男たちのセッション | IN VINO VERITAS

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とあるヴァイオリン弾きの日々雑感

一言で言うなら…

「男っていいなあ」

音楽そのものに性別があるわけではないのだけど、「男にしかできないこと」っていうのはある。

男性的な演奏とか、そういうのでもない。
喩えるなら「男の飲み会」、女の入る余地なし。

女子会も相当すごいと思うが(笑)、男だけの集まり、盛り上がりっていうのは、本当にすごい。
あの独特の空気感は、男にしか作れないだろうなあ…。

というセッションでした。

オープニングは圭司さんの「THE RING」。

大好きな低音から始まったフルートは、いつもより少し緊張感の高い硬さと静けさを感じさせる、抑えた響き…。
それが次第に温度が上がっていく様は、どきどきするような色気があった。

2曲目も圭司さんの曲だったのだけれど、新曲で、タイトルは…エスペラント語でしたが(笑)日本語で言うと「止まない雨」…といったところでしょうか…。

これがまたすごい。

打ちつけるようなピアノの雨。
それを憂うようなフルート…。

領さんの雨の描写で、こういうのは初めてだ。

止まない雨が降り続く中、人の心を映した鏡のように、雨への思いをフルートが語る。

雨は止まないのだけれど、最後は圭司さんが静かに窓を閉めて曲は終わる。

うーん。深い…!深い曲だった。

領さんのオリジナル曲も披露してくれました。

タイトルはまだ仮ということだったけれど、東山魁夷の「白夜光」の世界を音にしたという曲。

魁夷の絵ももちろん浮かぶのだが、何よりも、フィンランドの空気を感じる曲だった。
(…と言っても私はフィンランドに行ったことはないのだけれど。。)

とても強い思いを感じるのだけれど、その炎は真っ赤に燃え盛る火ではなく、静かに灯る青い炎。
目には見えないけれど、内に秘められた強く激しい情感が、音の向こう側から見えてくる。

フィンランドの独立記念日に灯されるキャンドルにも、こういう表情があるのだろうか…。

まだ見ぬフィンランドの、自然、歴史…を想う一方で、日本の「能」に通じる世界観をも見たような、受け手のイマジネーションを限りなく広げる、とても興味深い音の世界でした。

そして、ライブ後半がまた面白い!

圭司さんの曲が2曲続いた後に、領さんのオリジナル曲を2曲。

まず「猫空ロープウェイ」。

これがもう…いつものほんわかのんびりした感じとは全くと言っていいほど異なる世界で、雨雲を呼ぶのが領さんではなく圭司さんになっただけで、こんなにも変わるのか(笑)という…。

これは一人旅ではないですね。
男たちのオトナの修学旅行!

全体的にちょいワルな感じのセッションでしたが、あの「猫空…」がこんなふうになってしまう(ものすごくいい意味で!)というのが、驚きでもあり、楽しさでもありました。
いやあ、すごい!

そしてすごい曲はまだ続きます。

「すごい月夜のすごいサウダージ」…(笑)

月夜の晩に…という感じで始まることは始まるのですが、かっこいい車を乗り回してるオトナの少年たちの世界(笑)

品のいいお洒落な男子なんだけど、ちょっとネクタイが緩んでる感じというか…ボタンをもう一つ多めに外してる感じ?

昨シーズンの羽生選手で言ったら、ロミジュリではなくパリ散歩。(ご存じない方はソチ五輪の動画を…笑)

女子にとっては反則技です、、

もう…参った!
立てなくなりました。。

とにかくこのあたり、お嬢様が踏み込む隙は1ミリたりともありません。

実は私、こういう世界も大好物なのですよ!


領さんのライブでは、この手のセッションは久しぶりだったので、余計にテンション上がりました!

ラストは圭司さんの「チリビーンズ」。
お馴染みの、あの…南米風(ラテン系)のテイストも感じさせるニューオリンズ系(セカンドライン)のリズムに彩られた賑やかで楽しい曲。
この日のライブの楽しさの総まとめのような感じで。…いや本当に楽しかったです!

聴き慣れたはずの領さんの曲の新天地を見たり、新鮮な驚きと興奮があったり…

昨日のライブは、貴重な瞬間がたくさんありました。

松本圭司さん、坂上領さん、そしてゲストの熊谷望さん…
素敵な時間をどうもありがとうございました!