うさぎとウサギは違う | 英会話らばっ(ワンポイント編)

うさぎとウサギは違う

有名なイソップの寓話である、「うさぎとかめ」のことを英語では、

"The Hare and the Tortoise"

と言う。
日本では、「うさぎ」のことを英語で、"rabbit"(ラビット)と認識している人が大半なので、"hare"(ヘア)? それは何?と思う人が多いのじゃないだろうか。
日本語のタイトルを見てわかるとおり、それも「うさぎ」と日本語では訳されている。
私が思うに、最初に英語を日本語にした人が、

「どちらも耳が長い」
「ぱっと見た感じがそっくり」

こんな風に思って、"hare"(ヘア) も "rabbit"(ラビット) も、「うさぎ」ということにしよう。
こんな感じだったのではないかと思われる。 

ちなみに"hare"(ヘア)という言葉を辞書で引くと、「野うさぎ」と書かれている。
"rabbit"(ラビット)だって、野にいくらでもいるので、それだけ見たって何がちがうかさっぱりわかるわけもなく、結局日本人の頭の中では、どちらもいっしょの動物ということで、収まってしまう。

"What's the difference between a hare and a rabbit"
「うさぎとウサギの差は何なの?」

なんて欧米人に聞けば、きっと、

「えっ?ぜんぜん違う動物なのに、いっしょだと思っていたの?」

と、こういう感覚でいっぱいになると思う。
そしてたとえ、2つの違いの説明を聞いたところで、「あっそう」と流し、結局どうでもいい、そんなことは、と次に同じ話題が出るまで、忘れ去られるというのがお決まりであるように思う。

しかし、これは日本人特有の無関心という気はする。
似ているものは、決して同じではない。 
そんなことを言い出すと、「日本人」と「中国人」は同じなのか。
「クジラ」と「イルカ」は同じなのか。

生物学的には、同じだけど、こうやって呼び名を変えるだけで、別のものとして認識されるのである。

こんな風に日本語では、似ているという理由だけで、名前がいっしょくたになっているものが結構あり、特に動物などにそれが多い。
日本人が生物に興味がないのか、それとも翻訳を監修した人の中に生物学に詳しい人がいなかったのかどちらかにちがいない。

ということで日本語ではひとつの呼び名だが、実は英語では違う生物とみなされているものを、私の見分け方説明つきで紹介しておく。

●"turtle"「かめ」と"tortoise"「カメ」
・生物学的に、"tortoise"は "turtle" に含まれる。
・"turtle"は海がめ、"tortoise"は陸がめとして知られ、生息の状態がちがう。
・つつくと首や足を引っ込めるのが"tortoise"で、足をばたばたさせるのが"turtle"
・"turtle"は引越しをするが、"tortoise"はしない。
・"turtle"は前足がヒレにようになっているものも多い。
・龍宮城へ行ったのは"turtle"、ウサギと競争したのは"tortoise"である。

●"rabbit"「うさぎ」と"hare"「ウサギ」
・普通飼われているものは、"rabbit"である。
・生まれたての"rabbit"は毛がなく目も見えない。
・"hare"の赤ちゃんは毛がふさふさだが、発音がいっしょの"hair"「髪の毛」とは全くなんの関係もない
・"rabbit"は速く走れるが、ほんの少しの距離しか走れない。
・"hare"は後脚が長く、脚が速いが、カメに負けた。

●"mouse"「ねずみ」と"rat"「ネズミ」
・ミッキーマウスが宣伝していても、欧米ではどちらも嫌われいてる。
・あきらかにサイズが違い、"mouse"は携帯電話サイズ、"rat"は手のひらより大きいものが多い。
・"rat"の赤ちゃんは、成長した"mouse"にそっくり。
・"rat"にはおへそがある。

●"pigeon"「はと」と"dove"「ハト」
・公園にいるグレーのは"pigeon"
・手品師がマジックで出してくるのが、"dove"
・平和の象徴は"dove"

●"frog"「かえる」と"toad"「カエル」
・"toad"はがまがえるとも言われ、かなりぶさいく。
・"toad"は鈍いのですぐ捕獲できる。
・"frog"はかなりすばしっこい。
・"frog"のほうが水につかっていないといけない時間が長い。

●"bee"「はち」と"wasp"「ハチ」
・"wasp"はスズメバチと呼ばれ、獰猛なイメージ。
・"bee"は子供に花粉や花の蜜を与え、"wasp"は子供に昆虫やクモなどを与える。
・"bee"は一度刺すと死ぬが、"wasp"は何度も刺せる。

●"dolphin"「いるか」と "porpoise"「イルカ」
・一般的に "porpoise"のほうが小さい。
・"dolphin"のほうが大きいがスリムで鼻先は突き出ている。
・"porpoise"の顔は丸く、どてっとしたイメージ。
・"porpoise"のほうが群れるグループが小さい。
・"dolphin"の歯はとんがり帽子型で、 "porpoise"の歯はスコップ型。

●"alligator"「わに」と"crocodile"「ワニ」
・"alligator"の生息地は南アメリカやメキシコに限られている。
・"alligator"の鼻先は、平たい。
・"crocodile"は鼻先がとんがっていて、非常に獰猛なイメージ。
・ピーターパンのフック船長が恐れているのは、"crocodile"である。

しかし、、、きりがない。
私は生物学者でもなんでもないので、説明も適当なんだが、一般的にはそれくらいの認識はあると思う。
でも、こうやって見ていると、細やかといわれる日本人も、こういった生物上では、かなり鈍いと思える。
これもそれもあれも、こんな同じでいいのかという感じだ。
イギリスは動物愛護の精神というと世界でも有名だし、生活に森の動物が近くにいることが多いので、一般人のレベルでかなり詳しい人が多い気がする。

ところで余談だが、私がイギリスに来た最初の年に、スーパーのサラダの袋に"toad"「がまがえる」が入っていたという事件があった。
もうサラダを食べようと、サラダの袋を開けた主婦はびっくり。
サラダボールに「ぐぇっ」とすわりこむガマガエル。
想像するにかなりひどいいたずらだと思うし、私だって腰を抜かすと思う。
そこのスーパーは当然、客に平謝りであったが、その翌日からそこのスーパーに問い合わせが殺到。

ここからがおもしろいところなんだが、問い合わせの内容が日本とちがう。

"What happened to the toad"
「そのガマガエルちゃんはどうなったの?」

いたずらに使われた、そのかわいそうなガマガエルは、無事なのかという問い合わせで殺到したのだ。
うーん。
さすがイギリス。
日本だったら、がまがえるの無事を考えて、質問が来るかどうかさえ疑問だ。

そして、スーパーは新聞を通して、「ガマガエル」の無事を発表していた。
「ガマガエルのその後」というタイトルで。

もし、カエルがサラダボールにピョンと現れても、生き物は大切にしなくちゃいけないということを学んだ一件ではあった。(汗


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