくなることはありません。

ちなみにこの膜の表面に透明のプツプツとしたものが残っていますが、これがヒアルロン酸です。


この塊のサイズは直径約3センチほどありますが、さすがにこのくらいのサイズになるとご本人も気になっていたようです。


ヒアルロン酸注入した部分が良い形になっている方に、この被膜ができていればとても嬉しいことでしょうが、なかなか上手くいかないものですね。