第28回東京国際映画祭
■ コンペティション ■ ワールド・プレミア上映
残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-
The Increasable
107分/カラー/ビスタサイズ/5.1digital
2015年「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会/配給:松竹株式会社
スタッフ
監督 : 中村義洋
企画/プロデュース : 永田芳弘
プロデューサー : 池田史嗣
原作 : 小野不由美『残穢』(新潮文庫刊)
脚本 : 鈴木謙一
音楽 : 安川午朗
撮影 : 沖村志宏
照明 : 岡田佳樹
美術 : 丸尾知行
助監督 : 片桐健滋
キャスト
竹内結子
橋本 愛
坂口健太郎
滝藤賢一
佐々木蔵之介
作品解説
第26回山本周五郎賞を受賞した
小野不由美(「屍鬼」「十二国記」シリーズ)の小説「残穢」(ざんえ)を、
ミステリーの名手・中村義洋監督(『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』)が映画化。
予定調和を許さない予想外のラストまで、かた時も目が離せない。
小野自身を彷彿とさせる主人公“私”には、人気実力派女優の竹内結子。
“私”とともに調査を重ねる“久保さん”には、神秘的な魅力を放つ女優の橋本愛。
初共演のふたりに加え、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一ら個性的な出演陣が集結。
ここに、いまだかつて見たことのない、戦慄のリアルミステリーが誕生する。
以上の作品データは、
東京国際映画祭公式サイトより抜粋しました。
上映前に舞台挨拶がありました。
登壇者(敬称略)
竹内結子
橋本愛
中村義洋監督
中村監督:
観終わってみなさんの笑顔が消えていることを期待します。
竹内:
皆さん穢れ(けが)にようこそ。
最初の試写を途中でドロップアウトしたので
皆さんは最後まで観られることを祈ってます。
橋本:
数ある作品の中から怖がりに来てくれてありがとうございます 。
司会者:
試写の後ろの席で「キャ~怖い」と叫んでいる女性がいたので
気の毒にと思っていたら竹内さんでした。
演じるのは平気でしたか?
竹内:
自分が体験している立ち位置でなかったのが良かった 。
実生活に支障は?
橋本:
特になかったですが 家に帰ってガスが出しっぱなしだったのが怖かった
司会者:
それは何かの・・・
橋本:
違います違います。自分の消し忘れです。
初めてのレッドカーペットは?
中村監督:
1時間くらい居て長かった。でも気持ち良かったです。
恐怖の演出のポイントは?
中村監督:
なるべく性格の暗いスタッフを集めた 。
竹内:
暗いスタッフとは言っても優しい現場だった照明は暗かった 。
中村監督:
音に重要性があるので
六本木のスクリーン7は凄いと思う自分でも観たいです。
最後にひと言
中村監督:
こんないい天気なのに暗い所に来てもらってありがとうございます 。
なんにも考えずに観て下さい かなりガツンと来るはずです。
低迷している日本のホラー映画に
中村義洋監督が満を持して回帰する
久しぶりにジワジワ怖い
怪談テイストの恐怖映画になっています。
夜な夜な誰もいない部屋から
畳を掃くような音が聞こえて・・・
そのマンションの202号室に
一人で住む女子大生の仮名”久保さん”( 橋本愛 )は、
ミステリールポの雑誌連載もしている小説家の”私”( 竹内結子 )に相談し
二人でその部屋、建物、土地について調べて行くと
真相は、予想もつかなかった過去へ連鎖的に広がっていきます。
何か、イヤ~なゾクゾクする感じ
そう、それが日本の恐怖映画の真髄なのに
近年、日本のホラー映画には、
その部分が著しく欠落していて嘆かわしかったのですが
中村監督が、見事に回帰させてくれました。
横溝正史ミステリーなどの古典へのリスペクトも含め
なかなか見応えのある怪奇映画でもありますが、
もう一つ ”これ” と云う決定打があれば完璧だったと思います。
終映後に
中村義洋監督が再び登壇して
Q&Aが行なわれました。
中村監督:
六本木のスクリーン7はデカいです
みなさんの感想を聞きたいです。
( 過去に怪奇現象に会ったか? )
原作者も自分も心霊現象否定論者です 。
でも撮影中首が痛かった 。
劇中の竹内さんと同じように首にコルセットしていた
( クリーチャーにCGを使った意図は? )
実は役者でも撮ったがCGが一番怖かった
終盤の出版社の恐怖シーンは本気出した。
( お祓い供養はしたか? )
普通どの映画でもお祓いをしますが
今回は参加のスタッフがこんなに来るかくらい来て驚いた。
考えると悪質ですよね
住んでいい部屋なんていないじゃんて話しですから・・・
( 竹内結子さんについて )
やった事ないだろうなと云う部分でのキャスティングで
竹内さんでも不機嫌な時もあるだるうから
そういう部分を引き出してみたかった
( 竹内さんの語りの録音について )
ナレーションはクランクインの前に録った
これでもかと云う低い声に拘った
原作者の動じない佇まいを竹内結子さんの役に反映させた
エンドロールの絵に向かって突き進んでいる
普通の主題歌をかけておいてそんなものかと思わせて
最後のアレで初めての観客参加型に持って行く意図があった
( 原作者の小野さんから映画についての要望はあったか? )
10年前にホラーを中心にやっていたので
現在どうしようかというのは無かったが
冒頭30分、”カジカワ君”で持つのか悩んでいた時
小野さんの「出ちゃったら怖くないのよね」の一言で全て腑に落ちた。