楽しみだったと云う部分では
今のところ今年ダントツだった
世界にひとつのプレイブック
SILVER LININGS PLAYBOOK
を観て来ました。
自分には、かなり窮屈な作品だった
「ザ・ファイター」の
デヴィッド・O・ラッセル監督と云うのが少し気になってましたが...
結果、全く問題なく極めて思っていた通りの素晴しい作品でした。
デヴィッド・O・ラッセル監督は、短気で直ぐキレる性格らしく
「スリーキングス」の時にジョージ・クルーニーとかなり揉めて
暫く干されたあと「ザ・ファイター」で漸く復活した...
と云う経緯を知っておくと、この作品の背景がより理解出来るかも知れません。
ブラッドリー・クーパー が演じる
妻の浮気によるショックから精神のバランス崩し職も失ったパットは、
精神病院から退院後も不安定な躁うつ状態を繰り返していました。
ロバート・デ・ニーロ と
ジャッキー・ウィーヴァー が扮する
パットの両親も息子を支えようとしながらも、かなり手を焼いている様子であり...
ジェニファー・ローレンス が演じるティファニーは、
夫に先立たれた悲しみから自暴自棄な生活を送っていて...
運命の引き合わせなのか、パットとティファニーは、ある事をキッカケに出会います。
会えば言い争いになりながらも、お互い同じニオイを感じた二人は、徐々に近づいて行きます。
パットの中に別れた妻への未練をひしひしと感じながらも
ティファニーは、自ら再起のために実践していたダンスのコンテストのパートナーに
半ば強引にパットを指名しますが...
とにかく圧倒的な台詞劇
只でさえ精神面の不安定から感情的になる登場人物ばかりで、直ぐに声を荒らげるのでタマリマセン。
しかし矢継ぎ早に繰り出される台詞の応酬が、実は作品に一定のテンポを与えています。
不器用な人々が、切磋琢磨しながらモガキ苦しみ
支えを求めようとするのに上手く気持ちが伝えられず擦れ違い...
しかし、人が生きて行くために必要なのは何なのか?
この作品のラストがその答えを明確に提示します。
もともと故シドニー・ポラックと故アンソニー・ミンゲラが
企画していた作品だそうです。何か納得です。
登場人物たちの生活背景はかなり深刻ですが、
作品は、そう暗くはならずに
むしろロマコメの趣きで進行します。
絶妙な配役も功を奏して、一人では生きて行けない人間の弱さを
デヴィッド・O・ラッセル監督特有の乾いたユーモアを交えながら描き
珠玉の人間ドラマになりました。
因みに、パットの父親役のロバート・デ・ニーロさんは、
実は、アメフトのノミ屋という設定で
題名の「プレイブック」は、
「アメフトのフォーメーションを記した本」から来ているそうです。
オスカーの作品賞にもノミネートされている本作ですが
既に観終えた同じ作品賞候補の
「アルゴ」
「レ・ミゼラブル」
「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」
「ゼロ・ダーク・サーティ」
どれも素晴しい好きな作品群ですが、
等身大の人間を愛おしく描いた部分を思うと
本作「世界にひとつのプレイブック」に
オスカー像を獲らせたい気持ちが強いです。
スピルバーグ・フリークの身で、しかもまだ観てないのに云うのもなんですが...
最もアカデミー会員寄りであろう「リンカーン」には、
オスカー像をあげなくていいと思います(・Θ・;)
そして、
主演女優賞候補の
ジェニファー・ローレンス !!!
「あの日、欲望の大地で」
で初めて見た時にこの娘は来るぞ!と思い
「ウィンターズ・ボーン」
でやっぱりと思い
「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」
では、ミスティークかよ...と思っていたら
「ハンガー・ゲーム」
が米国でスマッシュ・ヒットしてしまい...
あれよあれよと云う間に
気がついたら
オスカー像に手が届く位置にまで来てしまいました。
今作では、あるシーンで
堂々と、あのデ・ニーロさんと渡り合い
もう大女優の貫禄すら出て来ました!!!
「ゼロ・ダーク・サーティ」の
ジェシカ・チャステインも凄かったけれど
ここは、ひとつ彼女にオスカー像をあげたいものです。
ん?結局ジェニロレ好きと云うことか???(爆)