・迫るテポドン発射の時 ~発射後に日本がすべき事とは何か~ | アジアの真実

・迫るテポドン発射の時 ~発射後に日本がすべき事とは何か~

テポドン燃料注入完了か 北朝鮮、発射の可能性:共同
 【ワシントン18日共同=杉田弘毅】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)とロイター通信によると、複数の米政府当局者は十八日、北朝鮮が発射準備を進めている長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の燃料注入を完了したとみられると語った。発射が間近に迫っている可能性が高まったとしている。

 当局者は、燃料注入後の抜き取り作業は難しいため、発射取りやめの公算は小さいと述べた。

 米政府当局者は、偵察衛星写真などを基に分析、「すべてのシステムが整ったように見える。燃料注入は終わったようだ」と同紙記者に述べた。

 韓国のニュース専門テレビYTNは十九日、政府当局者の分析として、北朝鮮が同日中にも弾道ミサイルを発射する可能性があると報じたが、具体的な根拠には触れなかった。

 同紙は十八日、衛星写真は咸鏡北道花台郡にあるミサイルの発射台にブースターが取り付けられ、燃料タンクがミサイルに据え付けられている様子をとらえていると伝えた。

 同紙によると、ライス米国務長官は日本、中国との電話協議を週末に行い、対策を協議、特に中国には発射見送りを北朝鮮に説得するよう要請した。また米政府当局者はニューヨークの北朝鮮国連代表部に連絡し、懸念を伝えた。

 日本政府は、発射された場合は直ちに米国と連携して国連安全保障理事会開催を求める方針。

 スノー米大統領報道官は十八日、CNNテレビのインタビューで、北朝鮮のミサイル発射凍結の継続を求めるとともに、発射の場合は「適切な対応をとる」と語り、安保理での即時協議開始などの公算を示した。

 ニューヨーク・タイムズによると、北朝鮮のミサイル発射準備の兆候は五週間前から偵察衛星がとらえ始め、当初は米国の関心を引くためで発射目的ではないと見ていた。


テポドンの警戒続行 安倍氏、発射なら制裁検討:共同
 政府は19日午前、北朝鮮が発射準備を進めているとされる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」について情報収集、警戒態勢を続行した。外務省に同日までに入った情報によると、この2、3日間で状況に変化はなく、北朝鮮がミサイルに燃料注入した事実は依然確認されていない。
 燃料注入完了の見方も強まっているが、安倍晋三官房長官は午前の記者会見でミサイルへの燃料注入に関し「個別の情報に関するコメントは控えたい」と述べるにとどめた。安倍氏は、発射した場合、国連制裁などを念頭に米国と協調しながら対処していく方針を示した上で、特定船舶入港禁止特別措置法、改正外為法による日本独自の経済制裁など対抗措置を検討する考えを強調した。

 テポドン2号には既に燃料が注入済みとの情報もあります。着々と発射の時は迫っているようですが、安倍官房長官の話を聞くと、安保理付託のほか、日本独自経済制裁などの具体的な内容にも触れており、16日に書いた記事のときよりも随分と日本政府として前進した発言を行っているように思えます。

 ところで、北朝鮮が実際にテポドンを発射した場合、国連安保理に付託したとして果たして効果があるのでしょうか。国連安保理には、ロシア、そして中国が常任理事国として存在しています。日米、特にアメリカが展開している世界戦略に強い反発を示しているこの二国が、北朝鮮に対する国際的な制裁措置に反対する可能性は十二分にあります。はっきり言って国連安保理が開催されたとして、効果的な結果が出るかは甚だ疑問ではあります。むしろミサイルを発射しても国際社会は何もしない。という逆効果を北朝鮮に与えてしまうかも知れません。

 日本がすべき事とは、国連に頼らず、日米にて独自の制裁内容を考え、実行すべき事かも知れません。日本は戦後60年、アメリカと軍事同盟を結び、アメリカという国の戦略の一端を担うことで世界の中で生きていく道を選び、歩んできました。特に近年は様々な問題があったイラクにも自衛隊を派遣し、アメリカの信頼を得、過去にこれ以上ないほどアメリカとの関係は良好です。これは中国、北朝鮮といった差し迫った軍事的危機に対する対抗策という意味もあったはずです。アメリカの世界戦略の一端として生きていくという道に対する賛否両論はあると思います。私もこれには諸手を挙げて賛成するつもりはありません。しかしそれが現実であり、今現在日本が選択した道でもあるのです。

 アメリカに媚びを売ってまで得た信頼を、今ここで使うべきなのではないでしょうか。国連は残念ながら絶対的公平な場ではありません。北朝鮮が実力行使的な脅しに出た場合は、アメリカとの信頼関係を今ここで最大限に利用し、二国間で具体的な制裁措置をとるべきだと思います。それにより、一方で軍事的野心を剥き出しにしている中国に対しても明確な牽制となる効果も期待できます。

 そしてもしここでアメリカの協力が思うように取り付けられなかったとした場合、日米同盟とはその程度のものだったということです。日本は世界という舞台の中で、自らの生きていく道を再考しなければならないでしょう。


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参考書籍:
北朝鮮のミサイルは撃ち落とせるのか
中冨 信夫
4334933580


日米同盟の絆―安保条約と相互性の模索
坂元 一哉
4641049769