・サイレントマジョリティを考慮すれば結果は逆転します ~偏見に満ちた作家の世論操作術~ | アジアの真実

・サイレントマジョリティを考慮すれば結果は逆転します ~偏見に満ちた作家の世論操作術~

中国、韓国と仲良くした方がいい?しなくてもいい?:毎日新聞「石田衣良の白黒つけます」
 ◇ふー、びっくりした

 この秋に2度、韓国に取材旅行にいった。日本と韓国を舞台にした恋愛小説を来年書くためだ。訪れたのは、ソウルとプサン。どちらの街も元気で勢いがある。それはたのしい取材旅行だった。ソウルは高層ビルの建築ラッシュで、プサンは国際映画祭の真っ最中。とても華やかだった。たべものはおいしいし、女の子はかわいい。男性は徴兵制のせいか、みなたくましくスーツがよく似あう。ついでにいえば、現地では誰に会っても、おかしな反日感情などなかった。

 うーん、今回は簡単だとぼくは思っていた。だって、中国と韓国はおとなりの国だものね。これからもずっとつきあっていかなければならないのだ。この質問のこたえなんて考えるまでもない。けれど、最近の東アジア情勢を、みんながどんなふうに感じているのか、それが探りたくてこのテーマにしたのだ。

 するとあらら、不思議。寄せられたのは厳しい反韓国・反中国のメールばかりだった。なぜなのかしらん? というわけで、今回は多数を占める「しなくていい」派からいってみよう。

 「近隣国と友好関係をつくるのは『望ましい』ことであって、『なすべき』ことではない」(住所不明・匿名さん)。「都合のよいときだけ、新時代にむけて新しい関係をといいながら、なにか起きると過去の清算だ、教科書問題だという国となぜつきあわなければならないのか?」(大阪市都島区・嫌人さん)。「隣国とは仲良くしたほうがいいに決まっているが、日本側から頭をさげてまで仲良くする必要はない」(海外在住・匿名さん)。「友情ごっこのような関係ならいらない。中国・韓国とは必要があれば協力し、なければ距離をおくくらいでちょうどいい」(北海道旭川市・優子さん)。

 ふー、びっくりした。でも、反対派の意見はほぼ一点に集中している。中国や韓国は反日だから、仲良くする必要はないというもの。それ、ほんとなのかなあ。賛成派のメールを読んでみよう。

 「3年ほど中国東北部で働いています。日本でおおきく報道されている『反日』は、こちらでは報道ほどひどくはありません。一般人のなかには、単なる反日よりも、冷静に日本との上手なつきあいかたを模索している人のほうが多いように感じます」(東京都世田谷区・モモトン)。「実家のまわりには在日韓国人が多く住んでいて、それがあたりまえでした。結婚して住んだ場所には中国人が多く、小学校の運動会では中国語のアナウンスがつくほど。どちらの国の人とも、近くにいることが自然。人間なんだから、仲良くしたほうがいいと考えるのが当然だと思います」(神戸市垂水区・匿名さん)。「当然、仲良くすべきです。隣国の中国や韓国と仲良くしないで、遠くの国とばかりの外交では、成功なんてありえないのでは?」(千葉市花見川区・匿名さん)。

 ぼくはつぎの10年間で、現在の日米関係と同じくらい日中関係・日韓関係は重要になると思う。すでに対中貿易は日本経済のおおきな柱のひとつなのだ。仲良くしなくていい、無視すればいいというのは一見強そうだし簡単だ。でもそうすれば、すぐとなりに住むたくさんの人たちがいなくなるのだろうか。

 今回のこたえは数字のうえでは「しなくていい」派が圧倒的だったけれど、応募しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮にいれて決定させてもらいます。中国・韓国とは仲良くしたほうがいい。

