・中国の海洋調査船が魚釣島沖で領海侵犯するも海保は何もせず ~7月にできた法律は何だったのか~
中国の海洋調査船、尖閣諸島・魚釣島沖の領海を航行:読売
海上保安庁に入った連絡によると、8日午前8時10分頃、沖縄県石垣島の尖閣諸島・魚釣島から南東約6キロの日本の領海内で、中国の海洋調査船「海監46号」(1100トン、全長約70メートル)と、「海監51号」(約1900トン、全長約90メートル)の2隻が航行しているのを、第11管区海上保安本部の巡視船「くにがみ」が確認した。調査の事前通告はなかった。巡視船が無線で調査を中止するよう求めているが、午後2時50分現在、領海を出ていない。
8時10分に確認し、午後2時50分になっても領海を出ていない。実に6時間40分も領海にとどまったまま、日本の領海で海洋調査をしたいだけさせているのです。8時というのは発見した時間ですから、実際はもっとでしょう。この間にどれだけ潜水艦運用に必要な軍事的データ、海洋資源に関するデータを取られたかわかりません。その間、日本がやったことと言えば、「出て行ってください」とお願いしただけです。
つまり、自分の家に泥棒が入ってきて、鍵はどこについているか。どこから侵入しやすいか。お金はどこの部屋においてあるのか。などを詳細に調べ上げているのに、何の対応もとらずにされるがままにしているということです。
もちろん、このような行為に関しては、日本も1996年に批准した国連海洋法条約で取締が認められていますが、日本はこの条約に批准していながら、国内法でこのような事態を取り締まる法律が今までありませんでした。信じられないことですが、これが今までの日本です。しかし、そんな日本も今年の7月から「外国船舶の航行に関する法律」 を施行しました。これにより、今回のような事態に関しては、海保が停船命令を出し、立ち入り調査もできると、国内法で明確に謳われたのです。これでやっと、日本の領海内で傍若無人に振舞う多国籍の艦船を具体的な行動で胸を張って阻止できるようになったはずでした。
それにもかかわらず、今回は発見してから7時間近くも傍観。無線で注意しただけ。一体、領海外国船舶航行法は何のために作ったのか。こういう事態を取り締まり、防止するために作ったのではないのでしょうか。法律を作っても、それに応じた行動が取れないのであれば何の意味もありません。相手が中国だから?尖閣諸島だから?全ては理由になりません。日本の領海内で、多国籍の艦船が通行以外の目的で航行しているのは明白な事実なのです。
繰り返しますが、法律は作っただけでは意味がありません。政府には断固たる対応を求めます。事なかれ主義、甘い対応は相手をつけあがらせるだけです。
支持率低迷に悩む麻生政権ですが、こうしたところで断固たる対応を見せて欲しい。それが麻生氏の持ち味であったはずです。マスコミや民主党の連携したネガティブキャンペーンで、事なかれ主義、差し障りのない対応で何事にも防戦一方な印象がありますが、様々な場面で断固たる対応を歓迎する国民の数は少なくないはずです。そうすることで逆に支持率は上がるのではないでしょうか。
参考書籍
闘う!海上保安庁
岩尾 克治
東シナ海が危ない!
上田 愛彦