産婦人科医になったとき

1つの夢があった

女医さんがどんどん増え
産婦人科に通う患者さんも
「女医診察希望」が増えてきて
男性産科医の居場所が徐々に
無くなってきている昨今だが


産科女医には出来なくて
我々男性医師ができる唯一の事


「わが子をとりあげる事」


これが産婦人科医になった時の
1つの夢だった


幸い、
昨年この夢は無事実現し
非常に色々な体験をした


完全に私事の話なので
非常に迷ったけど


せっかく「ブログ」というツールを使用し
様々な事を書き留めていく事ができる訳だし

昨年の体験を、
自由に書き記していきたいと思います


ヨメの妊娠を通じて
専門家が一体何を感じたか?
共有してもらえ、さらに医者を
もっと身近に感じていただければ良いのですが・・



登場人物
キュー、ヨメ、子、
その他


ヨメの妊娠中どんな事を感じ、
どんな事を不安に思い
実際どうだったのか?

ざっくばらんに書きます


医学的な事はあまり書かないと思うので


読みたい

と思う人だけ
ゆる~く
読んでいただければと思います

でわでわ


第1回:嬉しさ半分、○○半分


ある日の午後ヨメから
メールが送られてきた


メールには写真が添付されていた


妊娠検査薬の陽性結果だった


私達はずっーーーと
子供を希望していたのだけれど

なかなか妊娠せず
「そろそろ本格的に検査していくかなあ・・」
(;´Д`)ノ
なんて考えていた時期だったので

突然の事で
冗談かと思ったし

ヨメのメールが
あまりにあっさりしていたので
反応に若干困ったのを覚えている


でも・・
その時は



本当にうれしかった


「ひとまずおめでとうございます」

なんてかなりあっさりした
メールを返したけれど

内心かなり嬉しかった・・


ただし・・


50%


Σ(゚д゚;)


????


何故半分・・


実は残りの半分は


とっても大きな不安だった



実はそのメールを受け取る
ほんの1週間前


私自身が
ヨメの診察をしていたから・・


ヨメは結婚前
卵巣嚢腫の手術を
したのだけれど
(キューが直接手術した・・
プロフィール参照・・)


その術後1年毎のチェックと
ついでに子宮がん検診のため
わずか一週間前に
超音波で子宮の中を診ていたのだ・・

ちなみに・・
術後の検診は大事ダヨ・・
術後10年くらいたってから
お腹が大きくなって~
なんて人も結構いるので・・


それはともかく・・


(  ゚ ▽ ゚ ;)
「オイオイ・・
一週間前には
妊娠っぽい所見なんて
全く無かったぞ・・


って事で
残り半分は
ものすごい不安感だったんですね


もうね・・

職業柄、頭の中で
計算機がフル回転するのです



前回の生理が○日からで・・

生理周期が○日だし、乱れもないし・・

基礎体温もつけてたっけ・・・

計算計算・・・・

落ち着け落ち着け・・
(ちなみに私普段
テンパる事はめったに無いです・・)


うんっ!


間違いなく現在5週真ん中くらいだ!

って事は、
先週の検診は4週半ばだから・・


胎嚢(赤ちゃんの袋)が
見えてもいい時期だ


がびーん

いや
四週くらいで見えない事は
いくらでもあるぞ・・


でも・・


子宮内膜(赤ちゃんのベッド)は
結構厚くなっているはずだし・・


ううーーん

そんなに内膜厚かったっけなあ・・


頭の中はこんな事が
巡りまくっていた・・



産科医は
妊娠反応陽性だけでは
全く安心はしないのです


妊娠反応陽性には、
大きく分けて

正常妊娠
流産
子宮外妊娠

の可能性があるのですが・・


一番脳裏によぎったのは
「子宮外妊娠」



だって、ほんの1週間前には
子宮内に「妊娠」を疑う所見は
無かったのだから


子宮外妊娠の可能性も
大いにあるなあ
( ̄□ ̄;)!!


正直本当に不安だった


そんな風に色んな事を
マッハで考えた結果


「ひとまずおめでとう」


が返したメールだったのだ・・



正直早く超音波を見たい気持ちと
反面見たくない気持ちが合わさり
非常に緊張した時期だった


普段は初期妊婦さんに
「なる様にしかならないですよ
あんまり不安に思わないでくださいね」
なんて言っていたが


流産や子宮外妊娠の可能性を
言い渡された妊婦さんの
次回診察を待つ気持ちとは
こんなにも大変なものなのだと
実感した期間だった


しかしすぐに超音波をしても
まだ胎嚢が見えるかどうかは
わからない状態だったので



数日あけてから
診察する事にしたのですが


いざ診ていると



「小さすぎてよく分からん・・」


くらい小さい嚢胞が子宮内に見えた


8割胎嚢っぽいけど
2割は他の可能性もあるかな~
(結構そういうケースはある・・)


というかなり微妙な所見で


結局さらに1週間
モヤモヤした期間を
過ごすことになった


その間もしも子宮外妊娠だったら



またヨメのお腹を
手術しないとならないのかあ
( ̄□ ̄;)

しかも卵管を一つ切除しないといけない

さらに妊娠かもという
期待していた状態から一転



ツラかった~


ヨメにも再三
「まだ完全には安心出来ないからね」
と言いながら過ごした一周間


再診した超音波では・・・


いたっ!!


これは一週間で見事に
はっきり胎嚢と言える様に育っていた



この時の嬉しさは
本当に言い表せない程だった


今でもその時の写真は大事に持っている

↑コレ

とりあえず第一段階・・

しかしとても大きなステップを
クリアした気持ちでホッとした瞬間だった


専門家だから安心できる部分と
専門家だから心配しすぎる部分と

ホントに色んな感情が入り混じった2週間でした

しかし妊娠はまだ始まったばかりなのである・・


続く