昨日は上映会イベントでした
まずは「るの祭典」上映会
とある学校の先生に扮した先生方によるリーディングと
蘭丸による日記、そして演出板垣さんとこばかつ座長の質疑応答でございました。
「俺は、、たぶん歴史の先生?だと思う」とこばかつ先生
「(金髪だし、ネクタイキラキラしてるし)なんか、、ホスト学園の先生です!」と辻本先生
「神経質な数学教師」「変態の…」と言われる木ノ本先生
「僕は言語力あまり無いですが国語の先生です」安西先生
「教育実習の」杉江先生
「体育教師の…」「ぜってー用務員さんでしょ!(by こばかつ座長)」な滝口先生
おっす!久しぶり!!と楽屋内でまるくなって世間話に花がさく皆様。
リーディングの読み合わせ中
リーディングにも関わらず、こばかつ座長、木ノ本氏は互いの顔を見合わせながら
本読みをされていました。
蘭丸日記の杉江氏の読み合わせを、うん、うん、とうなづきながら聞いている
こばかつ氏、辻本氏、滝口氏。
蘭丸日記によるとお屋形様は「毎朝朝食でピロシキをぺろっと水無しで食べてしまう」
そうなのですが
本読み中「いけます?(難しかったらカットします?)」と聞かれた滝口氏。
「いや、全然大丈夫です!」しんたと相談して、、こっちで対応します!と
安西氏と頼もしい笑顔。
辻本氏からは、「最後のシーンのところ、(実際に官兵衛と)握手してもいいですか…?」
とご質問が。
こばかつ座長のお人柄で本当に仲良しな現場でしたので
今回も笑いのたえない楽屋内ではありますが
「お客様にどう見えるのか」という1つ1つのこだわりを
こうして現場で台本をベースに考えては相談しあう皆様。
来週の大坂上映会もどうぞ宜しくお願いします!
そして、官兵衛から見た秀吉軍のお話を公開させていただきます!
三 成 秀吉様にご報告!
秀 吉 何ですか、三成。
三 成 ついに竹田城を落としました!
秀 吉 よくやりました。ただちに全軍に攻撃を中止させなさい。
三 成 残党達はいかがいたしましょう?
秀 吉 投降を勧告なさい。これ以上の命を無駄に奪ってはなりません。
三 成 ハッ!
半兵衛 秀吉様にご報告。
秀 吉 何ですか、半兵衛?
半兵衛 城主、福原助就殿が降伏を申し出てきました。……いかがいたしましょう?
秀 吉 ……半兵衛。
半兵衛 ハッ。
秀 吉 あなたも人が悪い。私の答えは分かっているでしょう?
半兵衛 ……(微笑んで)全軍に告げる。ただちに攻撃を中止!福原配下の者達にこれ以上手を出してはならぬ! 投降を勧告の上、帰還する我が軍に同行させよ!
官兵衛 ちょっと待ってくれよ。
秀 吉 どうされました、黒田官兵衛殿?
官兵衛 ……え、そんな甘くていいのかよ? こっちの仲間だって相当やられたんだろ?
三 成 官兵衛殿!わが殿に対して何と言う物言い!聞き捨てなりません!
秀 吉 よいのです。三成。官兵衛殿のおっしゃることはごもっとも。……半兵衛。
半兵衛 ハッ。
秀 吉 全軍に再度通告なさい。負傷者の手当を最優先すべし。動けない者には敵味方、隊を問わずに手を貸すように、と。
半兵衛 御意。
秀 吉 そうそう三成、帰還させる際には近隣の領民達に被害が出ていないか目を配っておいてください。
三 成 御意。
官兵衛 いやいや御意じゃなくって。
秀 吉 まだ何か?
官兵衛 だから……いいのかよ、そんなんで? あんた羽柴秀吉だろ? あのとんがり耳の独裁者、織田信長の臣下なんだろ?
三 成 官兵衛殿!
官兵衛 戦の始末をそんな綺麗ごとで済ませて大丈夫なのかよ?
秀 吉 大丈夫……じゃないかもしれませんねぇ。御屋形様にはお叱りを受けるかもしれません。ですが、私一人が叱られて民の命が救われるならそれで良いではありませんか。
官兵衛 ……。
秀 吉 黒田官兵衛殿。あなたが軍師としてこの中国毛利攻めに参加するの
に、気が進まぬことは存じています。ですが、私はあなたのような
方にこそ力を貸していただきたいのです。
官兵衛 ……。
秀 吉 (立ち上がって)では、私は帰還する兵達をねぎらいに行って参り
ます。
秀吉、去ろうとする。
三 成 殿。
秀 吉 なんですか、三成?
