・アメリカは靖国参拝に反対しているのか否か ~メディアの読み方~ | アジアの真実

・アメリカは靖国参拝に反対しているのか否か ~メディアの読み方~

米国防長官、「靖国」米は関与せず 中国に抑制求める :産経6/8
【ワシントン=古森義久】米国のドナルド・ラムズフェルド国防長官が日中両国間の靖国問題について、米国は関与しないというブッシュ政権の方針を明確に表明したことが公表された。同長官は過去の戦争の歴史に対する他国の態度への不干渉をも提案し、靖国問題では中国側にむしろ抑制を求める形となった。
 米国防総省の6日までの発表によると、東南アジア歴訪中のラムズフェルド長官は4日、シンガポールで「日本の小泉純一郎首相の靖国神社参拝について日中関係の安定のために米国が干渉することはないか」という記者の質問に答えて、「この問題はその地域の当事者たちの処理に任せる。日本も中国も私からの助言は必要ないだろう」と語り、ブッシュ政権として靖国問題には関与しないことを明確にした。

 さらに、国防総省の発表によると、同長官は3日、シンガポールで開かれたイギリスの国際戦略研究所の会合での講演と質疑応答でも日中両国間の靖国問題など歴史問題に触れ、「(戦争などの)歴史をまったくの過去のことにするには時間がかかるが、米国と日本はそれを過去のこととして清算した」と述べた。同長官はさらに「他の諸国もそのような相互の歴史を過去として清算し、21世紀を前進することができれば、すべての国々の利益にかなうことになる」と語り、過去の戦争の歴史を現在の国家間の案件として問題視することへの批判を表明した。

 ラムズフェルド長官が日中関係への論評で「過去の歴史を過去のこととして清算する」という点を強調するのは、靖国問題などでの中国側の対日姿勢への遠回しな抑制示唆と受け取れる。


「米、参拝干渉せず」 シーファー駐日大使 :産経5/25
 米国のシーファー駐日大使は24日、「日米フォーラム」に出席し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝について、「参拝するかどうかは日本が決めることで、米国やその他の国々がとやかくいうことではない」と述べ、米国は干渉すべきではない、とする従来の姿勢に変化はないと強調した。
 同大使は、「東アジアでは、二つの大国(日本と中国)の並立という前例のない現象が起きつつある。靖国問題を抜きにしても、不安や緊張の高まりはあり得る」と述べた上で、このような状況に安定をもたらす日米同盟の重要性を強調した。
 また、「日米関係は非常に良好だが、米中関係も改善されている。ある外交関係の改善は、別の外交関係を犠牲にしなければ達成できないということはない」と述べた。


 最近、国内の一部の新聞 などで、「靖国参拝に明確に反対しているのは中韓だけではない。米国でも首相による参拝には批判的な意見が多いのだ」 という記事を目にします。しかし本日の記事、そして5/25日の報道を見れば、米国防長官、米駐日大使が靖国問題に関与しない、むしろ歴史問題を政治問題化することへの批判を展開しています。国防長官や駐日大使の発言ですから、米国の公式見解ととっても差し支えないでしょう。

 確かに、ニューヨークタイムスなどの特定のメディアは靖国参拝を批判する記事を書いています。一部の米議員でも反対の発言をした人がいます。だからと言って米国全体、さらに米国政府が靖国参拝反対しているかと言えばそうではないのです。特定の記事だけを読み、”アメリカも靖国参拝に反対しているのか”という認識だけを持ってしまうのは明らかな間違いです。

 これはメディアリテラシーの典型的な例です。特定の偏った情報だけに触れていては、物事の本質は見えません。この問題に限りませんが、幸いにも現代の日本ではインターネットなどで多くの情報に触れることができます。その中から、自分自身で真実を見抜くことが大切です。



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参考書籍:
「反日」の超克 中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか
西村 幸祐
4569643663


戦争を知らない人のための靖国問題
上坂 冬子
4166604988