・シベリア抑留者へ給付金支給へ ~冷遇されてきたシベリア抑留問題の前進となれ~ | アジアの真実

・シベリア抑留者へ給付金支給へ ~冷遇されてきたシベリア抑留問題の前進となれ~

シベリア抑留に給付金支給へ、特措法成立見通し:読売

 第2次大戦後、旧ソ連のシベリアやモンゴルに強制抑留された人に特別給付金を支給する特別措置法案が通常国会に提出され、成立する見通しとなった。

 戦後補償の大きな課題の一つが解決に向けて前進することになりそうだ。

 法案は、民主党の谷博之参院議員ら与野党の有志議員が検討している。生存している元抑留者に、帰国時期に応じて1人当たり25万~150万円を支給する内容だ。政府に対し、強制抑留の実態調査や遺骨収集など、抑留に関する総合的な対策の実施を義務づけることも盛り込む。

 元抑留者でつくる全国抑留者補償協議会などによると、生存者は現在10万人を切ったと推定され、平均年齢は90歳近くに達するという。約230億円と見込まれる事業経費には、2010年9月に解散予定の独立行政法人「平和祈念事業特別基金」の資本金残額を充てる考えだ。

 民主党は野党時代の09年3月、特別給付金支給を柱とする法案を他の野党と参院に共同提出したが、衆院解散で廃案となった。通常国会に法案が出れば、民主党とともに社民、国民新両党も賛成する方針だ。

 自民、公明両党は与党時代の06年、平和祈念事業特別基金の資本金の半額を取り崩して元抑留者に10万円の旅行券を贈呈することを決めた。しかし、元抑留者らは納得せず、国を相手取り強制労働への国家賠償を求める訴訟を起こしている。

 こうした事情を踏まえ、現在は野党である自民、公明両党も法案に賛成する構えを見せている。

 旧ソ連は終戦後、旧満州(現中国東北部)などの日本兵ら約60万人を抑留し、6万人近くが死亡したとされる。


  戦後、60万以上と言われる日本軍将兵らがソ連に強制連行され、極寒の地で食料も満足に与えられないままに過酷な強制労働を強いられ、6万人以上が死亡したと言われる、いわゆるシベリア抑留は、世界中類を見ないソ連による国家犯罪です。ソ連側にも記録がしっかりと残っており、南京事件や従軍慰安婦などのような、事実関係が極めて怪しい類のものではありません。確固たる歴史的事実です。日本政府は、このソ連による国家犯罪について、外交カードとして使用したり、責任を厳しく追及したり、賠償請求を行ったりなどといった行為は行っていません。私はそこについて大きく批判するつもりはありません。そこは中国や韓国と日本が違う点でもあります。しかしながら、日本国内においても、この問題はなかったことのように極めて消極的に位置づけられている点は、これまでの日本政府の行為が正しいとは残念ながら言い難いです。学校教育の場ではほんのわずかしか触れられません。戦後60年以上経った今、マスコミなどで触れられることもほとんどありません。

 日本の為に命をかけて過酷な環境で戦った日本軍の将兵らが、戦後になっても尚、過酷な環境で強制労働を強いられ、当時の政治的状況から何の救いの手もさしのべられなかった人々が60万人もいたこと、そしてそれがソ連による未曾有の国家犯罪であることを認識している人はあまりにも少ない。そして、無事に帰国した人も、通常と同じ恩給を受ける以外に何の補償も受け取ることができなかったという境遇もあまりに過酷であったと言わざるを得ません(アメリカやイギリスの捕虜となって、労働をさせられた日本兵に対しては、その記録に基づき、後に日本政府から補償が支払われています)。


 このような、過酷な状況に置かれながらも、無事生還したシベリア抑留者の方々に対して、金銭的な面だけでも報いが行われようとしていること、そして政府へ対して遺骨収拾や実態調査を義務づける内容になっている点なども素直に評価すべきことだと思います。


 経済政策、外交政策共に迷走を続け、さらに首相本人と幹事長が政治資金法違反、脱税、収賄容疑で捜査をされているという異常な状態が発足当初から続いている民主党政権ですが、この法案はその中でも数少ない評価されるべき内容と言えるでしょう。ただ、政府立法ではなく有志議員による議員立法であり、鳩山政権の功績ではないという点は追記しておくべきでしょうか。


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参考書籍:
シベリア俘虜記―兵士の過酷なる抑留体験 (光人社NF文庫)
4769826206


シベリア抑留―未完の悲劇 (岩波新書)
4004312078