三 成 そっちは厠です。
秀 吉 ……。
秀吉、再び席に着く。
秀 吉 (立ち上がって)では、私は帰還する兵達をねぎらいに行って参り
ます。
秀吉、何事もなかったかのように去る。
半兵衛 官兵衛殿。
官兵衛 ……。
半兵衛 あれが我が殿、羽柴秀吉様なのです。
官兵衛 「……この戦乱の世に生まれ、姫路の大名として生きている俺、黒田官兵衛。だが、俺は戦が嫌いだった。いずれ大名なんてやめて、じいちゃんのやってる目薬屋を継ごうなんて考えていた。ところがあれよあれよといううちに悪名高い織田信長の傘下に入れられ、今じゃ戦場に駆り出されている。どこもかしこも戦ばかり。だが、そんな時代の中において、長浜の大名・羽柴秀吉——この男は、他の戦国大名達とは違う、そう感じた。
……そんなある日のことだった」
語りの間、秀吉が再び席に座る。
三 成 秀吉様にご報告!
秀 吉 どうしました、三成?
三 成 上月城が毛利軍に包囲されました。その数はおよそ三万!
秀 吉 上月城……確かあそこを守る兵は三千しかいないはず。
官兵衛 三千対三万!? 多勢に無勢じゃねえか!
三 成 現在兵達は城に立て籠り、篭城にて応戦中とのこと。
秀 吉 出陣の準備を! 今すぐ援軍に向かいましょう!
半兵衛 お待ちください。我らの手勢はおよそ一万。三万の毛利軍にぶつけ
たとて戦局は覆りませぬ。
秀 吉 しかし、彼等は援軍が来ることを信じて篭城を続けているはず。
半兵衛 今、兵を出しても死傷者が増えるだけにございます。
官兵衛 いやいやちょっと待てよ。
半兵衛 ……。
官兵衛 仲間見殺しにすんのかよ? お前、軍師なんだろ? ちった
あ何か考えろよ。
半兵衛 ……では、官兵衛殿のお考えは?
官兵衛 え?
半兵衛 あなたも我が軍の軍師。なにか良い策があるならお聞かせください。
秀吉、三成、半兵衛の視線が官兵衛に集まる。
官兵衛 ……だから、こっちの数が足りないんなら、増やしゃいいだろ?
秀 吉 増やす?
官兵衛 信長だよ、信長。あいつ、今、京都にいんだろ? あのトンガリ耳
に頼んで、兵の二、三万でも貸してもらえばいいじゃん。
秀 吉 ……どう思います、半兵衛?
半兵衛 毛利軍は数が勝っているにも関わらず、援軍に備えて陣形を張り巡
らしています。少なき兵でそれを崩すは至難の業。数で勝ると言う
のは単純にして至上の一手と思われます。
秀 吉 分かりました。では、私は直ちにお屋形様に援軍の要請に行って参
ります。皆さんは出陣準備を整えておいてください。(官兵衛に)あ
りがとうございます、官兵衛殿。必ず上月城を死守しましょう!
秀吉、去る。
半兵衛 お見事です、官兵衛殿。
官兵衛 ……良く言うぜ。あんたのことだから、こんなのとっくに思いつい
てたんだろ? 人のこと試す様な真似するなよ。
半兵衛 そこまで気づいておきながら、あなたは殿に自分の考えを伝えられ
た。……いいですね。何だかとてもいい感じになってきましたね、
官兵衛殿。
官兵衛 ……うるせえよ。
半兵衛 何だか予感がします。近い将来、あなたは秀吉様の元でその才気を
存分に振るうことになるでしょう。
官兵衛 何だよそれ。
半兵衛 さらに予感がします。遠い将来、今のあなたのような態度を「ツン
デレ」と呼ぶようになることでしょう。
官兵衛 何だよそれ。……「あれよあれよと言ううちに俺はすっかりこの『羽
柴秀吉と愉快な仲間達』のペースにのせられていた。そして、それ
を別に悪いものとも思わなかった。……だが、この戦乱の世は、そ
れほど甘いものじゃなかった」
信長と蘭丸、秀吉が出て来る。
信 長 ……それで、貴様は俺自ら援軍に赴けと申すのか?
