・このタイミングで発見された昭和天皇の発言メモ ~まずはその真偽から検証せよ~ | アジアの真実

・このタイミングで発見された昭和天皇の発言メモ ~まずはその真偽から検証せよ~

昭和天皇「私はあれ以来参拝していない」 A級戦犯合祀;朝日
 昭和天皇が死去前年の1988年、靖国神社にA級戦犯が合祀されたことについて、「私はあれ以来参拝していない それが私の心だ」などと発言したメモが残されていることが分かった。当時の富田朝彦宮内庁長官(故人)が発言をメモに記し、家族が保管していた。昭和天皇は靖国神社に戦後8回参拝。78年のA級戦犯合祀以降は一度も参拝していなかった。A級戦犯合祀後に昭和天皇が靖国参拝をしなかったことをめぐっては、合祀当時の側近が昭和天皇が不快感を抱いていた、と証言しており、今回のメモでその思いが裏付けられた格好だ。

昭和天皇の発言を記したメモ
 メモは88年4月28日付。それによると、昭和天皇の発言として「私は 或(あ)る時に、A級(戦犯)が合祀され その上 松岡、白取(原文のまま)までもが 筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが」と記されている。

 これらの個人名は、日独伊三国同盟を推進し、A級戦犯として合祀された松岡洋右元外相、白鳥敏夫元駐伊大使、66年に旧厚生省からA級戦犯の祭神名票を受け取ったが合祀していなかった筑波藤麿・靖国神社宮司を指しているとみられる。

 メモではさらに、「松平の子の今の宮司がどう考えたのか 易々(やすやす)と 松平は平和に強い考(え)があったと思うのに 親の心子知らずと思っている」と続けられている。終戦直後当時の松平慶民・宮内大臣と、合祀に踏み切った、その長男の松平永芳・靖国神社宮司について触れられたとみられる。

 昭和天皇は続けて「だから私(は)あれ以来参拝していない それが私の心だ」と述べた、と記されている。

 昭和天皇は戦後8回参拝したが、75年11月の参拝が最後で、78年のA級戦犯合祀以降は一度も参拝しなかった。

 靖国神社の広報課は20日、報道された内容について「コメントは差し控えたい」とだけ話した。

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 《「昭和天皇独白録」の出版にたずさわった作家半藤一利さんの話》メモや日記の一部を見ましたが、メモは手帳にびっしり張ってあった。天皇の目の前で書いたものかは分からないが、だいぶ時間がたってから書いたものではないことが分かる。昭和天皇の肉声に近いものだと思う。終戦直後の肉声として「独白録」があるが、最晩年の肉声として、本当に貴重な史料だ。後から勝手に作ったものではないと思う。

 個人的な悪口などを言わない昭和天皇が、かなり強く、A級戦犯合祀に反対の意思を表明しているのに驚いた。昭和天皇が靖国神社に行かなくなったこととA級戦犯合祀が関係していることはこれまでも推測されてはいたが、それが裏付けられたということになる。私にとってはやっぱりという思いだが、「合祀とは関係ない」という主張をしてきた人にとってはショックだろう。


 昭和天皇が語ったとされる言葉のメモが話題になっています。様々な憶測が飛んでいるようですが、確かにこのメモの真偽には疑問を感じるところが多々あります。例えば、これは手帳に書き込まれた物ではなく、後から張り付けられたいたものであることや、インクや紙の劣化度が違って見えること、そもそも昭和天皇の言葉をメモしたのかどうかが疑わしいという点(富田氏が宮内庁長官だった時代の侍従長、徳川義寛氏がメモと同様の主張をしており、徳川氏の言葉をメモしたものではないかという疑いもあるようです)、等々数え上げればキリがありません。また、天皇陛下は、靖国神社の例大祭には絶えることなく勅使を遣わされています。これは天皇陛下の代理参拝とも呼べるもので、靖国神社へのA級戦犯合祀に深い不快感を感じられていたのであれば、このメモの内容とその行動は矛盾します。

 そして何より疑惑を感じるのが、小泉首相が参拝する可能性が高い8月15日まであと1ヶ月弱、また次期首相を決定する自民党総裁選まで約2ヶ月というこの時期に約20年前のメモが今更見つかったという、図ったかのようなこのタイミングです。何らかの意図があると疑いたくもなります。


 このメモの真偽は現在のところ不明です。しかし国内の左翼団体のみならず、早速中国外務省からもこのメモをネタにした発言があったようです。しかしいろいろと騒ぐ前に、このメモの真偽を冷静に確かめてみる所から初めるべきではないでしょうか。紙やインクの年代等、現代の技術であったら簡単に調べられるはずです。また、同内容の他人の発言をメモしたものではないかという疑いも、少しの調査でいろいろわかってくるものです。もし本物であり、間違いなく昭和天皇のお言葉だったとしたら、議論はそこからでも遅くはありません。真偽も確かでないまま、突然この時期に見つかったメモを政治的に利用するべきではありません。(そもそも天皇陛下の言葉を政治利用することはできないはずです。数ヶ月前、麻生外相が「天皇陛下が靖国参拝することが望ましい」と発言したときに、天皇陛下を政治利用するなと批判を浴びましたが、今回もそれと同様のことが言えるはずです。)


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参考書籍:
戦争を知らない人のための靖国問題
上坂 冬子
4166604988


新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖國論
小林 よしのり
434401023X


靖国のこえに耳を澄ませて―戦歿学徒十七人の肖像
打越 和子
494421913X