夜の部「ワミさんを探せ！」
カフィ 三上真史
サンナン 滝口幸広
オロ 中村龍介
カメップ 大山真志
サンナンが板付き。
サンナン おいっ。俺の料理がまずい？じゃあ。食うんじゃねえよ。
サンナン、客とのやりとり。
サンナン 帰れ帰れ！今日は店じまいだ！
背後にカフィが現れる。
カフィ 俺は、シェフのおすすめコースを。
サンナン 聞こえない。今日は店じまいだ。帰ってくれ。
カフィに気がついて驚くサンナン。
カフィ 暇そうだな。一流のシェフは一流の店に居るべきじゃないのか？
サンナン カフィ。
カフィ よお。探したぜ。まさかこんな場末の飯屋にいるなんてな。元気だったか？
去ろうとする。
カフィ おい。どこに行くんだよ。待てよ。
サンナン 元気か？という質問に答えれば答えはこうだ。元気じゃない。
カフィ じゃあ。元気だせよ。そんなのお前らしく無いって。
…元気のあるサンナン。
サンナン って、いうのが俺らしいのか？そんなことできる気分じゃねえ！
カフィ 今、やってたじゃん。
サンナン どうしてお前は笑ってられるんだ？
カフィ どうしてって。
サンナン 俺たちは…義経を見殺しにしたんだぜ。
カフィ そうだぜ。
サンナン 俺は死にてえよ。そんなにまでして俺に生きる価値があるのか？
カフィ （笑いながら）馬鹿なこと言ってんじゃねえよ。義経を見殺しにしてまで拾った命だ。大事にした方がいいぜ。
カフィに掴みかかるサンナン。
サンナン もう一度、聞く。どうして笑ってられる。
カフィが、サンナンを掴み返す。
サンナンがカフィを離して、去ろうとする。
カフィ なんで笑ってられるか教えてやる。義経は生きている。だから、笑ってられるんだ。
サンナン え？今、なんて言った。
カフィ 義経は生きている。
音楽。
暗転。
カメップがいる。
その傍らにカフィがいる。
カフィ こんな穴蔵で身を隠してるなんてな。
カメップ 洞穴の中は歌の練習に丁度いい。
カフィ なんか。一曲歌ってくれよ。
何か歌う。
カフィ いいね。さすが。
カメップ 歌を聴きに来たわけじゃあるまい。なんの用だ。
カフィ 義経は生きている。
カメップ 今、なんて言った。
カフィ 義経は生きている。そう言ったんだ。
カメップ 本当かよ。本当なんだな。
カフィ ああ。俺は嘘はつかねえよ。
カメップ 今、どこにいるんだ。
カフィ 身を隠してる。居所が分かれば命を狙われるのはわかりきってるからな。
カメップ そうか。良かった。神様、ありがとう。カフィもありがとう。よくぞ知らせてくれた。
カフィ 知らせに来ただけじゃねえぜ。
カメップ だけじゃない？
カフィ 仲間を集めてる。旅に出る仲間をな。
カメップ 旅？旅ってどこに？
カフィ 船旅だ。
カメップ 船旅っ？ちょっと待て。
カフィ 舞台は世界。暴れ回るぜ。
カメップ なんでまたそんなことをやろうと？
カフィ 詳しいことは言えねえが…。これは義経の命令だ。
カメップ 義経の？
カフィ 俺らの船に乗るなら詳しく話してやる。
カメップ 当然だ。義経の命令なら断る理由はねえ。
カフィ 俺が船長だ。
カメップ よろしく頼むぜ。船長。
二人、握手する。
カメップ でよ。他に仲間は？
カフィ ワミだろ。あと。サンナン、まだこれからだけどオロにも。
カメップ ちょっと待て！
カフィ なんだよ。
カメップ なんでサンナンの野郎がいる。
カフィ 船旅には、あいつの料理人としての腕が不可欠だろ？だから。
カメップ そんなことを言ってるわけじゃない。俺が言いたいのは。
サンナンが現れる。
サンナン 俺の兄貴が義経を裏切ったからか。
カメップ …ああ。そうだ。こいつが一緒なら俺は船に乗らねえよ。俺は降りる。
カフィ まってくれよ。俺たち元は仲良かったじゃねえか。
カメップ ああ。カフィ、オロ、ワミ、俺に（サンナンを指して）こいつ。俺たちは義経の片腕として戦ってきた。お互いを信頼してな。だけどよ。
サンナン …俺も兄貴が裏切るなんて思ってなかった。
カフィ そうだよ。サンナンが裏切ったわけじゃないしさ。
カメップ 片棒担いでなかったと言い切れるか？
カフィ 疑い始めたらキリがないだろ。
カメップ 義経の場所を頼朝に売った奴がいる。
サンナン それが兄貴だろ。
カメップ 違う。お前の兄貴は、義経の居場所を知った頼朝に脅迫を受けただけだ。最初に義経の居場所を頼朝に売った奴がいる。
サンナン 俺じゃ無い。俺は義経のことを。
カフィ 俺もサンナンじゃないと思う。義経は、こいつの作った料理をうまいって言ってた。これから裏切る人間にうまい料理なんて作れるか？できないきまってる。
カメップ じゃあ。誰が裏切ったって言うんだよ！
サンナン、カフィを見る。
サンナン やっぱり。
カメップ …お前か。
カフィ 待て。なぜ、俺を見る。る・フェアの第一部とは関係が無いと言ったろ。海尊だったら金売を逃がすけど、カフィだったらぶっころす。絶対。