秀 吉 はい! 上月城を救うため、どうかお力をお貸しください!
信 長 上月城か……あそこに今それほどの価値があると思っておるのか?
秀 吉 ……どういう意味ですか?
信 長 俺の目は既に先を見据えているということだ。
秀 吉 ……。
信 長 先を見るためには後ろは捨てねばならん。
秀 吉 !? ……お待ちください! よもやお屋形様は上月城を見捨てよ、
と申されるのですか? 尼子の兵は(どうなります)
蘭 丸 お控えを、秀吉殿。お屋形様のお考えに異を唱えるおつもりか。
秀 吉 ……。
信 長 秀吉よ……この戦乱の世において、いつまでも腑抜けた奴だ。
秀 吉 ……。
信長、蘭丸去っていく。
官兵衛 一人も? ……二万でも三万でもなくて、ただの一人も援軍出さね
ぇってのかよ?
秀 吉 ……。
官兵衛 じゃああの城の奴らはどうなんだよ!? 篭城で凌いでるって言っ
たって水も食料もいずれなくなる。そうなったら全員——
半兵衛 官兵衛殿。
官兵衛 ……。
秀 吉 ……三成。
三 成 ハッ。
秀 吉 今すぐ出陣準備を解きなさい。
三 成 ……かしこまりました。
官兵衛 あんた……本気で言ってるのかよ?
秀 吉 わが秀吉軍の作戦を言い渡します。このまま兵を進めず待機。以上
です。
秀吉去る。
官兵衛 おい!
半兵衛 官兵衛殿! 殿の命令です。我らはそれに従うのみ。
官兵衛 あの城にいるのはあんたらの仲間なんじゃねえのかよ!?
三 成 その通りです。
官兵衛 それを見殺しにしてあんたら平気なのかよ?
三 成 平気なわけがないではありませんか!
官兵衛 ……。
三 成 ……ですが、お屋形様の命令には逆らえないのです。
官兵衛 ……「俺はその場を飛び出した。結局、戦国大名なんてみんな一緒だ。家と、利益と、争いと、それしかない。あー、くそっ。」
半兵衛 官兵衛殿。
官兵衛 ……。
半兵衛 少しつきあってもらえますか?
SE・馬の蹄の音
官兵衛 ……こんな夜中にどこへ行くつもりだ?
半兵衛 あそこです。
官兵衛 なんだ? ただの高台じゃねぇか。「と、目線をやった先には、一人の男が立っていた。さっき別れたばかりの羽柴秀吉だった」
秀 吉 ……ああ、二人も来たのですね。
官兵衛 ……あんたまでなんでこんなとこに?
秀 吉 ……目に焼き付けに来たのです。私が救えなかった城を。
官兵衛 「高台からは、完全に毛利の大軍が包囲された上月城が一望出来た。あちこちで火の手が上がり、逃げ惑う人々の悲鳴までもが聞こえてきそうだった。秀吉は、その様子を瞬きもせずにただただ見つめていた」
秀 吉 官兵衛殿……前にあなたは言いましたね。私の戦を綺麗ごとだと。
……その通りです。綺麗な戦などありません。生き残った者達の影
には必ず命を落とした者達がいる。だからこそ、そのことを私は決し
て忘れません。そして、いつの日にか戦がなくなり、誰もが当たり前
に平和を謳歌出来る世の中を作りたい。それが私の願いです。……な
んて、これもやはり綺麗ごとでしょうか?
官兵衛 ……そうですね。
秀 吉 ……。
官兵衛 でも、悪くないと思いますけどね、俺は。
秀 吉 ……なるほど。
官兵衛 ……なんですか、なるほどって?
秀 吉 これが半兵衛の言う「ツンデレ」というやつですか。
勘兵衛 何だよそれ!
秀 吉 ……これからもお屋形様の天下のため、力を貸してください。
黒田官兵衛殿。
秀吉、手を差し出す。
間。
官兵衛、その手を掴む。
官兵衛 今は、、、とりあえず、、な。
三 成 「これより後、戦国の世はさらなる激動の渦に飲まれていく」
半兵衛 「私の予感があたり、黒田官兵衛が稀代の軍師として羽柴秀吉の元
でその才気を振るうのは、もう少しだけ先のおはなし」