・中国遺棄化学兵器処理機構が発足 ~中国政府が主導する”日本からの搾取”事業~ | アジアの真実

・中国遺棄化学兵器処理機構が発足 ~中国政府が主導する”日本からの搾取”事業~

日中共同で遺棄兵器処理機構…吉林で回収着手へ:読売
 日中両政府は、旧日本軍が中国に残した化学兵器の回収・処理を円滑に進めるため、2007年1月にも「日中遺棄化学兵器処理連合機構」を設置する方針を固めた。

 21日に東京で開く日中実務者協議で正式合意する。

 両政府は連合機構の設置後、中国国内で最多の約40万発の化学兵器が埋蔵されている吉林省ハルバ嶺での回収事業に本格的に着手する。

 日中の連合機構は、ハルバ嶺に大規模な発掘・回収施設と処理施設を建設し、回収した化学兵器を無害化する事業の主体となる。中国政府が機構設立に関与することで、事業に必要な道路や電気、水道の基盤整備、環境アセスメント(影響評価)などの許認可作業を円滑に進める狙いがある。

 日中の代表2人が連合機構の共同のトップとなる。日本側は遠藤善久・内閣府遺棄化学兵器処理担当室長、中国側は劉毅仁・外務省日本遺棄化学兵器問題処理弁公室主任を充てる方針だ。

 日中両国は05年末、連合機構の設置で基本合意したが、その後、日中関係の悪化で調整が難航していた。

 連合機構による兵器処理などの経費は日本側が負担する。発掘・回収施設建設に約973億円、さらに処理施設建設には2000億円以上の費用が必要とされている。


 非常に喜ばしくないニュースです。この問題は当Blogで何度も扱ってきましたが、旧日本軍の化学兵器は連合軍に正式に引き渡されており(公式な兵器引き渡し書も発見されています)、またこの地域に埋まっている化学兵器は日本製だけではなく、その多くはロシア製や中国製であるという調査結果も有り、化学兵器禁止条約に則っても、本来日本はこの事業の負担金を支払う義務はありません。しかし、村山富市氏が首相であったとき、無条件に日本が全て処理するという無責任極まりない覚書を交わしてかわしてしまったため、中国の際限のない請求を求められています。それは既に化学兵器処理という枠を越え、化学兵器処理という名目を使っての軍事施設建設の他、日本から可能な限り金をむしり取ることが目的の事業と化しています。その酷い内容を過去の記事から抜粋すれば、


 関係者によると、用地造成に伴う森林伐採で中国が要求した代償は「シラカバ一本百ドル」。しかし、シラカバは一般に製紙用以外に用途がなく「樹齢にもよるが二、三ドルが国際相場」とされ、日本は常識はずれの費用負担を強いられている。
 また、要員宿舎は「事業終了後の払い下げを見越し、地元当局から強い要望があった」(関係者)として、2LDKの豪華版で、プールなどのスポーツ施設が併設される予定だ。
 また、「環境関連諸費」(約千五百三十万円)の内訳をみると、「マクロ気象観測費」(約三百三十万円)と「ミクロ観測機器・機材整備費」(千二百万円)だが、気象観測といっても、中国軍の「気象専門員」が百葉箱を使い、気温や風向などを定時放送するというもの。日本側が「無意味に近い」と改善を要求したところ、中国側は「ならば地表温度なども計測しよう」と提案、新たな資材購入費として千二百万円を計上することになったという。
 このほか、中国はハルバ嶺に軍医療班を派遣しているが、絆創膏一枚でも、日本人スタッフには「段ボール三箱分の医薬品がセット売り」となる。しかも、なぜか産婦人科医を含む医師団は北京から送り込まれ、これら全経費が日本負担となっている。


中国での旧日本軍遺棄化学兵器処理事業をめぐり、中国側が当初の予定になかった大規模変電所やヘリポートの建設を要求していることが二日、明らかになった。処理施設建設予定地の吉林省ハルバ嶺は、ロシアや北朝鮮国境に近い地政学上の要衝。与党からは事業終了後に中国側が施設解体に応じず、人民解放軍の弾薬保管やミサイル格納などに転用する可能性を指摘する声が出ており、今春、現地調査に乗り出す方針だ。 また、ハルバ嶺を訪れたことがある関係者らの調査で、処理施設建設予定地の周辺道路や施設内の道路は、すでに数十トン級の戦車や装甲車が通行できるほど頑丈に舗装されていることが判明した。


 

 中国側の厚顔な要求はまさにとどまるところを知りません。私は当Blogの中で、度々”事業規模に関しては中国のいいなりになることなく、しっかりと事前調査を行って適正な規模に留め、不透明、不必要な施設は絶対に作らず、現地労働者に関しては日本が直接雇用とするなどして中国当局の搾取を防止し、また関連業務には日本企業を積極的に使用することで、その大きな金額を日本に還元するなどといった内容を、我々国民が関心を持って監視する必要があります。  以前の政権が残した大きな負の遺産ですが、我々の力で少しでもマイナス規模を縮小させ、適正な形へ戻していくことが、未来の日本の為の、現在の日本の使命です” と主張してきました。しかし本日のニュースを見ると、なし崩し的に当初言われていた3000億円という金額がそのまま生きています。しかも連合機構は中国政府が関与すると明言されています。日本は当初、中国政府が機構に入ることに反対していたはずです。あくまで民間企業によるものを求めていましたが、残念ながらここも中国の要求を呑んだようです。これでこの事業は中国政府の思うままに進む可能性がずっと高くなってしまいました。まだ詳細が報道されていませんのでこれ以上のことはわかりませんが、この問題は今後も見守っていきたいと思います。


 過去の政権が残した負の遺産を、安倍政権がどのように処理をするのかを期待していましたが、このニュースだけを聞けば今のところ残念な結果になっているとしか言えません。ODAの問題もそうですが、日中友好という名目だけで滞っている事業を中国の要求通り再開することは、両国関係にとってプラスにはなり得ません。小泉政権時から変わってきた日本の外交の流れをまた以前の事なかれ主義へと逆戻りさせてしまうことにもなりかねません。

 

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参考書籍:
中国利権の真相―“赤い貴族”に群がった日本の政・官・財・メディア
青木 直人
4796643117

日米は中国の覇権主義とどう戦うか
日高 義樹
4198620342