・映画評: セブン・イヤーズ・イン・チベット ~チベットで起こった事をいつか考える日~ | アジアの真実

・映画評: セブン・イヤーズ・イン・チベット ~チベットで起こった事をいつか考える日~

DVD版

セブン・イヤーズ・イン・チベット〈ニューマスター版〉 [DVD]
ブラッド・ピット, デヴィッド・シューリス, B.D.ウォン, マコ岩松, ジャン=ジャック・アノー
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チベット問題とは何なのだろう?なぜチベットの人はデモを起こすのか?中国が今現在も虐殺や人権侵害を行っているのは分かっていても、いわゆる”チベット問題”についての本質が分からない人も日本にはたくさんいるはずです。手っ取り早くチベット問題の本質を知りたい方は、この映画を見ることをお勧めします。


 世界に影響を与えやすいハリウッド映画が、よくここまで分かりやすくもチベット問題の本質を捉えた映画を作ったものだと思います。時間的にはわずかですが、無抵抗なチベット人を残忍に虐殺する等、中国がひた隠しにしたい事実もしっかりと映像化されています。ちなみにこの映画は、中国ではもちろん発禁処分となり、ブラッド・ピット等の出演者やジャン=ジャック・アノー監督は生涯にわたり中国への入国を禁止されました。


(以下はあらすじを含みます)

 この映画は、オーストリア人であるハインリッヒ・ハラー氏による体験を元に作られています。ハラー氏は1939年にヒマラヤ登山中に第二次世界大戦が勃発、イギリス人に捕虜として拘束されますが、収容所から脱走しチベットへ逃れます。そこで出会った敬虔な仏教徒であり心優しいチベット人との交流や、幼き日のダライ・ラマ14世と深く接する中で、それまで激しく荒んでいた心が次第に変化していく様が描かれいます。

 そんな美しい生活の中に、突然チベットの領有を宣言した中国が現れます。チベット人たちは、仏教の教えの元に、「こちらが手を広げて迎えれば、相手も我々を憎みはしないはず」と、中国軍を友好的に迎えようとしますが、彼らは大量の軍を送り込み、僧院を破壊し、無抵抗なチベット人たちを虐殺しながらチベットを最後には占領してしまいます。この残酷な事実に直面し、チベットが心の故郷となったハラー氏の無念さと同時に、ダライ・ラマ14世をはじめ、チベット人達の無念さが痛いほど伝わってきます。

 映画の終盤で、まだ少年であるダライ・ラマ14世が、ハラー氏にこう語りかけるシーンがあります。


「人々がチベットの映像を見て私達に何があったかいつか考える日が来ると思う?」


 私たちがチベットについて考えなければならない”その日”とはまさに”今”ではないでしょうか。


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書籍版 

セブン・イヤーズ・イン・チベット―チベットの7年 (角川文庫ソフィア)
ハインリヒ ハラー Heinrich Harrer 福田 宏年
4042770010