前回はガーナの歴史とアシャンティ王国についてでしたが、今回は奴隷貿易についてです。
奴隷貿易といえば、皆さん、何を思い浮かべるでしょうか。?
奴隷貿易は16世紀から19世紀にかけて、アフリカ諸地域から輸出された黒人奴隷は、主に南北アメリカ大陸で無償で従事させられました。
その奴隷の推計では16世紀は90万人、17世紀は300万人、18世紀は700万人、19世紀は約400万人が奴隷として売買されたといわれ、概算1500万人と言われていてます。
他にも1000万人、1100万人の説もあり、そのうちの約37%がポルトガルによりブラジル植民地へと連れていかれたともいわれています。
ちなみに多数の奴隷船の一次記録の調査により、大西洋横断中の死亡率は13%程度であると推定されています。
奴隷貿易に参加した主な国として、貿易の初期ではポルトガル、スペインで、オランダ、イギリス、フランス、スウェーデンなどに主導権がうつっていきます。
このブログでは奴隷貿易は悲惨なことでしたが、客観的に、理解しやすいように理由をつけて奴隷貿易の開始~発展~革新~衰退を考えたいと思います。
まずは、奴隷貿易がはじまった理由はなんでしょうか?
理由は下記1,2で、黒人奴隷が中南米地域に送られる奴隷取引ができ、以前の小規模な「冒険商人による奴隷狩り」から「奴隷貿易」にシフトしました。
1.中南米地域の「プランテーション農業」の労働力が不足
労働力不足の理由は下記①~④です。
①中南米地域の植民地化に伴うインディオ人口の激減
※スペイン人、ポルトガル人が現地人を容赦なく酷使したため。
②植民地のヨーロッパ系人口(白人入植者)がなかなか増えない
(理由:白人入植者は、年季奉公の形で期限付きでしたが、奴隷同然の扱いを受けていたため、海外植民地は不人気でした)
③熱帯地域において伝染病によるヨーロッパ系移民の死者が多発していた。
④ヨーロッパ産の家畜は植民地で数が増えにくく、農耕の補助に家畜が使えなかった。
2.熱帯性の気候に慣れて伝染病にも強いと考えられたアフリカ人が労働力として注目されるようになった。
次になぜ奴隷貿易が活発化したのでしょうか?
理由は下記①~⑧です。
①奴隷狩りは労働力が安く、現地をよく知る黒人が行ったため。
(人件費の高く、現地の生活に不向きなヨーロッパ人による奴隷狩りでは採算がとれない)
※これはアフリカ史の汚点です。ガーナの現地ガイドに聞いたところ、ガーナでは奴隷貿易について学校で教えていないとのこと。
②ヨーロッパ人は奴隷の代価として、slave hunter(奴隷狩りをする人)に銃火器(大砲・銃など)や弾丸を与えたため、奴隷狩りをしやすくなった。
※銃一丁を交換する一例ですが、男性奴隷では15人、女性奴隷では21人で、人間の価値がこれほどちっぽけだったとは悲しいことです。
③黒人と武器の貿易により奴隷商人が潤い、奴隷商人が増加し、奴隷の買い取り手が増えることで自由競争原理がはたらき、奴隷の買い取りコストが上がった。これによりslave huntersが潤い、銃火器をより多く入手できるようになった。
④slave huntersは次第に大きな集団となり、他国から奴隷を確保するとともに、その国・部族を征服し、アシャンティ王国(ガーナ)、ウィダー王国(ガーナ)、ダホメ王国(ベナン)、オヨ王国(ナイジェリア)、コンゴ王国(コンゴ)などが成立し、奴隷狩りが急速に拡大化した。
⑤slave huntersが多くの武器を手に入れ大きな組織になっていったため、その侵略に対抗するため、銃火器が必要となった。しかし、多くのヨーロッパ商人は黒人奴隷との交換しか銃火器をうらなかったため、自国防衛するにしても、自国からの奴隷調達(金返済不能によって奴隷となった人(債務奴隷)、犯罪者など)、戦争捕虜が必要となった。
※黒人奴隷化に消極的な王国、種族もヨーロッパ商人や黒人奴隷積極的な黒人王国によって黒人奴隷化せざる得ない状況もありました。
⑥大国になるについて、戦争捕虜以外に属国からの奴隷貢物(債務奴隷、犯罪者など)で、奴隷の数も増加していった。
⑦ポルトガルが1480年代にエルミナ城(下の模型の写真)が建設され、奴隷の収容管理が容易になり、多くの奴隷を受け入れられるようになった。
それから、ヴィダ、ケープコースト、ラゴスなどに多くの城が建設されていきます。
⑧1480年代には、ポルトガルとスペインで独占的な奴隷貿易会社ギニア会社(勅許会社)が設立された。
※勅許会社:特許会社とも呼ばれ、西欧諸国で国王・女王の勅許または国家行政の特別許可状をもらい設立された貿易を主とする会社
以上のように奴隷貿易は発展してきましたが、奴隷貿易に停滞ムードが漂いはじめました。これについては次のブログで紹介したいと思います。
■つづきは下記からみてください。
ブログ全体の目次にもなっています。
http://ameblo.jp/la-luna-sarah/entry-11076468738.html
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