・台湾の抗議船と巡視艇9隻が領海侵犯 ~中国という後ろ盾を得た台湾~ | アジアの真実

・台湾の抗議船と巡視艇9隻が領海侵犯 ~中国という後ろ盾を得た台湾~

尖閣諸島:台湾の抗議船が魚釣島に接近 海保が警告:毎日
 16日午前3時50分ごろ、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島に向けて、台湾の抗議船1隻と台湾巡視船艇3隻が航行しているのを第11管区海上保安本部(11管)が確認。同5時50分ごろ魚釣島の西南西約22キロ沖で日本の領海内に侵入したため、海上保安庁の巡視船が領海外に出るよう警告した。台湾船は一時魚釣島約1キロ沖まで近づいたが、その後台湾向けに針路を変更。同8時45分ごろまでに、順次領海を出た。台湾の巡視船艇はこの間6隻が合流し、計9隻になったが、トラブルなどはなかった。

 尖閣諸島については中国、台湾が領有を主張。抗議船が度々領海内に侵入する例があるが、海上保安庁によると、巡視船艇が抗議船に同行して日本の領海に入ったのは初めて。

 尖閣沖では10日、台湾の遊漁船と海上保安庁の巡視船が衝突し、遊漁船が沈没する事故があり、対日批判が過熱。行政院長(首相)が13日「最後の手段として開戦も排除しない」と発言し、対日交流窓口機関、台北駐日経済文化代表処代表の召還を発表していた。

 抗議船は「全家福6号」で、事故に抗議する活動家12人と台湾メディア関係者35人が乗船。15日午後10時半(日本時間同11時半)、「打倒日本」などとシュプレヒコールを上げて台湾北部の漁港を出港した。この際、台湾の海上保安庁に当たる行政院海岸巡防署が抗議船の乗船名簿を読み上げており、台湾当局の公認状況下での出航だった。


台湾船沈没、海保が謝罪 「巡視船にも過失あり」:共同
 尖閣諸島・魚釣島沖で日本の巡視船と衝突した台湾の遊漁船が沈没した事故について、第11管区海上保安本部(那覇)の那須秀雄本部長は15日、同本部で記者会見し「巡視船にも過失があった」として、台湾側に謝罪の意を示した。

 那須本部長は「巡視船が船名を確認しようと遊漁船に近づいた行為は正当だったが、接近の仕方に過失があった。結果として遊漁船を沈没させ、船長にけがをさせたことは遺憾だ」と述べた。

 台湾側から求めがあれば、賠償する考えがあることも明らかにした。

 事故は10日に発生。双方から事情聴取した石垣海上保安部は14日、巡視船の船長を業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで、遊漁船の船長を業務上過失往来危険の疑いで、それぞれ書類送検した。


10日に起きた、領海侵犯した台湾漁船と海保の巡視船が衝突し、漁船が沈没した事件で台湾側が強攻策に出ました。これまでも台湾は尖閣諸島の領有権を主張していましたが、それはごく消極的なもので、政府として公的に具体的行動に出るようなことはありませんでした。それは歴史事実上、既成事実上のどれを取っても、台湾に優位性がないことはもちろん、日本政府を敵に回すと、いざ中国と戦争になったときに守ってもらえないという政治的配慮もあったのは間違いないでしょう。

 しかし今回の台湾の行動に、そのような配慮は感じられません。公的機関であり、武装もしている巡視艇を抗議に同行させて日本の領海を侵犯するなど、今までの台湾にはあり得ない行動です。この態度の急変は、5月の選挙で親中国を掲げる国民党の馬氏が総統に当選し、国民党に政権が変わったことに起因するのは間違いありません。選挙時も、当Blogでも「・台湾総統に国民党の馬氏が当選 ~中国に取り込まれる台湾~ 」と題して、台湾の中国化を懸念する記事を書いていましたが、まさにその通りのシナリオとなっています。

 台湾が急速に中国に取り込まれていく中で、台湾の敵は中国ではなく日本になりつつあるのです。あまりの変化の早さに驚きますが、残念ながらこれが現実です。

 残念ながらこの変化に対して、日本が具体的に取りうる良策はあまりないと言わざるを得ません。台湾の国民が急速な中国化に危機感を抱き、目を覚ましてくれることを望みますが、それもどうでしょうか。

 日本は、今までは見方であり、中国の太平洋進出の防波堤であった台湾が中国に取り込まれたものとして外交戦略や安全保障戦略を本気で考えていく必要な時代になったと言えるでしょう。


 一方で、単純な領土問題として今回の事件を見たとき、日本の対応は落第点と言わざるを得ません。抗議船や巡視船の領海侵犯を易々と許したのもさることながら、謝罪と賠償に無条件で応じるとは何事でしょうか。漁船の沈没に関して、巡視船に落ち度があったのであれば、そこは反省し、場合によっては謝罪するのも両国の外交関係を鑑みればあり得ると思いますが、その場合は、「ただし領海侵犯の事実は明確であり、その点については漁船船長の罪は疑いようがない。台湾当局には再発防止を強く求める」などの言葉を付け加えることが不可欠です。

 事件後、抗議船と巡視船あわせて10隻あまりの領海侵犯を許し、謝罪と賠償を求められれば自国領海内で相手の不法行為の結果起こった事件に関して素直に謝罪と賠償に応じる。これでは、後に国際紛争になったとしたら、自国領土ではないと認めているようなものです。

 尖閣諸島に関して今までは、国際紛争になったとしても日本が圧倒的有利な状況でしたが、このような失敗を繰り返していては、中国や台湾に奪われかねません。もう自衛隊の常駐などで具体的な防衛策をとる事が急務であるのかもしれません。かつてのように、「相手国への配慮」という馬鹿げた言い訳をしていては手遅れになるでしょう。



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参考書籍:
台湾問題は日本問題
岡崎 久彦
4759310207
反中vs.親中の台湾 (光文社新書 351)
近藤伸二
4334034543