・中国軍?の潜水艦が豊後水道付近を領海侵犯 ~この失態から日本が学ぶべき事~ | アジアの真実

・中国軍?の潜水艦が豊後水道付近を領海侵犯 ~この失態から日本が学ぶべき事~

中国潜水艦の可能性=海自の能力見直しを-「官邸への連絡遅い」・識者指摘:時事  (画像:読売)

領海侵犯










 高知県沖の領海内を航行した国籍不明の潜水艦について、専門家は中国軍の可能性を指摘。事前に察知できなかった海上自衛隊の能力に疑問を投げ掛けた。
 軍事アナリストの小川和久氏は「こういうことをするのは中国海軍」と指摘。狙いに関し「中国共産党指導部への何らかの主張が考えられる。福田政権が脳死状態かどうか、三連休の真ん中にぶつけてチェックした可能性もある」と話す。
 領海内に入られるまで察知できなかった海自には「潜水艦を探知、追尾する能力は米国に次ぐとされ、日本列島周辺に対潜水艦網を築いているが、突破されたのは深刻。能力を回復する必要がある」とした。
 潜望鏡の確認から官邸への連絡まで約1時間半かかった点も問題とし、「発見と同時に情報共有すべきだ。戦争ならとっくに攻撃されている。(首相への連絡の遅れが問題となったイージス艦)あたごの事故の反省が生かされていない」と述べた。
 防衛省防衛研究所の元研究室長平松茂雄氏も「領海内に入られたのは、お粗末。事前に察知できず、追尾もできなかったとすれば問題。たるんでいるとしかいいようがない」と批判する。
 「日本の周辺海域は中国の潜水艦がどこにいてもおかしくない」とした上で、「中国の潜水艦は音が大きく探知しやすいといわれてきたが、能力が上がってきている。海自の探知能力を試したのかもしれない」と話した。(了)
小川和久、平松茂雄

 国籍不明潜水艦の領海侵犯事件。一応国籍不明ということにはなっていますが、中国海軍のものと見てほぼ間違いないのではと思います。発表はされていませんが、おそらく追跡したあたごでは音紋等の情報からある程度の結論が出ているのではないでしょうか。
 2004年にも石垣島沖で中国海軍の潜水艦が領海侵犯し、海上自衛隊が追撃するという事件が起きていますが、このときは追尾された潜水艦の乗組員はノイローゼになるのではないかと思われるほどの徹底的な追尾の結果、中国政府に侵犯の事実を認めさせました(中国政府は謝罪を拒否しましたが)。しかし、今回はその時と比べてずっと事態は深刻です。 

 今回の問題を見て、二つの深刻な問題が浮かび上がってきます。一つは、今回侵犯された場所の地図を見るとあまりに本土に近いことに驚きます。しかも豊後水道近海という、重要な水道付近であるということです。中国海軍の能力の大幅向上、そしてここまで大胆な行動の行く末に、中国という国が本気で来たるべき時の為に準備を行い、しかもその心構えがあるという事実が伺えます。

 そしてもう一つの重要な問題は、上記記事にもありますが、海自が容易に領海侵犯を許し、しかも十分な追跡ができなかったということです。もう一度地図を見て下さい。領海侵犯が行われた豊後水道は、多数の商船の他に、第四護衛隊群、第一潜水隊群などを擁する、海上自衛隊最大級の基地である呉からの艦艇が出入りする重要な水道です。こんな場所で中国軍の潜水艦の進入を許し、そして取り逃がすとは海自の能力と指揮連絡系統に大きな疑問が生まれてきます。本来であれば、すぐに官邸に報告され、海上警備行動が発令されることになっていますが、今回はそれが行われませんでした。2004年の事件の時よりも指揮管理系統が後退していると言えるかも知れません。(2004年の事件との時は、領海侵犯前から中国軍の潜水艦の動きは察知されていたという違いがありますが、報告に1時間半もかかっているのは明かな問題と言えるでしょう)
 
 今回の事件で政府と自衛隊の課題が浮き上がりました。中国軍の能力と、彼らは本気であるという認識を肝に銘じ、再度自衛隊の監視体制や装備、能力についてや、官邸との情報通信体制、指揮管理体制を見直すべきです。危機はすぐそこに迫っています。日本はもう安全ではないのです。今回の失態は残念ですが、有事の際に同じ失敗を繰り替えさなければ良いのです。


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参考書籍: 
自衛隊vs中国軍 超限戦勃発! [別冊宝島] (別冊宝島 1550 ノンフィクション)
4796664637

「中国の戦争」に日本は絶対巻き込まれる
平松 茂雄
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