・福田氏優位で進む自民党総裁選 ~中国の嫌がることはしないと言う首相が誕生するか~ | アジアの真実

・福田氏優位で進む自民党総裁選 ~中国の嫌がることはしないと言う首相が誕生するか~

福田氏、「戦後レジームからの脱却」とは一線:産経

 福田康夫元官房長官は15日午前、自民党総裁選への立候補届け出に先立って、自民党本部で記者会見し、安倍晋三首相が任期中に実現させたいとしていた憲法改正について「憲法改正は党是という方針は変わらない。ただ、国会の同意がないといけない。自民、公明両党だけで決めていいものか考えないといけない」と述べ、民主党も含めた合意が必要だとの考えを示した。

 憲法上は許されていないとされている集団的自衛権の行使についても「いろいろ研究することはいい。ただ、憲法に抵触するかは慎重に考えたほうがいい」と述べるなど、安倍首相が掲げる「戦後レジーム(体制)からの脱却」と一線を画す姿勢を鮮明にした。

 平成21年度に予定されている基礎年金国庫負担率引き上げ財源として、消費税率を引き上げることについては「社会保障が増えると(国家財政の)どこかを削らないといけないが、国民へのサービスが低下してはいけない。今の政治状況で国の赤字は増やせない。今後の議論にしたい」と、検討していく考えを示したが、実現させるかどうかの明言は避けた。

 「政治とカネ」をめぐる問題で、政治資金収支報告書に1円以上の領収証を添付すべきかどうかについては「1円から全部残さなければならないが、すべて公開する必要はない」と述べた。

 靖国神社に参拝するかどうかは「相手がいやがることをあえてする必要はないだろう。配慮しないといけない」と見送る考えを示唆した。



 中国各紙「穏健派」福田氏を好意的に紹介 :産経
 16日付の中国各紙は、福田康夫元官房長官と自民党の麻生太郎幹事長の一騎打ちとなった同党総裁選を国際面トップなどで紹介、高い関心を示すとともに、首相任期中の靖国神社不参拝を表明した福田氏を「穏健派」「対アジア外交を重視している」と好意的に伝えた

 北京青年報は国際面トップで「ハト(福田氏)がタカ(麻生氏)を相手に優勢」と報道。北京晩報も「日本の新首相はタカ・ハト対決の中から生まれる」と題した記事で「福田氏の優勢は明らかだ」と伝えた。

 同紙は、テロ対策特別措置法延長問題、日本人拉致問題、消費税増税など5つの争点を表にし、両氏の違いを紹介した。

 中国国内のウェブサイトでは、福田氏びいきの書き込みが増えているのに対し、麻生氏については「他国との対中包囲網形成を狙っている」「右翼的傾向が強い」などと警戒感を示す書き込みが目立っている。(共同)


 麻生氏と福田氏、二者で争われることとなった自民党総裁選。自民の議員内での支持を多数取り付けている福田氏が優勢が伝えられていますが、本当に今の日本に必要なのはどちらの人物なのでしょうか。

 同じ自民党ですから、消費税や年金問題などの諸問題については大筋同じような考えをお持ちのようですが、上記記事にあるとおり、麻生氏と福田氏は、外交問題、さらには国家感という面で大きな違いがあります。福田氏は拉致問題に関しても、以前から非常に消極的である上に、靖国神社へ参拝しない理由として「相手がいやがることはしない」と言っていますが、こんな理由が通るのであれば、極端な話、中国が「日本が憲法を変えるのは嫌だ」「日本が中国に対して金を払わないのは嫌だ」「日本に自衛隊が存在するのは中国の脅威であり嫌だ」と言えば、全て要求を飲まざるを得なくなります。つまりこれは「相手の言うことはなんでも聞かなければいけない」と同意です。上記の二つめのニュースのように、中国は既に自分のいいなりにできそうな福田氏を好意的に迎えています。


 外交、国家間という観点では、福田氏は左翼と言われる勢力と同じような考えを持っていると言わざるを得ない部分があります。これでは民主党から首相が出るのと大差がないかも知れません。福田氏が首相になることで一番の懸念は、小泉-安倍という2人の首相が作った、事なかれ主義から脱する日本、相手のいいなりにならず、物言える日本という路線から離脱し、もとの弱腰で頭を下げることのみが生きながらえる術であった、かつての情けない日本の姿に戻ってしまうことです。


 その一方で、自民党内でこれほど福田氏支持に傾いているのは、何か裏があるのではとも勘ぐってしまいます。例えば、次回の内閣は非常に短命であることが容易に予想されます。野党はすぐに解散請求をしてくる可能性はありますし、長くても来年3月の予算成立後には解散せざるを得ないのではないかという予測もあります。つまり、そんな短命の内閣には、本命を温存し、差し障りのない人物を起てておこうという考えが自民党内であるのではとも考えられます。

 しかし例えそのような考え方があったとしても、私は小泉-安倍の両氏が作ったラインをここで一旦消すべきではないと考えます。中国や韓国、北朝鮮といった周辺の反日国家に対しては、不条理な声をあげても日本は動じないという強力なクサビを打ち込むことに成功し、アメリカに対しては、最大の同盟国として絶大な信頼を得、現在の世界の枠組みのなかで、日本という国の立ち位置を明確に決定づけました。この流れを、例え一瞬だけでも断ち切ってしまうと、修復はとても難しいものとなってしまうかも知れません。

 そういう意味で、例え一時的な繋ぎの役割しか持たない首相であったとしても、福田氏のような国家感を持つ人物が就任することには疑問を感じます。


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参考書籍: 

とてつもない日本
麻生 太郎
410610217X


一国は一人を以って興り、一人を以って亡ぶ
福田 康夫 衛藤 征士郎
4584188602