 あたりまえの話だよね。メールをくれた「多数派」はあまり反日報道やネットの情報に踊らされないほうがいいのではないかな。では、最後にシンプルなメールをひとつ。

 「夢みたいなことだとはわかっているけど、中国・韓国というよりは、すべての国と仲良くなってくれたらいいなと思ってます」(東京都練馬区・匿名さん)。別に夢なんかじゃないよ。ぼくだって、ジョン・レノンだって、それにその他大勢の地球人がそう願っているのだから。


 ◇投票結果

 <有効投票数>9010

 (男6284,女2726)

 ((1)はした方がいい、(2)はしなくてもいい

 <全体>

 (1)42.8%(2)57.2%

 <男女別>

男(1)33.6(2)66.4%

女(1)64.2%(2)35.8%

 <年齢、男女別>

10代以下男(1)12.4%(2)87.6%

10代以下女(1)60.4%(2)39.6%

20代男  (1)31.4%(2)68.6%

20代女  (1)64.4%(2)35.6%

30代男  (1)31.5%(2)68.5%

30代女  (1)66.1%(2)33.9%

40代男  (1)42.3%(2)57.7%

40代女  (1)64.8%(2)35.2%

50代男  (1)45.0%(2)55.0%

50代女  (1)60.5%(2)39.5%

60代男  (1)41.7%(2)58.3%

60代女  (1)54.1%(2)45.9%

70代以上男(1)45.9%(2)54.1%

70代以上女(1)29.0%(2)71.0%



これは石田衣良という作家が毎日新聞に書いている「石田衣良の白黒つけます」という、様々なテーマのアンケート結果を紹介するコラムの中で、「中国・韓国と仲良くした方がいいか?」というアンケートの結果について書かれたものです。おもしろそうなアンケートではありますが、はっきり言って結果は二の次です。注目すべきは、この石田衣良という作家の”応募しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮にいれて決定させてもらいます”という一文に集約されます。非常におもしろい文章です。初めて聞きました。つまり、アンケートは取ってみたが自分の思った結果は出なかった。でもきっと応募しなかった人の大多数は違う意見に違いない。だから結果とは違う方に決定しよう。ということですが、これほど大胆かつ根拠のない理由でアンケート結果をねじ曲げる手法は初めて見ました。「ふーびっくりした」とはこちらのセリフです。アンケートの意味が果たしてあるのでしょうか。これがまかり通るのであれば、


・投票率50%の選挙において、自民党候補が勝利した。でも投票しなかった多数のサイレントマジョリティを考慮した結果、当選は共産党候補と決めさせてもらいます。.


こんなことも認められてしまいます。民主主義崩壊です。結局、言いたいことはこの作家の独断と偏見でしかないのです。上記コラムに記載されている、”メールをくれた「多数派」はあまり反日報道やネットの情報に踊らされないほうがいいのではないかな”という文章にもその独断と偏見が滲み出ています。言い換えれば、「自分は韓国へ行ってみたけれど反日を唱える人には会わなかった。メールの中にも同様の内容があった。それにお隣さんとは仲良くした方が良いに決まっているから、変な報道に踊らされている人は考え直すと良い」ということになりますが、中国と韓国は”国策”として「反日政策」を大々的かつ強力に推し進めているというのは疑いようのない事実です。それを語らずして、中韓と日本の関係など語ることはできないはずです。自分の個人的経験と偏見だけで、大局が見ずして結果的に大多数の意見をねじ曲げてしまうという行為のなんと醜いことでしょうか。


 ちなみに、「中国・韓国と仲良くした方がいいか?」というアンケートに私が答えるとしたら、「した方が良い」です。ただし、過去にも何度も繰り返し述べていることにはなりますが、仲良くするとは、こちらから頭を下げて仲良くしてもらうという意味ではありません。毅然とした態度で主張すべきは主張し、理不尽な要求には屈しない。それが出来た上で友好関係が築けるのであれば、拒否する理由はありません。


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参考書籍(石田 衣良氏の作品。興味のある方はどうぞ):

4TEEN
石田 衣良
4101250510


エンジェル
石田 衣良
4087474763