疑いのジェスチャー。
カフィ そんなこと言ったらサンナンだって、いい人ぶって腹黒い法皇だったろ。
サンナン お前、裏切るのか。腹黒いってことは無いだろ。ホントにいい人なの。
カフィ、後白河の真似。
サンナン、ツッコミ。
サンナン 俺は裏切り者じゃない。
カフィ カメップに至っては裏切り続けてただろ。
カメップ 俺は。
カフィ、梶原の物まね。
カメップ、ツッコミ。
カフィ オロだって。
カフィ、物まねをしようとしたら。
オロが現れる。
オロ 残念でしたぁ。お前らみんな裏切ってるのに、俺だけ誰も裏切ってない。俺は一番、良い奴だ！
カフィ オロ。
オロ 義経が生きてるんだってな。話、聞かせてもらったぜ。続けてくれ。
カフィ とにかく俺が言いたいのは、俺らの仲間で裏切った奴はいない。この中に裏切り者なんていない。そういうことだ。信じ合おう。そんで、一緒に旅に！
オロ 俺には無理だ。
カフィ オロ。お前まで。
オロ ワミが死んだ。
サンナン 何？
オロ 俺はワミの最後を看取った。ワミは死んだ。
サンナン そんな。
サンナン、崩れ落ちる。
オロ ワミから連絡があって会いに行った。
そしたら、傷ついたワミがそこに。手当をしようとしたがそこに頼朝軍が現れて。俺はワミの亡骸を置いてその場を逃げた。
カフィ …頼朝軍。
オロ 俺たちはおたずねものだ。義経軍の生き残りはな。生きてる限りずっと追われ続ける。
話を戻そう。ワミは息を引き取る前に俺に手紙を渡した。
カフィ 手紙？
オロが手紙を投げる。
オロ 読んでみろ。
カフィ 「４人の中に裏切り者がいる。義経を売ったのはそいつだ」
洞窟の外に兵隊の声が聞こえる。
カメップ 外に敵が。
サンナン 頼朝軍か…。
音楽。
緊張が走る。
カメップ カフィ。お前、もうワミは仲間になったって言ったよな。
カフィ ああ。
カメップ 最後に会ったのはいつだ？
カフィ 昨日だが。
オロ おかしいじゃねえか。俺がワミと会ったのは３日前だ。
サンナン おい。どういうことだ。
カフィ …。
カメップ じゃあ。義経が生きてるってのも。
カフィ …。
カメップ どうなんだよ！
オロ 俺たちを１カ所に集めて一網打尽にする。違うか？
それがお前の目的。違うか？
カフィ そうだ。俺だ。
全員がカフィを見る。
カフィ 裏切り者は俺だ。
オロ お前っ！
銃を発砲。
オロ、カメップ、サンナンが倒れる。
カフィ わりぃな。みんな。
暗転。
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波の音。船がきしむ音。
オロが目を覚ます。
オロ ここはいったい。波の音…。
船の上か…。
カフィが現れる。
カフィ よお。目覚ましたか。
オロ カフィ！
オロ、距離を取る。
カフィ びびるなって。なんにもしねえ。旅に出るためにみんなに一度死んでもらうしかなかったんだ。ワミにもな。
オロ なに？
カメップが現れる。
カメップ 本当に人が悪いぜ。カフィ。
カフィ 敵を欺すには味方からって言うだろ。敵の目を欺くためには、みんな死んだことにしておいた方が、都合がいいってもんだ。
サンナンが現れる。
サンナン 義経もそういうことか。
カフィ まあな。表向きには死んだことになってるけど、本当は違う。俺に命令だけ残して、船に乗って大陸に渡ったよ。
オロ 大陸。
カフィ モンゴルとかいう国を作るんだって。
オロ じゃあ。ワミは？
カフィ 先回りして俺たちの宝探しの準備してるさ。
オロ 宝探し？
カフィ それが義経君が俺たちに送った命令だ。
オロ そうか…宝探しかおもしれえ。
カフィ お前はどうする。今なら引き返せるけど。
オロ …もう。欺すのは無しだ。
欺しさえしなきゃ。一生、船長についてくぜ。
二人が握手を交わす。
カメップ さあ。さっさと出港しようぜ。
サンナン 次の港でワミさんが待ってるんだろ？
カフィ ああ。野郎ども、帆を上げろ。出港だ！
暗転。
ＮＡ 平安時代末期。
唯一平家に対抗しうる富を手に入れた男・藤原秀衡。彼の死に際の言葉は人々を海へと駆り立てた。
「結構たくさんの金銀財宝を世界中に隠した。ほしけりゃやるぜ。そのかわりそのお金で平泉に光を取り戻しせ」
ひっそり生き延びた義経は、５人の男に出航を命じた！
彼らは偉大なる大陸で、それぞれの願いを叶えるために旅に出る。
彼らこそ！
５人が並ぶ。
サンナン 台所は俺の戦場！レディのためなら何でもするぜ。サンナン！
オロ 俺の裏切りに気をつけな！全力全開、船長のためならなんだってやるぜ！オロ！
全員 今日はお休みです。ワミさん！
カメップ 俺のミュージックに気をつけろ。一瞬で天国に招待してやるぜ。カメップ！
カフィ 俺たちが金銀財宝とお前のハートを盗みにいくぜ。カフィ！
ウィーアーザ！
５人 御ピース！
ＮＡ いまここに世界を股にかけた大冒険活劇が始まる！
それぞれが去る。